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66.ミリア、魔法も使える
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『それでは、気持ちがよくなった所でぇぇ! 準決勝といきましょう!』
私情をそんなに叫んでいいものなのかは疑問だが、観客達もその意見に同感なので盛り上がる一方であった。
準決勝の一試合目はタイガとレオ。虎とライオンの戦いという凄まじい対戦カードだった。
二人の攻防に観客達は息を飲み、歓声をあげるのを忘れて見入る程だった。
そんな試合を制したのはタイガであった。
やはり経験の差というか貫禄というか。
勝つべくして勝ったというところだろう。
『続いて準決勝二試合目ぇぇぇ! イーグ選手対! ミィィィィリィィィィアァァァァ!』
凄い私情が入っている実況だが、これは大丈夫なんだろうか。
完全にミリアを応援しているような感じの実況になってしまっている。
「「「ワァァァァァァ」」」
また手を振って登場するミリア。
最早、アイドルの様相を呈している。
ミリアの可愛らしさと純粋な戦いの強さに何人もの観客が心を掴まれているようだ。
対するイーグは冷静に微笑みながらミリアと対峙している。
何かを話しているが、歓声が大きくて何を話しているかは分からない。
ただ、ミリアが笑顔で何かを話して握手していた。
まぁ、雰囲気が悪い感じではないからよろしくと挨拶しているのかなとは推察できる。
『それでは始めましょう! 準決勝第二試合! 始め!』
開始直後に動いたのはイーグであった。
上空に逃げたのだ。
飛べることを利用するのは当たり前のように思えた。
ただ、ここまでのイーグの戦いは上空から攻撃することはあっても一旦逃げるといったような戦法はなかった。
それだけミリアを警戒しているのだろう。
ミリアも黙っている訳では無い。
この武闘大会、何でもありである。
ミリアはイーグに手を翳すと魔力球を作り出した。
そして回転させて、放った。
『あーーーっとぉぉぉ! 獣人族は魔法が苦手な為、使うことは滅多になかったが、なんとミリア選手は魔法も使えるようです! しかも凄まじいスピードで魔法を放ってきます!』
最初に射出した魔力球はイーグが咄嗟の反応を見せて避けていた。
トウカお嬢様との決闘で魔法についても学んだミリアはここにきて急成長を遂げていた。
魔力球を三つ出すとそれを時間差で放っていく。
一つは直線的な軌道。二つ目は少しズラした所に直線的な軌道。三つ目は更にもっとズレたところにはなった。
イーグは冷静に一個二個と避けたと思ったその時、三個目がカーブを描いてイーグを襲った。
────ズンッ
ミリアの魔法の威力の異常さは決闘では見ていたが、人相手だとこうなるのか。
イーグの翼の片方は無惨にも穴が空き、飛ぶことは出来なくなっていた。
そのまま片方をばたつかせながらなんとか降りてきた。
「ミリアは魔法も使えるのか!?」
「ふふーん。使えないとは言ってないわよ?」
すごく得意気なミリア。
鼻が膨らんでいる。
そうとう驚かれたことが嬉しかったのだろうな。
「まさが、空に逃げたのが裏目に出るとはな。こんな事なら最初から地上で戦っておけばよかったぜ。翼が使えないのは生活に支障が出ちまう」
「治療してもらうしかないわね?」
「そうだな。治るのに時間がかかりそうだ」
「空に逃げたあなたが悪いのよ? 自業自得でしょ?」
私が穴を開けたことは事実だけどそれはあなたが悪いからでしょ?と自分を正当化している。ミリアらしくて吹き出しそうになる。
「あぁ、その通りだぜ。地上で戦おう」
「かかって来なさい!」
イーグはミリアに突っ込んでいき、攻撃してくる。だが、やはりバランスが取れないのか機動力が削がれてなのか動作が遅い。
翼に頼って戦っているところが大きかったようだ。
これまでの対戦でも翼を使って加速したり防御したりしていたのを思い出した。
負傷していない翼で打ち付けたりもしてきたが、ミリアは冷静にガードしてカウンターで身体に蹴りを放っていた。
「ぐっ! 攻撃が重い! ミリアのどこにそんな力があるんだ!?」
イーグが悪態をつく。
「ふふふっ。内緒!」
イタズラな笑みを浮かべてイーグに肉薄し、上段蹴りを放っていく。
イーグは無傷な方の翼で受け止めた。
それはガードすると同時に視界を覆ってしまうのだ。半分の視界が見えなくなる。
ミリアは右足で放った上段蹴りがガードされると即座に腰をひねりくるりと一回転すると逆側から回し蹴りを放った。
その動きはブレイクダンスを踊っているように軽やかで、重量感のある動きだった。
────ズバンッ
その回し蹴りは視界が見えなくて反応できなかったイーグの顎を正確に捉えていた。
こんな音のするような蹴りが顎に叩き込まれれば結末は予想できる。
イーグは白目をむくとグラリと膝をおり、そのままステージに倒れ込んだ。
『あぁぁぁぁぁとぉぉぉぉぉ! イーグ選手立てません! 決勝に進出したのは、ミリアァァァ選手ぅぅぅぅ!』
ミリアは手を挙げながらステージを去っていく。
そんな魔法とパワーを兼ね備えた戦いを見て観客は優勝という二文字が頭に浮かんでいた。
「なぁ、俺はもしかして……と思っている」
「それは僕もだよ」
「俺っちは最初から分かってたよ?」
口々に近くの観客がミリアの優勝を予想し始めていた。
一体どうなるか。
俺も楽しみだ。
私情をそんなに叫んでいいものなのかは疑問だが、観客達もその意見に同感なので盛り上がる一方であった。
準決勝の一試合目はタイガとレオ。虎とライオンの戦いという凄まじい対戦カードだった。
二人の攻防に観客達は息を飲み、歓声をあげるのを忘れて見入る程だった。
そんな試合を制したのはタイガであった。
やはり経験の差というか貫禄というか。
勝つべくして勝ったというところだろう。
『続いて準決勝二試合目ぇぇぇ! イーグ選手対! ミィィィィリィィィィアァァァァ!』
凄い私情が入っている実況だが、これは大丈夫なんだろうか。
完全にミリアを応援しているような感じの実況になってしまっている。
「「「ワァァァァァァ」」」
また手を振って登場するミリア。
最早、アイドルの様相を呈している。
ミリアの可愛らしさと純粋な戦いの強さに何人もの観客が心を掴まれているようだ。
対するイーグは冷静に微笑みながらミリアと対峙している。
何かを話しているが、歓声が大きくて何を話しているかは分からない。
ただ、ミリアが笑顔で何かを話して握手していた。
まぁ、雰囲気が悪い感じではないからよろしくと挨拶しているのかなとは推察できる。
『それでは始めましょう! 準決勝第二試合! 始め!』
開始直後に動いたのはイーグであった。
上空に逃げたのだ。
飛べることを利用するのは当たり前のように思えた。
ただ、ここまでのイーグの戦いは上空から攻撃することはあっても一旦逃げるといったような戦法はなかった。
それだけミリアを警戒しているのだろう。
ミリアも黙っている訳では無い。
この武闘大会、何でもありである。
ミリアはイーグに手を翳すと魔力球を作り出した。
そして回転させて、放った。
『あーーーっとぉぉぉ! 獣人族は魔法が苦手な為、使うことは滅多になかったが、なんとミリア選手は魔法も使えるようです! しかも凄まじいスピードで魔法を放ってきます!』
最初に射出した魔力球はイーグが咄嗟の反応を見せて避けていた。
トウカお嬢様との決闘で魔法についても学んだミリアはここにきて急成長を遂げていた。
魔力球を三つ出すとそれを時間差で放っていく。
一つは直線的な軌道。二つ目は少しズラした所に直線的な軌道。三つ目は更にもっとズレたところにはなった。
イーグは冷静に一個二個と避けたと思ったその時、三個目がカーブを描いてイーグを襲った。
────ズンッ
ミリアの魔法の威力の異常さは決闘では見ていたが、人相手だとこうなるのか。
イーグの翼の片方は無惨にも穴が空き、飛ぶことは出来なくなっていた。
そのまま片方をばたつかせながらなんとか降りてきた。
「ミリアは魔法も使えるのか!?」
「ふふーん。使えないとは言ってないわよ?」
すごく得意気なミリア。
鼻が膨らんでいる。
そうとう驚かれたことが嬉しかったのだろうな。
「まさが、空に逃げたのが裏目に出るとはな。こんな事なら最初から地上で戦っておけばよかったぜ。翼が使えないのは生活に支障が出ちまう」
「治療してもらうしかないわね?」
「そうだな。治るのに時間がかかりそうだ」
「空に逃げたあなたが悪いのよ? 自業自得でしょ?」
私が穴を開けたことは事実だけどそれはあなたが悪いからでしょ?と自分を正当化している。ミリアらしくて吹き出しそうになる。
「あぁ、その通りだぜ。地上で戦おう」
「かかって来なさい!」
イーグはミリアに突っ込んでいき、攻撃してくる。だが、やはりバランスが取れないのか機動力が削がれてなのか動作が遅い。
翼に頼って戦っているところが大きかったようだ。
これまでの対戦でも翼を使って加速したり防御したりしていたのを思い出した。
負傷していない翼で打ち付けたりもしてきたが、ミリアは冷静にガードしてカウンターで身体に蹴りを放っていた。
「ぐっ! 攻撃が重い! ミリアのどこにそんな力があるんだ!?」
イーグが悪態をつく。
「ふふふっ。内緒!」
イタズラな笑みを浮かべてイーグに肉薄し、上段蹴りを放っていく。
イーグは無傷な方の翼で受け止めた。
それはガードすると同時に視界を覆ってしまうのだ。半分の視界が見えなくなる。
ミリアは右足で放った上段蹴りがガードされると即座に腰をひねりくるりと一回転すると逆側から回し蹴りを放った。
その動きはブレイクダンスを踊っているように軽やかで、重量感のある動きだった。
────ズバンッ
その回し蹴りは視界が見えなくて反応できなかったイーグの顎を正確に捉えていた。
こんな音のするような蹴りが顎に叩き込まれれば結末は予想できる。
イーグは白目をむくとグラリと膝をおり、そのままステージに倒れ込んだ。
『あぁぁぁぁぁとぉぉぉぉぉ! イーグ選手立てません! 決勝に進出したのは、ミリアァァァ選手ぅぅぅぅ!』
ミリアは手を挙げながらステージを去っていく。
そんな魔法とパワーを兼ね備えた戦いを見て観客は優勝という二文字が頭に浮かんでいた。
「なぁ、俺はもしかして……と思っている」
「それは僕もだよ」
「俺っちは最初から分かってたよ?」
口々に近くの観客がミリアの優勝を予想し始めていた。
一体どうなるか。
俺も楽しみだ。
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