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(さてさてー、レベル2に上がったこっちはと……。)

(シャドークロー レベル2:自分の体の好きな場所を指定し、闇属性の魔力をまとわせる。最大4箇所まで同時発動可能。身体能力強化。)

 おぉ……。これはすごいんじゃない? 手足とか? 身体能力強化ってこれ、かなり有能スキルになったんじゃないの!?

「……ル、おいヨール!」
「ひゃい!」

 おっといけない、夢中になりすぎていたようだ。

「あと10分もすれば街に着く。ギルド長と話をしたら受付でお前のことを探している人がいないか聞いてみよう。」
「はい、よろしくお願いします。」

 騎士の方も交えて話をしていると、街に到着した。

 レギンの街は高い石壁に囲まれた大きな街だった。
 ジョール村出発から3時間程でレギンの街に到着した。騎士の二人が門番に事情を説明すると、俺たちは街の中に入ることが出来た。

 レンガや木材、土壁、多様な住宅が並び、早朝だというのに大通りは賑わっていた。朝市や軽食の出店等、地球では何かのお祭りでもないとお目にかかれないような光景だ。

 騎士の案内で冒険者ギルドに到着すると、御者はその場で役目が終わったようで、帰っていった。騎士の二人は馬車を返却するということで、俺とエミルさんの二人でギルドマスターを訪ねる。

 受付の20代前半であろう女性に声を掛ける。

「ジョール村のエミルだ。ギルド長のエバンス殿に会いたい。取り次いでくれるか?」
「お話は聞いております。こちらへ。」

 俺たちはすぐにギルド長室へ案内された。受付嬢が扉をノックすると、

「入れ。」

 低く威厳のある声に少し腰が引けたが、エミルさんに続き中に入ると、窓の近くに銀髪をオールバックにした鋭い目つきの偉丈夫が立っていた。

「どうぞ、掛けてくれ。」

 俺たちが高級感のある3人掛けの革のソファーに座ると、エバンスさんは対面に座った。緊張した俺は、ついキョロキョロと目線が泳ぐ。部屋の中にはトロフィーや騎士の絵、彫像品などが厳かに飾られていた。

「エミル殿といったか、今回は大変だったな。既に森の3割程は調査が終わっている。オークの集落が見つからない事を祈るばかりだ。」

 エバンスさんはやり手のようで、連絡を受けてすぐに冒険者達に号令を発し、5つのチームを立ち上げた。ローラー作戦により迅速に調査を進め、足の速い馬を操る数名の伝令役が、森とギルドを往復する事で、常に最新の情報が入ってくる。
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