中学生のボク理論〜明けない夜はない〜

十人 秋夜

文字の大きさ
5 / 9
成功か失敗か

>>2

しおりを挟む
 ボクは生きている間、なるべく後悔しないようにしてきた。そんなボクのちょっと幼い時のお話を紹介したいと思う。
 ちょっと大きめのランドセルでボクは小学校に入学した。田舎ではあるが、決して山奥とかではないので、一般的なコンクリートの道を一、二分歩くとすぐに小学校に着く。ボクは四月生まれなので、入学してすぐに誕生日を迎えた。それから二ヶ月ほどすると、最初の授業参観が行われ、ボクの両親が見にきた。家に帰ってきて、ボクは「どうだった?」と父に聞いた。父は少し困ったような顔をして、「一人だけ四年生がいるみたいだった」と答えた。「そっかー」って感じの返事をした気がする。今になると、父の言いたかったことが分かる気がする。良い意味でも、悪い意味でもボクは周りに比べて大人びているのだと思う。そして、そんな生徒をより伸ばそうとしてくれる先生と、わかりやすく邪魔者扱いをする先生がいる。ボクが先生でも、ボクみたいな生徒は嫌だと思うなと気づき、わざと子どもっぽく振る舞ったりしたこともあった。多分、すごく上手くいっていなかったと思う。
 ボクは忘れ物係をしていた。中学のようにそれで成績がついたりする訳ではないが、とりあえずチェックする係で、黒板係や並ばせ係と比べて楽だったからしていた。ボクと六年間同じクラスだったある子がいる。その子は勉強ができないという訳ではないし、よく手もあげていた。しかし、宿題の計算プリントを忘れたり、漢字練習のノートを忘れたり、バレさえしなければ忘れ物をしていること自体を黙っていた。ボクは気づいていることもあったけど、見逃したりもしていた。きっと、家に帰って宿題よりも楽しいものが目に入ると、そっちに気を取られてしまい、翌日忘れてしまうのだと思う。その時は同級生も先生にも、その子は活発で、学級委員もする明るい子というイメージがあったと思う。
 中学に入ると、忘れ物をすれば成績が下がるようになった。小学生の時に比べて、忘れ物を厳しく取り締まられるようになった。その子の名前はとして、よく黒板に張り出されていた。
 ボクには大きな疑問がある。先生が宿題を出すのは当然だし、提出しろと言うのも当たり前だと思う。でも、生徒を追いかけ回し、精神的に追い込むほど宿題の提出を強制するのは間違いではないだろうか。心の成長の過程で宿題を出すということが苦手な子がいてもおかしくないのに、ボクの学校では大量の課題を出し、大量の未提出者や再提出者を生んでいる。人数の少ない学校で、成績のために生徒が必死に提出するから、先生達も増やし続けるのだと思う。
 去年の秋頃だろうか、その子は休みがちになった。そして、今はみんなの教室でテストや授業は受けず、別で受けているようだ。ダイレクトに言うと、半分不登校になってしまった。
 ボクの学校はいたって普通の公立だが、他の学校と比べても課題の多さ異常だそうだ。普通を目指して入学したはずなのに、普通ではない宿題の量で、普通の学校生活がおくれなくなった子がいる。ここでつまずいてしまったら、高校はどうなるだろうか。大学、就職はどうなるだろうか。果たして先生達に、ボク達の大きな未来を左右していることの責任感はあるのか、ボクには先生達がすごく軽く扱っているのではないかと思う。こんなこと口になんて到底できないのだが、誰か遠く離れた人に聞いてほしい。
「どう思いますか?」
 先生達はボク達のことを思ってやっている。先生達は間違っている。色んな考えの人がいると思う。
 窓を割らせろとは言わない。宿題をなくせとも言わない。金八先生になれとも言わない。ボクよりもずっと長い間生きてきている先生を尊敬しているし、いつもありがとうとも思っている。とても大変な仕事だということも、理解しているつもりだ。だからこそ、一度立ち止まってボク達の立場になって考えてほしい。そんなに行事を入れて、生徒の体力は?授業の三分前に着席したら、生徒のトイレは?そんなに宿題を出して、全員が出せる?
 「ちょっと待って!」
 もしボクにそんなことを言う勇気があったら、そう言いたいと思う。ボクの学校だけの話かもしれないし、ボクの凝り固まった意見なのだけれど、どんな人にもそういう瞬間って必要だと思うのだ。その仕事を引き受けて自分の身体は大丈夫?息子に勉強をさせすぎてない?そんなに野菜を買って、本当に食べる?ちょっと止まれば、防げる事件はたくさんあると思う。時間に追われる現代社会だから、いつもなんてできないと思う。でも、時々立ち止まって、振り返って、またスタートする。自分の幸せのためにできることの一つではないかと思う。
 ボクにはまだまだ足りないものがたくさんある。経験も少ないし、体力もあまりない。まだ大人がいないとできないことがいっぱいで、自分の未熟さを痛感することが多々ある。でも、大人には見えない景色が今のボクに見えているとしたら、今を満喫したいと思う。こうして受験勉強の合間に中学校生活だけでなく、十五年間を振り返ると、辛いことだって出てくるけれど、クスッとしたりすることもある。
 世知辛い時代なのは中学生でも痛感できるほどで、大人はもっと苦しんでいる。綺麗事だけでは切り抜けられない嵐の連続で、その中には耐えられない人もいる。そのくせ汚い事だけでも生きていける訳じゃなくて、何が一番大事かって、ボクにとって一番美味しいカフェオレを作れるようになることが大事なんじゃないのかな、と思う。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり
エッセイ・ノンフィクション
〔あらすじ〕📝初めて🐶保護犬ちゃんを迎え入れる我が家。 過去の哀しい実情のせいで人間不信で怯える保護犬きーちゃん。 初日から試行錯誤の日々と保護犬きーちゃんがもたらす至福の日々。 ◇ 🔶保護犬ちゃん達の過去・現在の実情の記述もあります🐾 🔶日々の些細な出来事を綴っています。現在進行形のお話となります🐾 🔶🐶挿絵画像入りです。 🔶拙いエッセイにもかかわらず、HOTランキングに入れて頂き(2025.7.1、最高位31位)ありがとうございます🙇‍♀️

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...