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成功か失敗か
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ボクは生きている間、なるべく後悔しないようにしてきた。そんなボクのちょっと幼い時のお話を紹介したいと思う。
ちょっと大きめのランドセルでボクは小学校に入学した。田舎ではあるが、決して山奥とかではないので、一般的なコンクリートの道を一、二分歩くとすぐに小学校に着く。ボクは四月生まれなので、入学してすぐに誕生日を迎えた。それから二ヶ月ほどすると、最初の授業参観が行われ、ボクの両親が見にきた。家に帰ってきて、ボクは「どうだった?」と父に聞いた。父は少し困ったような顔をして、「一人だけ四年生がいるみたいだった」と答えた。「そっかー」って感じの返事をした気がする。今になると、父の言いたかったことが分かる気がする。良い意味でも、悪い意味でもボクは周りに比べて大人びているのだと思う。そして、そんな生徒をより伸ばそうとしてくれる先生と、わかりやすく邪魔者扱いをする先生がいる。ボクが先生でも、ボクみたいな生徒は嫌だと思うなと気づき、わざと子どもっぽく振る舞ったりしたこともあった。多分、すごく上手くいっていなかったと思う。
ボクは忘れ物係をしていた。中学のようにそれで成績がついたりする訳ではないが、とりあえずチェックする係で、黒板係や並ばせ係と比べて楽だったからしていた。ボクと六年間同じクラスだったある子がいる。その子は勉強ができないという訳ではないし、よく手もあげていた。しかし、宿題の計算プリントを忘れたり、漢字練習のノートを忘れたり、バレさえしなければ忘れ物をしていること自体を黙っていた。ボクは気づいていることもあったけど、見逃したりもしていた。きっと、家に帰って宿題よりも楽しいものが目に入ると、そっちに気を取られてしまい、翌日忘れてしまうのだと思う。その時は同級生も先生にも、その子は活発で、学級委員もする明るい子というイメージがあったと思う。
中学に入ると、忘れ物をすれば成績が下がるようになった。小学生の時に比べて、忘れ物を厳しく取り締まられるようになった。その子の名前は未提出者として、よく黒板に張り出されていた。
ボクには大きな疑問がある。先生が宿題を出すのは当然だし、提出しろと言うのも当たり前だと思う。でも、生徒を追いかけ回し、精神的に追い込むほど宿題の提出を強制するのは間違いではないだろうか。心の成長の過程で宿題を出すということが苦手な子がいてもおかしくないのに、ボクの学校では大量の課題を出し、大量の未提出者や再提出者を生んでいる。人数の少ない学校で、成績のために生徒が必死に提出するから、先生達も増やし続けるのだと思う。
去年の秋頃だろうか、その子は休みがちになった。そして、今はみんなの教室でテストや授業は受けず、別で受けているようだ。ダイレクトに言うと、半分不登校になってしまった。
ボクの学校はいたって普通の公立だが、他の学校と比べても課題の多さ異常だそうだ。普通を目指して入学したはずなのに、普通ではない宿題の量で、普通の学校生活がおくれなくなった子がいる。ここでつまずいてしまったら、高校はどうなるだろうか。大学、就職はどうなるだろうか。果たして先生達に、ボク達の大きな未来を左右していることの責任感はあるのか、ボクには先生達がすごく軽く扱っているのではないかと思う。こんなこと口になんて到底できないのだが、誰か遠く離れた人に聞いてほしい。
「どう思いますか?」
先生達はボク達のことを思ってやっている。先生達は間違っている。色んな考えの人がいると思う。
窓を割らせろとは言わない。宿題をなくせとも言わない。金八先生になれとも言わない。ボクよりもずっと長い間生きてきている先生を尊敬しているし、いつもありがとうとも思っている。とても大変な仕事だということも、理解しているつもりだ。だからこそ、一度立ち止まってボク達の立場になって考えてほしい。そんなに行事を入れて、生徒の体力は?授業の三分前に着席したら、生徒のトイレは?そんなに宿題を出して、全員が出せる?
「ちょっと待って!」
もしボクにそんなことを言う勇気があったら、そう言いたいと思う。ボクの学校だけの話かもしれないし、ボクの凝り固まった意見なのだけれど、どんな人にもそういう瞬間って必要だと思うのだ。その仕事を引き受けて自分の身体は大丈夫?息子に勉強をさせすぎてない?そんなに野菜を買って、本当に食べる?ちょっと止まれば、防げる事件はたくさんあると思う。時間に追われる現代社会だから、いつもなんてできないと思う。でも、時々立ち止まって、振り返って、またスタートする。自分の幸せのためにできることの一つではないかと思う。
ボクにはまだまだ足りないものがたくさんある。経験も少ないし、体力もあまりない。まだ大人がいないとできないことがいっぱいで、自分の未熟さを痛感することが多々ある。でも、大人には見えない景色が今のボクに見えているとしたら、今を満喫したいと思う。こうして受験勉強の合間に中学校生活だけでなく、十五年間を振り返ると、辛いことだって出てくるけれど、クスッとしたりすることもある。
世知辛い時代なのは中学生でも痛感できるほどで、大人はもっと苦しんでいる。綺麗事だけでは切り抜けられない嵐の連続で、その中には耐えられない人もいる。そのくせ汚い事だけでも生きていける訳じゃなくて、何が一番大事かって、ボクにとって一番美味しいカフェオレを作れるようになることが大事なんじゃないのかな、と思う。
ちょっと大きめのランドセルでボクは小学校に入学した。田舎ではあるが、決して山奥とかではないので、一般的なコンクリートの道を一、二分歩くとすぐに小学校に着く。ボクは四月生まれなので、入学してすぐに誕生日を迎えた。それから二ヶ月ほどすると、最初の授業参観が行われ、ボクの両親が見にきた。家に帰ってきて、ボクは「どうだった?」と父に聞いた。父は少し困ったような顔をして、「一人だけ四年生がいるみたいだった」と答えた。「そっかー」って感じの返事をした気がする。今になると、父の言いたかったことが分かる気がする。良い意味でも、悪い意味でもボクは周りに比べて大人びているのだと思う。そして、そんな生徒をより伸ばそうとしてくれる先生と、わかりやすく邪魔者扱いをする先生がいる。ボクが先生でも、ボクみたいな生徒は嫌だと思うなと気づき、わざと子どもっぽく振る舞ったりしたこともあった。多分、すごく上手くいっていなかったと思う。
ボクは忘れ物係をしていた。中学のようにそれで成績がついたりする訳ではないが、とりあえずチェックする係で、黒板係や並ばせ係と比べて楽だったからしていた。ボクと六年間同じクラスだったある子がいる。その子は勉強ができないという訳ではないし、よく手もあげていた。しかし、宿題の計算プリントを忘れたり、漢字練習のノートを忘れたり、バレさえしなければ忘れ物をしていること自体を黙っていた。ボクは気づいていることもあったけど、見逃したりもしていた。きっと、家に帰って宿題よりも楽しいものが目に入ると、そっちに気を取られてしまい、翌日忘れてしまうのだと思う。その時は同級生も先生にも、その子は活発で、学級委員もする明るい子というイメージがあったと思う。
中学に入ると、忘れ物をすれば成績が下がるようになった。小学生の時に比べて、忘れ物を厳しく取り締まられるようになった。その子の名前は未提出者として、よく黒板に張り出されていた。
ボクには大きな疑問がある。先生が宿題を出すのは当然だし、提出しろと言うのも当たり前だと思う。でも、生徒を追いかけ回し、精神的に追い込むほど宿題の提出を強制するのは間違いではないだろうか。心の成長の過程で宿題を出すということが苦手な子がいてもおかしくないのに、ボクの学校では大量の課題を出し、大量の未提出者や再提出者を生んでいる。人数の少ない学校で、成績のために生徒が必死に提出するから、先生達も増やし続けるのだと思う。
去年の秋頃だろうか、その子は休みがちになった。そして、今はみんなの教室でテストや授業は受けず、別で受けているようだ。ダイレクトに言うと、半分不登校になってしまった。
ボクの学校はいたって普通の公立だが、他の学校と比べても課題の多さ異常だそうだ。普通を目指して入学したはずなのに、普通ではない宿題の量で、普通の学校生活がおくれなくなった子がいる。ここでつまずいてしまったら、高校はどうなるだろうか。大学、就職はどうなるだろうか。果たして先生達に、ボク達の大きな未来を左右していることの責任感はあるのか、ボクには先生達がすごく軽く扱っているのではないかと思う。こんなこと口になんて到底できないのだが、誰か遠く離れた人に聞いてほしい。
「どう思いますか?」
先生達はボク達のことを思ってやっている。先生達は間違っている。色んな考えの人がいると思う。
窓を割らせろとは言わない。宿題をなくせとも言わない。金八先生になれとも言わない。ボクよりもずっと長い間生きてきている先生を尊敬しているし、いつもありがとうとも思っている。とても大変な仕事だということも、理解しているつもりだ。だからこそ、一度立ち止まってボク達の立場になって考えてほしい。そんなに行事を入れて、生徒の体力は?授業の三分前に着席したら、生徒のトイレは?そんなに宿題を出して、全員が出せる?
「ちょっと待って!」
もしボクにそんなことを言う勇気があったら、そう言いたいと思う。ボクの学校だけの話かもしれないし、ボクの凝り固まった意見なのだけれど、どんな人にもそういう瞬間って必要だと思うのだ。その仕事を引き受けて自分の身体は大丈夫?息子に勉強をさせすぎてない?そんなに野菜を買って、本当に食べる?ちょっと止まれば、防げる事件はたくさんあると思う。時間に追われる現代社会だから、いつもなんてできないと思う。でも、時々立ち止まって、振り返って、またスタートする。自分の幸せのためにできることの一つではないかと思う。
ボクにはまだまだ足りないものがたくさんある。経験も少ないし、体力もあまりない。まだ大人がいないとできないことがいっぱいで、自分の未熟さを痛感することが多々ある。でも、大人には見えない景色が今のボクに見えているとしたら、今を満喫したいと思う。こうして受験勉強の合間に中学校生活だけでなく、十五年間を振り返ると、辛いことだって出てくるけれど、クスッとしたりすることもある。
世知辛い時代なのは中学生でも痛感できるほどで、大人はもっと苦しんでいる。綺麗事だけでは切り抜けられない嵐の連続で、その中には耐えられない人もいる。そのくせ汚い事だけでも生きていける訳じゃなくて、何が一番大事かって、ボクにとって一番美味しいカフェオレを作れるようになることが大事なんじゃないのかな、と思う。
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