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第31章 曖昧(fuzzy)であることは美しい
アンドロギュノス
しおりを挟むモナ・リザを紐解く鍵、
「アンドロギュノス」
アンドロギュノスとは、、、
ギリシャ語で男性を意味する「アンドロ」と、女性を意味する「ギュノス」からつくられた言葉であることからわかるように、ふたつの性をもつ「両性具有」のこと。古代神話や錬金術の図像に見られるように、男と女の性がひとつの体に存在することを意味しているが、それは人間が二つの性に分かれる以前の完全体であることを表わすためであった。このようにそもそもは肉体、つまり人間の表面や見た目においての性について使用されていたが、19世紀ごろから肉体以外、つまり人間の内面や服装などにおいて、双方の性を喪失した性別不能、逆に両性をもつことをテーマにした小説などが見られるようになった。ただしアンドロギュノスにおける性は、同性愛やジェンダー論のような捉え方で考えられるものではない。もともとプラトンの『饗宴』で、第三の性として男女がくっついた完全な存在を指していた。ギリシャ神話に出てくるひとつの体で男性器と乳房を持ったヘルマプロディトスと混同されることもある。舟越桂の「スフィンクス・シリーズ」は、まさにヘルマプロディトス的な彫像であろう。現在では、男女の性を感じさせない中性的な存在を「アンドロギュノスな」という言葉で指すことが多い。
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