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 その間、村長は村のみんなを中広場に集め、今回の事件を報告し、2世帯1グループとし、村の周囲の警戒を命じた。エミルさん一家と村長の家族は、村の家に待機だ。エミルさんは村長の奥さんに添え木した腕を布でぐるぐる巻きにされていた。

 1時間程すると、魔道具が返ってきた。トンビは球体に戻ると手紙の上でバラバラに砕けた。回数制限があるのだろう。

 手紙を読むと、

『至急冒険者を召集し、調査を依頼する。護衛の騎士を派遣するゆえギルドに参られよ。ギルド長 エバンス・ユーストリア』

「ふむ、ワシが村を離れるわけにはいかんだろう。エミル怪我をしているお前は村の戦力にならん、代理を頼めるか?」
「そうだな、当事者である俺が行くべきだろう。マチルダを頼んでもいいか? ついでにヨールを連れて行く。少し早まっちまったが、こいつの家族が探しているかもしれない。人の多い街の方がいいだろう。」

 予定よりも早く街に行くことが決まった。いつ騎士が迎えに来るか分からない、エミルさんと俺は仮眠を取ることにした。

 うっすらと夜が明け始めた頃、馬の足音といななく声が聞こえた。

 そっと扉を開くと、ロウソクの灯りがぼんやりと家の中を照らしていた。

(今日で最後か……。)

 リビングに降りると、

「寂しくなるわね。」

 マチルダさんは俺が目覚めるのを待っていてくれたようだ。優しく抱きしめられる。

「なんだ二人とも起きていたのか。」

 エミルさんもリビングへ降りてきた。

「エミルさん、マチルダさん、短い間でしたが本当に楽しくて幸せな生活ができました。お世話になりました。このご恩は一生忘れません!」

 自然と涙が流れてしまった。エミルさんとマチルダさんは俺を抱きしめてくれた。

「いつでも遊びにおいで、あなたなら大歓迎なんだから。」

 マチルダさんも目に涙を浮かべていた。エミルさんは優しく微笑みながら俺の頭をガシガシと撫でた。

「じゃあ、行くか。」

 マチルダさんが用意してくれていたサンドウィッチを受け取り、自分の服に着替え、外に出た。

 中広場には槍を持った騎士が二人と御者が一人、小さな籠の馬車と2頭の馬が待っていた。

「すぐに出発されますか?」
「あぁ、頼む。」

 1頭に御者の方が乗り、1頭に騎士が跨った。エミルさんと俺ともう一人の騎士が馬車の中だ。

 エミルさんは騎士にオークと遭遇した場所を詳しく教えていた。俺は新しく覚えていたスキルを確認しようと考えた。

(ステータス)

 黒川 夜
 レベル:11
 属性:闇

 HP:13
 MP:13
 攻撃力:6
 防御力:6
 敏捷性:6
 魔力:6

 装備
 ・村人の服
 ・村人のズボン
 ・麻紐のベルト
 ・スーパーの肌着
 ・クマ模様の靴下(水色)
 ・スーパーのボクサーパンツ
 ・薄汚れたシューズ(学校指定)
 ・麻の袋(大銀貨30枚)

 スキル
 ・シャドークロー レベル2
 ・ダーク レベル1

(おぉ、5歳児には変わらないけど素のステータスが伸びてる! シャドークローもレベル2に上がってるじゃん!)

 ダークの詳細を確認すると、

(ダーク レベル1:1つの対象を指定し、視界を闇で覆い隠す。)

 ふむふむ、目眩まし系のスキルか。戦術の幅が広がるし、なかなかいいんじゃないのこれ?
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