やる気が出る3つの DADA

火星人の足⇔踊るダンサー✕ダンスする踊り子⇔アンドロイドの腕

（どういうことだろう？）
　盆踊りをする火星人たちを眺めながら、倉橋は、頭を抱えていた。
　彼らの行動の真意が分からなかった。
　盆踊りの音楽と供に、
『クチヤクチヤ』という火星人たちの足音が、聴こえている。
「あ」
　倉橋が声を上げる。
　身を隠す間も無かった。宇宙船の周囲を、一周して帰ってきた『火星人』の一匹と目が合ってしまった。
（コイツら、村人たちを皆殺しにしたんだっけ？）（兄貴や、王国の住人を誘拐して、どこに連れていったのだろう？）
　倉橋は腕まくりしていた。
　とうとう《アンドロイドと火星人の一騎討ち》の始まりというわけか。　
　タコやイカのような頭部。ヌルヌルした身体。意味不明の挙動。
　これらのイメージが、怒涛のように押し寄せてきた。　
　さすがに、恐怖を感じていた。窒息しそうだった。
　うっかり、次の行動が遅れた。
　気が付くと、目の前に火星人が立っていた。行動が遅れたのは、自身の恐怖心のせいだった。　
　アンドロイド（＝倉橋）の力が試される時が来たのだが、状況は最悪である。
　バチバチと呪いの火花が、散っているようだった。
　倉橋は、目を閉じた。
　
「グアッ」叫び声が響いた。　
　目を開けると、戦況が変わっていた。
『火星人』の頭部を、倉橋の腕が抱え込んでいるという状態だった。
　このまま、力を入れ続ければ、『火星人』の頭部はギロチンにかけられたように、ポトリと落ちるだろう。　
　倉橋の腕の見せどころである。

　すると「どうしたんだよ、ジュニア」聞き覚えのある声が響いた。
　それは、紛れも無い兄貴の声だった。