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第8章
#1
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「よかったわ、1日で退院できて」
「すみません、カオリさんだって大変な時に車出してもらってしまって……」
「マスターに頼むわけにもいかないかな、と思って入院した時の緊急連絡先をとりあえず私にしておいたのよ。退院時も、産休中の私が一番動きやすいから」
「本当にすみません……」
頼りになるカオリさんだけど、少し心配になる程世話を焼いてくれる。
「ヒロくんも心配してたわよ」
「……申し訳ない」
(心配かけてばっかだな……俺は)
カオリさんは前を向いて運転しながら言う。
「本当はお迎え行くのちょっと反対されてたんだけどね、来ちゃった」
「え、いや!そ、そりゃそうですよ!周藤からしたらカオリさんが大事で心配なはずですから」
カオリさんは「ふふ、まあね」と笑う。
「でも私は、要くんの迎えに行きたかったの。前は行けなかったから」
(前回の退院時か)
もしかしたら、今回、カオリさんの頼まれごとの最中にヒートが来てしまったからカオリさんなりに気にしているのかもしれない。
(そんなこと思わせてしまって……もっと、強くならないとな)
カオリさんは言う。
「家は、要くん家でいいんだよね?」
「あ、……」
どうしようか。
ヒート期間中とはいえ、もう何もないし抑制剤ももらったし、もしカオリさんが良ければ……。
「もし、迷惑じゃなかったらカオリさん家に行ってもいいですか?」
「え?」
カオリさんは驚いた顔で、信号待ちの間俺を見た。
「俺、何も二人に返せていないので、せめてカオリさんがいつ何があってもいいようにカオリさんのそばにいたいな、って」
カオリさんは驚いた顔で、俺を見ていたが次第に信号が青に変わってしまいアクセルを踏んだ。
「でも、要くんの体調が心配だわ。気遣いは嬉しいけど……」
「ほらけど、周藤もカオリさんのこと心配だろうし……」
「まあそれはそうなんだけど……」とカオリさんは何かを思案しながら、車を走らせる。
「じゃあ要くん、うちに泊まってく?予定日まであと2日くらいだから。2泊3日とか!ヒロくんは夜にならないと帰ってこないし、朝は早く出ていっちゃうからさ」
(と、泊まり……?)
「そ、それは流石にご迷惑では……。夜には帰りますよ!周藤が帰ってくるなら」
「いやだめよ」
カオリさんは少し語気を強めていった。
「またヒートが来たら危ないから。うちに来るなら泊まっていって。それがダメなら一人でお家に引きこもり!さあどうする?」
カオリさんはいたずらっ子のような言い方で、ゲームでも提示するみたいにそう言った。
俺は、苦笑して「じゃあ、途中でパンツ買っていきます」と返した。
「そうね。私も家に要くんがいてくれるの、正直安心するの。初マタだから、ちょっと一人でいるとナーバスになりそうで」
ほんの少し弱々しい声で言ったカオリさん。
「だから、要くんのお世話してる方が気が紛れるっていう私欲もあったのよ」
そう言われ、なんて素直な人なんだ、と思わず笑ってしまった。
その後も二人で、ああでもないこうでもないと赤裸々にいろんな話をしながら途中でパンツなどの必要品を買って、俺はまた周藤宅に戻ることにした。
いつの間にか、右手の薬指のはめていたお守りがわりの曇ったシルバーリングは、康祐さんの写真の前に置きっぱなしになっていた。
「すみません、カオリさんだって大変な時に車出してもらってしまって……」
「マスターに頼むわけにもいかないかな、と思って入院した時の緊急連絡先をとりあえず私にしておいたのよ。退院時も、産休中の私が一番動きやすいから」
「本当にすみません……」
頼りになるカオリさんだけど、少し心配になる程世話を焼いてくれる。
「ヒロくんも心配してたわよ」
「……申し訳ない」
(心配かけてばっかだな……俺は)
カオリさんは前を向いて運転しながら言う。
「本当はお迎え行くのちょっと反対されてたんだけどね、来ちゃった」
「え、いや!そ、そりゃそうですよ!周藤からしたらカオリさんが大事で心配なはずですから」
カオリさんは「ふふ、まあね」と笑う。
「でも私は、要くんの迎えに行きたかったの。前は行けなかったから」
(前回の退院時か)
もしかしたら、今回、カオリさんの頼まれごとの最中にヒートが来てしまったからカオリさんなりに気にしているのかもしれない。
(そんなこと思わせてしまって……もっと、強くならないとな)
カオリさんは言う。
「家は、要くん家でいいんだよね?」
「あ、……」
どうしようか。
ヒート期間中とはいえ、もう何もないし抑制剤ももらったし、もしカオリさんが良ければ……。
「もし、迷惑じゃなかったらカオリさん家に行ってもいいですか?」
「え?」
カオリさんは驚いた顔で、信号待ちの間俺を見た。
「俺、何も二人に返せていないので、せめてカオリさんがいつ何があってもいいようにカオリさんのそばにいたいな、って」
カオリさんは驚いた顔で、俺を見ていたが次第に信号が青に変わってしまいアクセルを踏んだ。
「でも、要くんの体調が心配だわ。気遣いは嬉しいけど……」
「ほらけど、周藤もカオリさんのこと心配だろうし……」
「まあそれはそうなんだけど……」とカオリさんは何かを思案しながら、車を走らせる。
「じゃあ要くん、うちに泊まってく?予定日まであと2日くらいだから。2泊3日とか!ヒロくんは夜にならないと帰ってこないし、朝は早く出ていっちゃうからさ」
(と、泊まり……?)
「そ、それは流石にご迷惑では……。夜には帰りますよ!周藤が帰ってくるなら」
「いやだめよ」
カオリさんは少し語気を強めていった。
「またヒートが来たら危ないから。うちに来るなら泊まっていって。それがダメなら一人でお家に引きこもり!さあどうする?」
カオリさんはいたずらっ子のような言い方で、ゲームでも提示するみたいにそう言った。
俺は、苦笑して「じゃあ、途中でパンツ買っていきます」と返した。
「そうね。私も家に要くんがいてくれるの、正直安心するの。初マタだから、ちょっと一人でいるとナーバスになりそうで」
ほんの少し弱々しい声で言ったカオリさん。
「だから、要くんのお世話してる方が気が紛れるっていう私欲もあったのよ」
そう言われ、なんて素直な人なんだ、と思わず笑ってしまった。
その後も二人で、ああでもないこうでもないと赤裸々にいろんな話をしながら途中でパンツなどの必要品を買って、俺はまた周藤宅に戻ることにした。
いつの間にか、右手の薬指のはめていたお守りがわりの曇ったシルバーリングは、康祐さんの写真の前に置きっぱなしになっていた。
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