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赤と緑
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常盤とは中学の頃からの友達だ。オレは常盤が碧衣にずっと片思いをしていることを知っていた。
ただ、「花屋の女の子」とだけの情報でしか、碧衣のことは知らなかったけれど。
正直冴えない見た目だった常盤は、高校生になってから一気に垢抜ける。休みの日に、駅前の花屋で、手伝いをしている同年代の女の子が気になる、と聞いていた。
その子のことを知らなかったオレは、
「任せろ、手伝ってやるよ」
と言ったと思う。
おしゃれに関心のなかった常盤にテコ入れして、垢抜けを手伝った。常盤は元々の素材がよかったから、すぐに見た目に反映されて、中々モテてきたらしい。
やったな、と友達の快挙として単に喜んでいた。常盤が競合になるだなんて、思っていなかったからだ。
そして間もなく、碧衣と知り合った。それが常盤の好きな子だと知ったときには、正直、マジか、と思う。
その子のことを、好きになるかもしれない、と思ったからだ。
手伝ってやるよ、と言った矢先に登場したその子は、正直好みのタイプだった。明らかに色めき立ってしまったオレの様子は、常盤には気づかれていたらしい。
「もし彼女が緋々来のことを選んだら。そのときは仕方ないよ」
と常盤は殊勝なことを言う。
だとすれば、完全な負け試合ではない。
ただ、「花屋の女の子」とだけの情報でしか、碧衣のことは知らなかったけれど。
正直冴えない見た目だった常盤は、高校生になってから一気に垢抜ける。休みの日に、駅前の花屋で、手伝いをしている同年代の女の子が気になる、と聞いていた。
その子のことを知らなかったオレは、
「任せろ、手伝ってやるよ」
と言ったと思う。
おしゃれに関心のなかった常盤にテコ入れして、垢抜けを手伝った。常盤は元々の素材がよかったから、すぐに見た目に反映されて、中々モテてきたらしい。
やったな、と友達の快挙として単に喜んでいた。常盤が競合になるだなんて、思っていなかったからだ。
そして間もなく、碧衣と知り合った。それが常盤の好きな子だと知ったときには、正直、マジか、と思う。
その子のことを、好きになるかもしれない、と思ったからだ。
手伝ってやるよ、と言った矢先に登場したその子は、正直好みのタイプだった。明らかに色めき立ってしまったオレの様子は、常盤には気づかれていたらしい。
「もし彼女が緋々来のことを選んだら。そのときは仕方ないよ」
と常盤は殊勝なことを言う。
だとすれば、完全な負け試合ではない。
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