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赤と黄
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最初から、こんな風に陰湿な方法を取ろうとしたわけじゃない。
でも、碧衣が常盤の母のことをきっかけに、常盤へと気持ちを傾けていくのが分かった段階で、流れは出来ていた。
碧衣の生活に強引にでも介入しなければ、自分のことが忘れ去られてしまう恐れは、既に生まれていたのだ。
碧衣の無防備な音声が聞こえた瞬間に、自分の中で、ぶるぶるっと悪徳な欲望が立ち上る瞬間はあった。
でもそれは、あくまでも副産物だ。
何よりも、碧衣のことが分からないことが怖かっただけだから。
「オレを脅して、排除して。どうするんだよ」
「私も緋々来と同じ。碧衣のことが分からないのが、いやなだけだよ。碧衣のことが好きなら、彼女の時間は平等に分割したい。それがフェアってものでしょ」
「常盤は?常盤の方が、長い時間を使ってるはずだ」
「常盤はいいんだよ。種だから」
「は?」
「緋々来の方が多分、碧衣のタイプだけど。常盤の方が頭いいでしょ。それに似た者同士より、対局にいる方が遺伝的にはいい。碧衣には常盤の子どもを産んでもらった方がいいんだよ」
「何言ってんだよ」
「役割分担しようよ。友人係、肉体関係係、子ども係」
「は?」
「恋愛と結婚は、賞味期限があるけど。友達にはない。全部友達関係で完結させれば、終わりは来ないじゃん」
「言っている意味が分からない」
「碧衣とずっといたいなら、役割を分担したらいいって話。あくまでも友達として」
花菜野は不敵に笑う。
ペンをわざと振ってみせた。
でも、碧衣が常盤の母のことをきっかけに、常盤へと気持ちを傾けていくのが分かった段階で、流れは出来ていた。
碧衣の生活に強引にでも介入しなければ、自分のことが忘れ去られてしまう恐れは、既に生まれていたのだ。
碧衣の無防備な音声が聞こえた瞬間に、自分の中で、ぶるぶるっと悪徳な欲望が立ち上る瞬間はあった。
でもそれは、あくまでも副産物だ。
何よりも、碧衣のことが分からないことが怖かっただけだから。
「オレを脅して、排除して。どうするんだよ」
「私も緋々来と同じ。碧衣のことが分からないのが、いやなだけだよ。碧衣のことが好きなら、彼女の時間は平等に分割したい。それがフェアってものでしょ」
「常盤は?常盤の方が、長い時間を使ってるはずだ」
「常盤はいいんだよ。種だから」
「は?」
「緋々来の方が多分、碧衣のタイプだけど。常盤の方が頭いいでしょ。それに似た者同士より、対局にいる方が遺伝的にはいい。碧衣には常盤の子どもを産んでもらった方がいいんだよ」
「何言ってんだよ」
「役割分担しようよ。友人係、肉体関係係、子ども係」
「は?」
「恋愛と結婚は、賞味期限があるけど。友達にはない。全部友達関係で完結させれば、終わりは来ないじゃん」
「言っている意味が分からない」
「碧衣とずっといたいなら、役割を分担したらいいって話。あくまでも友達として」
花菜野は不敵に笑う。
ペンをわざと振ってみせた。
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