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手紙の真相
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「ミリア。君が僕に手紙をくれたと思っていたけれど、それは違ったの?」
「あ、ああ、それは」
ひょっとしたら先ほどの話が聞かれていたのかもしれない。ウィリエール様の視線は寝台の脇に折りたたまれた紙に注がれている。
街に出た折に、手に入れた便箋にしたためていた。なぜか封筒はなくなっており、便箋だけ残っていた。
「この手紙は、本当は誰に宛てたものなの?」
緩慢な動作で、戸惑いを露にしながらウィリエール様は私の手を取って来る。曇りなき透明な瞳に、影が差した。
「本当のことを教えて、ミリア」
もっと前に言うべきだったのかもしれない。三度も寝室を共にしてしまってから、口にするなんて遅きに失している。
あの手紙をしたためた当初、私の心にいたのは尊敬できる兵長であるヴィルヘルム様だけだった。私を正当に評価してくださり、性別を問題視することなく見てくださったからだ。
姉妹の中に生まれた私は男性への免疫がない。ゆえに、見るからに頼りがいがあり、たくましいヴィルヘルム様に心惹かれてしまったのだ。
今私の心はその時と違っている。
ウィリエール様の秘密を知り、その心の不安定さが気がかりだ。
それに力を定期的に手に入れなければ身体が壊死してしまうらしい。ウィリエール様がどうすれば心安らでいられるのかが気になっている。
近衛兵の職務としてではなく、一個人として。
「あ、ああ、それは」
ひょっとしたら先ほどの話が聞かれていたのかもしれない。ウィリエール様の視線は寝台の脇に折りたたまれた紙に注がれている。
街に出た折に、手に入れた便箋にしたためていた。なぜか封筒はなくなっており、便箋だけ残っていた。
「この手紙は、本当は誰に宛てたものなの?」
緩慢な動作で、戸惑いを露にしながらウィリエール様は私の手を取って来る。曇りなき透明な瞳に、影が差した。
「本当のことを教えて、ミリア」
もっと前に言うべきだったのかもしれない。三度も寝室を共にしてしまってから、口にするなんて遅きに失している。
あの手紙をしたためた当初、私の心にいたのは尊敬できる兵長であるヴィルヘルム様だけだった。私を正当に評価してくださり、性別を問題視することなく見てくださったからだ。
姉妹の中に生まれた私は男性への免疫がない。ゆえに、見るからに頼りがいがあり、たくましいヴィルヘルム様に心惹かれてしまったのだ。
今私の心はその時と違っている。
ウィリエール様の秘密を知り、その心の不安定さが気がかりだ。
それに力を定期的に手に入れなければ身体が壊死してしまうらしい。ウィリエール様がどうすれば心安らでいられるのかが気になっている。
近衛兵の職務としてではなく、一個人として。
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