67 / 69
67.獣人部門、優勝決定
しおりを挟む
『やって参りました! 遂に決勝戦です! ゆぅぅぅしょぉぉぉこうほぉぉぉ! タイガ選手ぅぅぅぅ!』
入口から手を挙げながら入ってきたタイガ選手。黄色い歓声が多い。女性に人気なようだ。
虎の顔というのは凛々しく身体も鍛え抜かれていて引き締まっている。女性陣から人気が出るのもわかる気がする。
少なくとも、スケルトンよりは魅力が詰まっているだろう。
スケルトンは魅力詰まるところがないんだよね。スカスカだから。
『続いて入場してくるのは人族の女の子。この子が決勝まで進むなんて誰が予想出来たでしょうか!? 今大会の台風のような存在です! ハリケーン娘! ミィィィィィリィィィィアァァァァ!』
「「「ミ・リ・ア! ミ・リ・ア!」」」
手を振りながら入場してくるミリア。
いい笑顔をしている。
どこにそんなに力があるのか分からないくらい細い身体。
細いながらも出るところは出ていてスタイルは抜群である。
ミリアを凄まじい歓声が包み込む。
みんなミリアの戦いを楽しみにしている。
そんな気がする。
『両者、全力で! 楽しんで! 戦いましょう! では、始め!』
────ドッ
両者の拳がぶつかりあった。
ぶつかりあった事により発生した衝撃波が観客席まで波を届かせる。
二人の顔はにこやかだ。
笑いながら殴り合いをしているなかなかにシュールな絵だが。
二人の激突は激しさをましていく。
片方が攻撃すればもう片方はしっかりと防御して反撃する。
その繰り返し。
「ミリアって言ったか!? 人族なのに強えな!?」
「ナイルに比べれば大したことはないわ!」
「そんなに強い奴がいるのか?」
「魔族部門で出るわよ。見てた方がいいわよ。驚くから」
「そりゃ楽しみだ」
会話をしながら凄まじい攻防を繰り返している。
そんな中怪訝な顔になったタイガ。
「だぁぁぁ! やっぱり無理!」
そう言うといきなり両手をあげてバンザイした。
どうしたというのだろうか。
「俺には、女は殴れない! ミリアが強いから本気でやらないと勝てない! でも、俺は本気を出せない! 観客のみんなすまん! そして、ミリアも俺の覚悟が中途半端ですまん! 審判、降参だ」
タイガは観客やミリアにペコペコとお辞儀をするとミリアに歩み寄った。
そして、手をとると上へと掲げたのである。
『あーーっと! これは予想していなかった展開になりました! まさかの優勝候補が降参だぁぁぁ!』
観客は静まり返る。
こういった結末は予想していなかったのだろう。
「いいぞ! タイガ! それでこそ真の男だ!」
「そうだ! ミリアちゃん! 勘弁してやってくれ!」
「俺っちも気持ちわかる! そんなに可愛い顔を殴れない!」
これには同意している観客もいる。
けど、反感を買うんじゃないだろうか。
「ちゃんと戦えよ! こっちは金払ってんだぞ!?」
「そうだぞ! 闘技大会なんだから、女だろうと関係ねぇだろ!」
「そんなんだったら女を出場させるな!」
やはり反感の気持ちを抱く人は居るだろうと思う。たが、これではミリアが可哀想だ。
俺は立ち上がって周りを見渡した。
『私はナイルと言います! 皆さんの言うことも一理あるでしょう! しかし、ここはタイガさんの漢気を称えてミリアの優勝にしてやってはくれないでしょうか!?』
「お前がナイルか!?」
「てめぇ! コノヤロー!」
「こっち来い!」
俺が魔力を込めて念話で話し出すと更に騒がしくなった。
だが、ここで負けては居られない。
『次の魔族部門! 私はハッコツ伯爵の名を背負って出場します! リビングアーマー族を打倒するためです! 必ず決勝を盛り上げると誓いましょう! どうでしょうか!? それで手打ちにしていただけませんか!?』
静まり返る観客。
「俺からも頼む! すまない!」
タイガも頭を下げた。
しばしの沈黙。
「仕方ねぇな! 次はちゃんと盛り上げろよ!?」
『はい! 必ず!』
「なら文句はねぇ! なぁ、みんな!?」
「「「おぉぉぉぉ!」」」
なんとか暴動は免れたみたいだ。
ホワイトさんに聞いたんだが、実は前に腑抜けな試合をした人がいて、八百長だったらしいんだが。
その時は客がステージに上がってきて大乱闘になったそうだ。八百長した選手は一命は取り留めたが、もう少しで命を失うところだったんだとか。
それ以来、本気でやらないと死ぬかもしれないということが選手の意識に植え付けられていたのだ。だから、今回タイガも必死に謝ったというわけだ。
『これは凄い宣戦布告です! ナイル選手、リビングアーマー族に喧嘩を売りました! これは魔族部門の戦いがもう楽しみで仕方がありません! 魔族部門は明日になります! どうか、皆さん、明日も足をお運びください! それでは、獣人族部門、優勝はミリアーーーー選手ぅぅぅぅ!』
ミリアは皆にペコペコお辞儀をしながら手を振っている。
もう既にアイドルのような地位が定着していて、男性陣からの野太い声援が凄い。
それと同時に開始早々のミリアの発言を覚えていた男達からの痛い視線を受けていていたたまれない気持ちになっているのである。
その日は解散になったので、裏口でミリアと待ち合わせたのだが、目立つ目立つ。
片っ端から声をかけられて宿に着くまで通常十分位なのに一時間かかったのであった。
みんな明日への期待もあり、俺にも声をかけてくれた。
期待に応えないとな。
入口から手を挙げながら入ってきたタイガ選手。黄色い歓声が多い。女性に人気なようだ。
虎の顔というのは凛々しく身体も鍛え抜かれていて引き締まっている。女性陣から人気が出るのもわかる気がする。
少なくとも、スケルトンよりは魅力が詰まっているだろう。
スケルトンは魅力詰まるところがないんだよね。スカスカだから。
『続いて入場してくるのは人族の女の子。この子が決勝まで進むなんて誰が予想出来たでしょうか!? 今大会の台風のような存在です! ハリケーン娘! ミィィィィィリィィィィアァァァァ!』
「「「ミ・リ・ア! ミ・リ・ア!」」」
手を振りながら入場してくるミリア。
いい笑顔をしている。
どこにそんなに力があるのか分からないくらい細い身体。
細いながらも出るところは出ていてスタイルは抜群である。
ミリアを凄まじい歓声が包み込む。
みんなミリアの戦いを楽しみにしている。
そんな気がする。
『両者、全力で! 楽しんで! 戦いましょう! では、始め!』
────ドッ
両者の拳がぶつかりあった。
ぶつかりあった事により発生した衝撃波が観客席まで波を届かせる。
二人の顔はにこやかだ。
笑いながら殴り合いをしているなかなかにシュールな絵だが。
二人の激突は激しさをましていく。
片方が攻撃すればもう片方はしっかりと防御して反撃する。
その繰り返し。
「ミリアって言ったか!? 人族なのに強えな!?」
「ナイルに比べれば大したことはないわ!」
「そんなに強い奴がいるのか?」
「魔族部門で出るわよ。見てた方がいいわよ。驚くから」
「そりゃ楽しみだ」
会話をしながら凄まじい攻防を繰り返している。
そんな中怪訝な顔になったタイガ。
「だぁぁぁ! やっぱり無理!」
そう言うといきなり両手をあげてバンザイした。
どうしたというのだろうか。
「俺には、女は殴れない! ミリアが強いから本気でやらないと勝てない! でも、俺は本気を出せない! 観客のみんなすまん! そして、ミリアも俺の覚悟が中途半端ですまん! 審判、降参だ」
タイガは観客やミリアにペコペコとお辞儀をするとミリアに歩み寄った。
そして、手をとると上へと掲げたのである。
『あーーっと! これは予想していなかった展開になりました! まさかの優勝候補が降参だぁぁぁ!』
観客は静まり返る。
こういった結末は予想していなかったのだろう。
「いいぞ! タイガ! それでこそ真の男だ!」
「そうだ! ミリアちゃん! 勘弁してやってくれ!」
「俺っちも気持ちわかる! そんなに可愛い顔を殴れない!」
これには同意している観客もいる。
けど、反感を買うんじゃないだろうか。
「ちゃんと戦えよ! こっちは金払ってんだぞ!?」
「そうだぞ! 闘技大会なんだから、女だろうと関係ねぇだろ!」
「そんなんだったら女を出場させるな!」
やはり反感の気持ちを抱く人は居るだろうと思う。たが、これではミリアが可哀想だ。
俺は立ち上がって周りを見渡した。
『私はナイルと言います! 皆さんの言うことも一理あるでしょう! しかし、ここはタイガさんの漢気を称えてミリアの優勝にしてやってはくれないでしょうか!?』
「お前がナイルか!?」
「てめぇ! コノヤロー!」
「こっち来い!」
俺が魔力を込めて念話で話し出すと更に騒がしくなった。
だが、ここで負けては居られない。
『次の魔族部門! 私はハッコツ伯爵の名を背負って出場します! リビングアーマー族を打倒するためです! 必ず決勝を盛り上げると誓いましょう! どうでしょうか!? それで手打ちにしていただけませんか!?』
静まり返る観客。
「俺からも頼む! すまない!」
タイガも頭を下げた。
しばしの沈黙。
「仕方ねぇな! 次はちゃんと盛り上げろよ!?」
『はい! 必ず!』
「なら文句はねぇ! なぁ、みんな!?」
「「「おぉぉぉぉ!」」」
なんとか暴動は免れたみたいだ。
ホワイトさんに聞いたんだが、実は前に腑抜けな試合をした人がいて、八百長だったらしいんだが。
その時は客がステージに上がってきて大乱闘になったそうだ。八百長した選手は一命は取り留めたが、もう少しで命を失うところだったんだとか。
それ以来、本気でやらないと死ぬかもしれないということが選手の意識に植え付けられていたのだ。だから、今回タイガも必死に謝ったというわけだ。
『これは凄い宣戦布告です! ナイル選手、リビングアーマー族に喧嘩を売りました! これは魔族部門の戦いがもう楽しみで仕方がありません! 魔族部門は明日になります! どうか、皆さん、明日も足をお運びください! それでは、獣人族部門、優勝はミリアーーーー選手ぅぅぅぅ!』
ミリアは皆にペコペコお辞儀をしながら手を振っている。
もう既にアイドルのような地位が定着していて、男性陣からの野太い声援が凄い。
それと同時に開始早々のミリアの発言を覚えていた男達からの痛い視線を受けていていたたまれない気持ちになっているのである。
その日は解散になったので、裏口でミリアと待ち合わせたのだが、目立つ目立つ。
片っ端から声をかけられて宿に着くまで通常十分位なのに一時間かかったのであった。
みんな明日への期待もあり、俺にも声をかけてくれた。
期待に応えないとな。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
792
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる