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――翌日――

 今日は朝から大忙しで、湖に行く準備をした。昼食を終えると、エミルさんの家に近所の人が集まってきた。

 一緒に向かうフセイさん夫妻、ジョージさん一家、ケビンさん一家、ヒジョフさん夫妻に挨拶し、荷運び馬2頭を借りて湖に向かった。

 道中、ジョージさんの8歳の娘のキミちゃんとケビンさん一家の8歳の息子のデリルくん、7歳の娘のミシューちゃんは、お出かけするのが楽しいのかキャッキャとにぎやかに追いかけっこをしていた。

「お前たち、俺たちからあまり離れるなよ! モンスターが出たら危ないぞ!」
「「「えー、スライムくらいなら倒せるもん!」」」

(そうか、俺はこの子たちよりステータス的には年下なのか……。)

「お前が一番弱いみたいだぞヨール。がははは!」

 エミルさんが俺の頭をガシガシと撫でる。

 この機会に村の皆さんと仲良くなろうと、積極的に話しかけてみた。俺がエミルさんの笑い方の物マネを披露すると、笑いを取ることが出来た。が、エミルさんから頭を小突かれちゃったよ。

 スライム2匹とミドルハウンドが1頭襲ってきたが、スライムはキミちゃんが火属性のスキルでやっつけて、ミドルハウンドはエミルさんが飛び掛ってきたところをナタで脳天唐竹割りとばかりに切り裂いた。湖で解体できるように、軽く血を抜いて馬の荷台に積み込んだ。

(みんなつえぇ……。)

 そんなこんなで湖に到着すると、平らなところにみんなで協力してテントを張り、漁の準備を始めた。女性人と子供たちは野草の採取に向かった。

 2点に石をつけた麻縄で作った目の細かい網を広げ、片方の石をエミルさんが、もう片方をジョージさんが手に取り、

「「せー、の!!」」

 掛け声とともにエミルさんが左前方に、ジョージさんが右前方に投擲した。見事に広がった網が湖に広がりながら着水した。

 後方で待機していたケビンさん、フセイさん、ヒジョフさんで手繰り寄せる。

 イワシのような魚が8匹くらいかかっていた。俺はそれを籠に拾い、エミルさんのナタで頭を落とし、内臓を洗い流してから開きにし、塩水に少し浸してから天日干しにする。

 ポイントを変えながら何度も網を投擲し、200匹以上の収穫があった。獲ろうと思えばこの5倍以上の漁獲は見込めるだろうが、万が一を考えあまり獲り過ぎないようにしているらしい。

 しばらくすると野草摘みのみんなも帰ってきて、ここからお待ちかねの水浴びタイムだ。まずは男性陣から、週に1度ということでかなり念入りに体を洗う。

 洗浄用のオイルはレモンとミントのような香りがしてすっきりする。体をこすったサボンをゆすぐとかなり汚かった。頭も洗って全身ピカピカだ、大満足。
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