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大失態の一夜目
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「ウィリエール様。これは、私の過失です。君主とこのような、淫らなことを行ってしまうなんてっ」
「淫らじゃない。好きな人と結ばれるのは、自然なことだ」
「間違いです。申し訳ございません。裁判所に訴えていただいても、構いません。ただ、そのとき私は断頭台の露として消えると思いますが……」
「間違い?」
「はい。ウィリエール様とこのようなことをするなんて、あってはならないことです」
「なぜ?」
「身分が違い過ぎます。それに」
私が好きなのは、兵長のヴィルヘルム様なのだ。使えるべき主であるウィリエール様は、護るべき相手ではあったけれど、恋慕とはまた違う。
「僕はミリアのことが好きだよ。いつもそばにいてくれたじゃないか」
「それは近衛兵としての当然のことです」
「お兄様たちじゃなくて、僕のところに来たのは、何か縁を感じる」
「それは、その。えーと、えー」
私が継承権第一位のウィリエール様のお兄様、ランドルフ様や第二位のリドムンド様付きの近衛兵になれる実力がなかっただけだ。そんなことを言ったら、ウィリエール様の立場にも言及しなければいけなくなるため、私は口を閉ざす。
ちなみにウィリエール様は継承権第十位。ほとんどの場合、王になれる可能性はない。
「申し訳ありません。この度のことは、すっかりお忘れくださいっ!」
「え?どうして。僕はミリアを奥さんにしたい」
とんでもない爆弾発言をし始めたので、私は首を横に振る。
「ウィリエール様には、もっとふさわしい方がいます」
「ミリアにふさわしくないってこと?」
「え?いえ、そうではなく。逆に私がウィリエール様にふさわしくないのです」
「継承権の順位が低いからだね」
とウィリエール様はおっしゃるけれども、我が主の発言はどこか論点がズレていると思うのだ。
「違います。ウィリエール様は高貴な方。ふさわしい方との婚姻が望まれます」
継承権云々ではなく、私にふさわしくはない。
「淫らじゃない。好きな人と結ばれるのは、自然なことだ」
「間違いです。申し訳ございません。裁判所に訴えていただいても、構いません。ただ、そのとき私は断頭台の露として消えると思いますが……」
「間違い?」
「はい。ウィリエール様とこのようなことをするなんて、あってはならないことです」
「なぜ?」
「身分が違い過ぎます。それに」
私が好きなのは、兵長のヴィルヘルム様なのだ。使えるべき主であるウィリエール様は、護るべき相手ではあったけれど、恋慕とはまた違う。
「僕はミリアのことが好きだよ。いつもそばにいてくれたじゃないか」
「それは近衛兵としての当然のことです」
「お兄様たちじゃなくて、僕のところに来たのは、何か縁を感じる」
「それは、その。えーと、えー」
私が継承権第一位のウィリエール様のお兄様、ランドルフ様や第二位のリドムンド様付きの近衛兵になれる実力がなかっただけだ。そんなことを言ったら、ウィリエール様の立場にも言及しなければいけなくなるため、私は口を閉ざす。
ちなみにウィリエール様は継承権第十位。ほとんどの場合、王になれる可能性はない。
「申し訳ありません。この度のことは、すっかりお忘れくださいっ!」
「え?どうして。僕はミリアを奥さんにしたい」
とんでもない爆弾発言をし始めたので、私は首を横に振る。
「ウィリエール様には、もっとふさわしい方がいます」
「ミリアにふさわしくないってこと?」
「え?いえ、そうではなく。逆に私がウィリエール様にふさわしくないのです」
「継承権の順位が低いからだね」
とウィリエール様はおっしゃるけれども、我が主の発言はどこか論点がズレていると思うのだ。
「違います。ウィリエール様は高貴な方。ふさわしい方との婚姻が望まれます」
継承権云々ではなく、私にふさわしくはない。
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