テンプレ通りに悪役令嬢ものを書いてみた Ⅱ

希臘楽園

文字の大きさ
5 / 6

【4】やっぱり傾国になっちゃった

しおりを挟む
「はっはっは
本当に茶番劇だな。この国の王太子殿には笑わせてくれる」

現れたのは超イケメン。
頭脳明晰 文武両道 容姿端麗 眉目秀麗 ・・・
そんな四字熟語が次々出てくる様な。 

「誰だお前は! 王太子である私に向って! お前も不敬罪にしてやろうか!」

お前も蝋人形にしてやろうか?は閣下だけど、それと同じ口調で吼え立てる。

「御存知ないのですか?
私はボーイング帝国の第三皇子エイブラハムです。
ハンドレページ公爵殿の招きで、この国に留学していたのですが」

ボーイング帝国といったら大国だよ。この国と較べられない程の。
そんな国の皇子殿下とは! とんだ大物の出現だ。
見れば、グロリア様は皇子殿下に微笑みかけている。いつも仏頂面なのに。
ハンドレページ公爵殿下の招きとあれば、当然面識があるよね。
王太子殿下が皇子殿下を知らなかったのも驚きだけど。

「ふん、いくら大国だろうと所詮は第三皇子。王太子である私に対し・・・ぐわっ」

王太子殿下はそれ以上言えなかった。
ぶん殴られて転がったのだ。騒ぎを聞きつけて来た国王殿下によって。
グロリア様や私の側にはハンドレページ公爵殿下が立つ。
おそらく国王殿下と同様、誰かが知らせに走ったのだろう。
いつもは穏やかな公爵殿下も今回ばかりは厳しい表情だ。
そりゃ実の娘が愚弄されればね。

王太子殿下をぶん殴った国王殿下は、私たちや皇子殿下の前に進み出て深々と頭を下げる。

「この度の愚息の不敬、重々かさねがさねお許し願いたい」

「父上! 何故私を殴った! 何故あいつらに頭を下げるんだ!」

なおも吼え立てる王太子殿下を国王殿下が厳しく制す。

「うるさいっ! お前は事の重大さがちっとも解っていない! 
お前は廃嫡する! とっとと引き下がれ!」

廃嫡と聞いて更に吼える元王太子殿下を衛兵が連行する。
取巻きの連中も一緒に。


**********


最後に顛末を書いておこう。

まず王太子殿下をはじめ、その取巻き連中は軒並み廃嫡。
出身の貴族家も降格処分となった。
ブラックバーン男爵家なんかは貴族としては最下級だから爵位返上、平民となってしまった。
その領地はハンドレページ公爵領に併合された。

元々ハンドレページ公爵家は王家の行く末に懐疑的で、今回のグロリア様の婚約も王家に頼まれて仕方無しだった。だから「王家の方で不祥事があれば覚悟しておけよ」という事だったのだけど、王太子殿下があの通りバカだったので図らずとも叶う結果となったんだ。
こんな状態だから、ハンドレページ公爵領はボーイング帝国と同盟を組んだ上で独立。その他のウェストランド王国領はボーイング帝国が併呑するプランもあったらしい。
しかし、あからさまな併呑では他の隣国を刺激してしまうという事で、ハンドレページ公爵領を含むウェストランド王国は存続となった。
ただし現国王殿下は退位。
新国王としてボーイング帝国のエイブラハム皇子殿下が即位。王妃にはグロリア様がなった。
グロリア様にとっても、あんなバカ王太子殿下と一緒になるより、エイブラハム殿下なら願ったり叶ったりだろう。
私も王太子殿下との婚約破棄の一端を作った訳で、その点では鼻が高いや。
もちろん若輩の二人だから、ハンドレページ公爵殿下がサポートに当たる。
つまりウェストランド王国はボーイング帝国とハンドレページ公爵の共同統治となるんだ。

バカ王太子殿下の断罪から始まった今回の騒動。
あの王太子殿下がのさばる様ではお先真っ暗だったけど、まずは巧く収まったんじゃないかな。
ま、ハンドレページ公爵の方でもグロリア様の婚約者としてエイブラハム皇子殿下を留学生として送り込んだり、ボーイング帝国と裏で密約を交わしていたのだと思う。貿易相手として双方に利がある様にね。
クソゲーの世界に生きる事になった私だけど、まともな人間が居て良かったよ。


え? 私はどうだって? 聖女でヒロインのくせにロクに活躍してないって?
それはそうなんだけど、元々聖女であっても国中に結界を張ったり、めちゃくちゃ治癒に優れていたりする事は無かったんだよ。
私としては家族でのんびり、俗にいうスローライフを送りたいのだけど、紛い物でも公爵令嬢になっちゃったし、公爵殿下にはお世話になりっぱなしだし、なるべく望まれるままにしたいと思う。
そうでなくても父親(本当のね)の作るパンが評判を呼び、今では工場を経営するまでになっちゃったんだ。
だから平民に戻っても私は社長令嬢という訳。

ま、クソゲーの世界の生活を謳歌したいと思う。
私の話はこれでおしまい。
ご拝読ありがとうございました!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

悪役令嬢の乳母のお話

重田いの
ファンタジー
物語の悪役令嬢アデライードの乳母となった伯爵夫人の独白。 またの名を、悪役令嬢の乳母のお話。

醜悪令息レオンの婚約

オータム
ファンタジー
醜悪な外見ゆえに誰からも恐れられ、避けられてきたレオン。 ある日、彼は自分が前世で遊んでいたシミュレーションRPGの世界に転生しており、 しかも“破滅が確定している悪役令嬢の弟”として生きていることに気付く。 このままでは、姉が理不尽な運命に呑まれてしまう。 怪しまれ、言葉を信じてもらえなくとも、レオンはただ一人、未来を変えるために立ち上がる――。 ※「小説家になろう」「カクヨム」にも投稿しています。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

破滅を逃れようとした、悪役令嬢のお話

志位斗 茂家波
ファンタジー
‥‥‥その恋愛ゲームは、一見するとただの乙女ゲームの一つだろう。 けれども、何故かどの選択肢を選んだとしても、確実に悪役令嬢が破滅する。 そんなものに、何故かわたくしは転生してしまい‥‥‥いえ、絶望するのは早いでしょう。 そう、頑張れば多分、どうにかできますもの!! これは、とある悪役令嬢に転生してしまった少女の話である‥‥‥‥ ――――――― (なお、この小説自体は作者の作品「帰らずの森のある騒動記」中の「とある悪魔の記録Ver.2その1~6」を大幅に簡略したうえで、この悪役令嬢視点でお送りしています。細かい流れなどを見たいのであれば、どちらもどうぞ)

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

処理中です...