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第8章
#4
しおりを挟む「ほんぎゃあ!ぎゃあ!んぎゃあ!」
「っへ」
遠くから、猫の激しい鳴き声か⁉︎と思い目を開けたら、その鳴き声はどうやら少し奥の方にある分娩室から聞こえる声だった。
その分娩室の前の廊下には、大人たちが落ち着きなくウロウロしていた。
すると、ガラッと扉を開けた看護師が「生まれましたよ」と大人たちに声をかけ、彼らは歓声を上げながら分娩室へと入って行った。
それを遠目に見ている自分。
(あれ?カオリさんは?)
そういえば、俺、寝落ちしてた……。
座ったまま寝たせいで首が痛い。
スマホで時間を確認すると、朝の9時をすぎていた。
「え、朝……?」
どんだけ寝てたんだ自分。
待合室の方から明るい陽射しと、始業に向けて動いている人たちの気配を感じた。
同時にカオリさんはどうなった?という心配で、近くの看護師に声をかけてみる。
「あの、すみません」
「はい、どうされました?」
看護師は誰かのカルテを持ちながら、俺を見てくれた。
「周藤カオリの友人なんですが、彼女、どうなりましたか?」
俺の質問に、看護師は一瞬キョトンとした後、パッと笑顔に変わり指をさした。
「周藤さんならたった今、生まれましたよ!あそこの分娩室です!入っていいか、私確認してきましょうか?」
看護師がそう言いながら行こうとしてしまうので、俺は慌てて「い、いや大丈夫です!」と引き留めると、看護師は不思議そうに「?そうですか?わかりました」と言ってカオリさんがいるらしき分娩室に向かった。
(はぁ……生まれたか……)
「よかったぁあぁ……」
俺は再び同じ椅子に座り直して、深くため息を吐いた。
動かしてなかった体はあちこちが、ポキポキと鳴り、俺も歳か?と思いながら伸びをした。
さっき分娩室に入って行ったのは親族だろうな。
はるばる来たんだろう。
孫の顔とか、見に……。
俺は無意識に自分の腹をさすった。
(俺、一生こんなところこれないはずだったから……)
カオリさんに感謝だな。
病院の匂いを胸いっぱいに取り込み、息を吐いた。
新しい命を手助けするこの病院の空気は、ここでしか味わえない。
もちろん、すべての子がちゃんと生まれる保証はない。
でも、誰かの誕生のために手を尽くす医者がここにはいる。
(康祐さんと、来てみたかったな……)
もう、外来の受付が始まっているようで待合室の方からは受付が患者を誘導する声が聞こえ始まった。
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