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「赤竜様、会いに参りました」
一人の女性が公爵邸を訪れた。その女性は高貴な身分の女性で侍女を連れ、勝手したる我が家のような振る舞いで公爵邸の執事を後ろに下がらせると赤竜に恋人のように抱きついた。ふわりと香る強いバラの香りに混じった女の体臭に赤竜は顔を顰めた。
この女は高貴な身分であり未婚であるが未通ではない。男を知っている匂いに赤竜は溜まらず体を離して距離を置いた。
「まあ、赤竜様は照れ屋ですわ」
いや、あんたを相手にしていないだけだと赤竜は言わない。
女性へのマナーではなく、今はわずらわしいしつこい女に付き合っている暇はないとの赤竜の判断だ。今、赤竜には運命の出会いが訪れるかもしれない大事な足がかりがあるのだ。それで胸が一杯で、あれほど熱心に行っていた女性のナンパも興味がうせ疎かになっている。
運命が見つかれば竜とはその人一直線。他にはぶれない生き物なのだ。
これもその枠に一応は漏れずに入っている。
「わたくし、お父様に結婚を早めてとお願いしているんですのよ」
「…」
そう言って頬を赤らめたのは女性であった。そしてこの女性こそ国王が公爵へ降嫁させようとしているミゼラ姫である。見た目は美しい姫である。
そして赤竜こと公爵にしな垂れかかろうとしてあっさりとかわされ「もうっ」と頬を膨らませている。
それさえどうでもいいと投げやりの公爵は、今のところ彼女の来訪に一ミクロンも喜んでいない。それどころかうっとうしいと内面だけでなく表情にまで表している。
今は赤竜にとって他に目を向けられないほど大事な時期なのだ。
自分の一生にかかわるような。
勝手に押し付けられた女になどしかも好みでもない他の男の匂いを複数匂わせるような女などごめんだった。竜は誤魔化せない。それすら頭が回らない程度のぽあぽあ娘に今更、対して主君と仰いでもいない国王の面子を立てて構ってやる気も起きない。早々にお帰り願おうと回転の早い竜の思考で赤竜は判断を下した。
「姫、姫を慕う男は複数いらっしゃるでしょう。私との結婚は王とその周辺が勝手に画策しているに過ぎません。貴方も体を許すほど好いている男がいるのでしょう。私のことは構いません。そちらに嫁いでください」
あっさりと姫が隠しているだろう事をつみびらかにしてみせた。後ろの侍女の顔が青ざめるがぽあぽあ姫は気づかない。
「まあ、つれないお言葉。わたくしは赤竜様に一途に全てをささげている女ですのよ」
見え透いた嘘に反吐が出る。赤竜は顔を顰めて渋面を作り侍女を見るが、姫は必死に赤竜にこびて腕に胸を押し付け、媚びてくる。
ああ、俺には今、同胞たる竜の娘(爆笑)が待っているかもしれないのに。
いや、待っている。見つけてあげるよハニー!
「最近は将来有望の騎士を手懐づけようとして失敗なされたとか。姫は気が多くいらっしゃる」
「ま、誰かしら。そんな酷い噂を流す酷い人は。信じてはなりませんわ、赤竜さま。私は貴方一筋。信じてください。そんな下流のものに興味はございません。」
どうにも認めない姫にはーと息を吐いて座っていたソファから立ち上がった竜は執事に外出する旨を伝える。姫が驚いて瞬きするがそこはたらし、簡単に慣れた様子で甘い嘘をついて女に笑いかける。
「美しい姫君、貴方との時間は甘い砂糖菓子のようで魅力があるが仕事です。私は邸を出ますのでどうぞ気分が納得するまでここでお過ごしください。使用人は貴方に満足いくよう仕えるよう申し付けておきます。しかしお帰りはお早めに。姫は未婚女性ですので」
ありもしない腹を探られ、ありもしない既成事実を押し付けられても困る。
最悪、自分の子でもない子供を擦り付けられても堪らないと赤竜は嘯く。
もちろん、姫には聞こえない小声で。
国王の負わす宮廷で王族貴族がいる社交場は時に嘘と虚実の入り混じった取引も行われる狐や狸の巣窟だが、強かになりすぎる女もかわいくはない。しかも男を下に見て自分こそ女王だと振る舞い、下僕にしようとする女は赤竜の好みではない。
取り巻きの一人になどされる気などないのだから早いところ王には書状を送り手を打っておこう。こちらが明確に拒絶すれば王とていなやはいえまい。ただ姫の面子はつぶれるだろうが、知ったことか。
仕事などする気がない赤竜は同胞への手がかりが見つかってないか報告を受けるために私領にある私兵が集る城門近くへと足を向ける。
なんとしても見つける。その強い意志を持って。
「運命の番は必ず見つけるっ」
「赤竜様、会いに参りました」
一人の女性が公爵邸を訪れた。その女性は高貴な身分の女性で侍女を連れ、勝手したる我が家のような振る舞いで公爵邸の執事を後ろに下がらせると赤竜に恋人のように抱きついた。ふわりと香る強いバラの香りに混じった女の体臭に赤竜は顔を顰めた。
この女は高貴な身分であり未婚であるが未通ではない。男を知っている匂いに赤竜は溜まらず体を離して距離を置いた。
「まあ、赤竜様は照れ屋ですわ」
いや、あんたを相手にしていないだけだと赤竜は言わない。
女性へのマナーではなく、今はわずらわしいしつこい女に付き合っている暇はないとの赤竜の判断だ。今、赤竜には運命の出会いが訪れるかもしれない大事な足がかりがあるのだ。それで胸が一杯で、あれほど熱心に行っていた女性のナンパも興味がうせ疎かになっている。
運命が見つかれば竜とはその人一直線。他にはぶれない生き物なのだ。
これもその枠に一応は漏れずに入っている。
「わたくし、お父様に結婚を早めてとお願いしているんですのよ」
「…」
そう言って頬を赤らめたのは女性であった。そしてこの女性こそ国王が公爵へ降嫁させようとしているミゼラ姫である。見た目は美しい姫である。
そして赤竜こと公爵にしな垂れかかろうとしてあっさりとかわされ「もうっ」と頬を膨らませている。
それさえどうでもいいと投げやりの公爵は、今のところ彼女の来訪に一ミクロンも喜んでいない。それどころかうっとうしいと内面だけでなく表情にまで表している。
今は赤竜にとって他に目を向けられないほど大事な時期なのだ。
自分の一生にかかわるような。
勝手に押し付けられた女になどしかも好みでもない他の男の匂いを複数匂わせるような女などごめんだった。竜は誤魔化せない。それすら頭が回らない程度のぽあぽあ娘に今更、対して主君と仰いでもいない国王の面子を立てて構ってやる気も起きない。早々にお帰り願おうと回転の早い竜の思考で赤竜は判断を下した。
「姫、姫を慕う男は複数いらっしゃるでしょう。私との結婚は王とその周辺が勝手に画策しているに過ぎません。貴方も体を許すほど好いている男がいるのでしょう。私のことは構いません。そちらに嫁いでください」
あっさりと姫が隠しているだろう事をつみびらかにしてみせた。後ろの侍女の顔が青ざめるがぽあぽあ姫は気づかない。
「まあ、つれないお言葉。わたくしは赤竜様に一途に全てをささげている女ですのよ」
見え透いた嘘に反吐が出る。赤竜は顔を顰めて渋面を作り侍女を見るが、姫は必死に赤竜にこびて腕に胸を押し付け、媚びてくる。
ああ、俺には今、同胞たる竜の娘(爆笑)が待っているかもしれないのに。
いや、待っている。見つけてあげるよハニー!
「最近は将来有望の騎士を手懐づけようとして失敗なされたとか。姫は気が多くいらっしゃる」
「ま、誰かしら。そんな酷い噂を流す酷い人は。信じてはなりませんわ、赤竜さま。私は貴方一筋。信じてください。そんな下流のものに興味はございません。」
どうにも認めない姫にはーと息を吐いて座っていたソファから立ち上がった竜は執事に外出する旨を伝える。姫が驚いて瞬きするがそこはたらし、簡単に慣れた様子で甘い嘘をついて女に笑いかける。
「美しい姫君、貴方との時間は甘い砂糖菓子のようで魅力があるが仕事です。私は邸を出ますのでどうぞ気分が納得するまでここでお過ごしください。使用人は貴方に満足いくよう仕えるよう申し付けておきます。しかしお帰りはお早めに。姫は未婚女性ですので」
ありもしない腹を探られ、ありもしない既成事実を押し付けられても困る。
最悪、自分の子でもない子供を擦り付けられても堪らないと赤竜は嘯く。
もちろん、姫には聞こえない小声で。
国王の負わす宮廷で王族貴族がいる社交場は時に嘘と虚実の入り混じった取引も行われる狐や狸の巣窟だが、強かになりすぎる女もかわいくはない。しかも男を下に見て自分こそ女王だと振る舞い、下僕にしようとする女は赤竜の好みではない。
取り巻きの一人になどされる気などないのだから早いところ王には書状を送り手を打っておこう。こちらが明確に拒絶すれば王とていなやはいえまい。ただ姫の面子はつぶれるだろうが、知ったことか。
仕事などする気がない赤竜は同胞への手がかりが見つかってないか報告を受けるために私領にある私兵が集る城門近くへと足を向ける。
なんとしても見つける。その強い意志を持って。
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