【完結】end roll.〜あなたの最期に、俺はいましたか〜

みやの

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第3章

#1

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 最後の診察はいつだっただろうか。

(そうだ、もう最後の通院から3ヶ月経つのか……)

 結局、文月さんに返し損ねたハンカチと焼き菓子の紙袋を、診察の時に佐々木先生に渡すことにしたのだ。
 
 その時の診察と血液検査で異常がなかったので、「次は半年後に様子見せに来てください~」とのんびり言われ、処方薬もなく家に帰された。

 佐々木先生に紙袋を渡したら少しキョトンとしてたけど、「律儀だねぇ」なんて言って笑って受け取ってくれた。

 『飛鳥呼ぼうか?』とPHSを取り出そうとしてくれたが、俺はそれを慌てて「め、迷惑だし特に用事ないんで……!」と阻止した。

 佐々木先生は「あ、そう?」なんてあっさり手を止めてくれたのでよかった。

 そこから3ヶ月経った俺の体調は、というと。

(絶不調極まりないな……)

 ベッドに体を埋めて、布団にくるまり「うーん」と唸る。

 自分でもわからないが、何故か不眠症になり始めたのだ。

 診察が終わって1ヶ月程度は元気だった。

 というか、まあ普通。

 しかし2ヶ月目に突入した辺りから、食欲不振の気が出てきた。
 
 まあでも、入院した時に比べたらメンタルもそこまで落ちているわけではないし、食欲自体もゼリー飲料とかは食べられるし……と思って放置していたが、3ヶ月目になってついに不眠症を発症したのだ。

 原因を探ってみてはいるが、全く心当たりがない。

 ネットで検索しても何も出てこない。

 そういえば最近は、貯金も少なくなってきたからバイトでも始めようかと求人を見漁ってたくらい。

 ただ別にそれが特段、重荷になっていたかと言われればそうではないとはっきりわかる。

 体調とメンタルが整えば、自然と体を動かしたくなるものなのだ。

 日中やることが無さすぎて、何か国家資格でも取って就職しようか、しばらくはバイトで体を慣らそうか、なんて考えることができているのだから、メンタル自体は問題ないはずなんだ。

 じゃあ何――……。

 結局のところ、康祐さんは運命の番ではなかった。

 それは俺も康祐さんも承知の上だったし、文月さんとの話でもやはり運命ではないことが発覚した。

 とどのつまり、「オメガ喪失障害ではない」。

 だからこそ、何もしない、普通でいる、それが一番の最良な治療法だったはずだし、そのおかげで退院できて、なんだったら今は肉も食える。

(なのになんで寝れねーんだぁ……)

 仰向けになって、もぞもぞと体を動かす。

 天井を見つめていると、入院していた時のことを思い出す。

 あの時も、病室の天井を眺めていた。

 檻の中に入れられた気がして絶望して、どん底の中白い天井を睨んでいたような気がする。

 それでも、佐々木先生や文月さん、看護師さんが優しく接してくれたし、周藤たちも来られるときに来てくれていた。
 
 自分でもわかるほど、回復してた。

 喪失障害じゃないとなると、ただの欲求不満……?

 いや、……そう言えば結局ヒート自体はこなくなったしなぁ。

 それを佐々木先生に相談したら「ああ多分、そのうち来るよ」とだけ言われて「はあ」と返して会話が終わってしまったのだ。

 そのうち来るよとは一体……。

(嗚呼、結局……ままならないなぁ……)

 俺は、目を瞑って顔も毛布にくるまった。

 
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