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第16章 破滅の聖者
第626話 村に戻ったところで
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オレはひとまず『助けた』形となった老人達を見回す。
恐らく『虚ろなる者』の教団にアンデッドにされるのは、救いが得られると騙される人間だけでなく、こういう人生の終わり近い老人が自らの意志でなる場合も少なくないのだろう。
もちろんそのような行為はまともな神を崇める教団であれば支持する事は絶対に無いだろう――『虚ろなる者』にアンデッドにされてしまったら、信徒の魂が本来の神のところいかないからな。
「とにかく。もうアンデッドになるような事は考えないで下さい」
「ああ。分かったよ」
たぶん口だけの同意であって、もしも村に戻ったところで何かあれば、また同じように『巡礼』に出かけるのだろうな。
そして『旦那』の方だが、どうにか連行したいところだけど今はこちらの老人達の事が先決だ。命を奪うワケにもいかないので、手足を縛って転がしておくとしよう。
放置していてもきっと味方の誰かが見つけて助けてくれるだろう。
ロクでもない悪党だけど、どうせ『虚ろなる者』にとっては駒の一つに過ぎないし、オレとしても無理にどうこうするほどの相手ではない。
そんなわけでオレは老人たちを引き連れてひとまず彼らの村に戻る事にした。
途中で繰り返し『疲労回復』の魔法をかけたので、ほぼ順調にもどることが出来たのはホッとするところだな。
そして日が傾きかけたところで、彼らの村に戻る事が出来たが、そこでオレや老人達に注がれる視線はどちらかと言えば困惑であった。
当然だけどこの老人達は言わば『姥捨山』のようにアンデッドにされる事は、この村の住民達も薄々は感じていたことだろう。
いや。ひょっとすると周囲の人間がそれを勧めている場合すら考えられるぞ。
それは単純に厄介払いということであるかもしれないし、また奴隷労働者として再利用しようという情け容赦のない思惑があるかもしれない。
ひょっとするとアンデッドになる事の意味をよく知らず、老い先短い家族がずっと『生きていられる』ようにと思って善意で送り出した場合もありうる。
そしてそのどれであろうとも連れ戻してきたオレが、そうそう歓迎されるはずがないのはわかっている。
しかし表立って非難の声も上がらないのは、アンデッドに関わるのが禁忌だからだろうな。
もしもオレがどこぞの官憲なり、教団なりの関係者であった場合を考え、下手な真似をして罪に問われるのは避けたいという意識があるに違いない。
それにこの村でも全員が一致して、老人をアンデッドに変えるような真似を支持しているわけでもないはずだ。
元から村にいる司祭をはじめ反対している人間も多いと思いたい。
そんなわけで周囲が緊張と共に遠巻きに見つめる中、村長らしき初老の男性がオレの方に歩んでくる。
どうやら村長らしいな。
「あのう……我が村の者を連れて来ていただきまして……ありがとうございます」
「いいえ。お気になさらず」
村長の言葉は表向き感謝の意が込められているが、明らかにこちらを警戒している様子がうかがえるな。
「あなた様はどこのどちら様でしょうか?」
ここは迷っても仕方ないので、オレは素顔をさらしつつ、村長の耳元に小声で吹き込む。
「わたしはアルタシャと呼ばれています」
「な?! まさか?!」
オレの名前ぐらいは聞いていたらしく、表情がいきなり変わったな。
「静かにしてください。妙なことを考える輩がいるかもしれませんからね」
「は……はい」
「わたしがここに来たのは別にあなた方を罪に問うためではありません。ただあちらのご老人達をアンデッドに変えるような真似を止めさせたいだけです」
「いえ……決して我々はそのような事をしようと思ったわけではありません。それにあくまでも老人達が自分で『巡礼』に向かっただけです」
村長は弱々しくだが否定する。
「繰り返しますが、あなた方を責めるつもりでここに来たのではありませんよ。ただ困っている事があるのならお助けしたいと思っただけなのです。もしも病人がおられるなら、わたしが治療しましょう」
「それでは……この近隣で病人を治しておられる流浪の聖女様とは……やはりあなた様なのですか?」
「そんなところです」
本音を言えば『聖女』などと呼ばれるのは、正直に言って気分がよくないがここは相手に合わせるしかない。
「もちろんお礼などいりませんよ。皆さんが困っているのを、わたしの微力でどうにか出来ればそれでいいのです」
「分かりました。それではこちらにいらして下さい」
しばしの後、オレはこの村の病人を何人か手当して、そこで村長宅を出たところで既に太陽は殆ど沈みかけていた。
「アルタシャ様。ありがとうございます。しかし泊まっていかれないのですか?」
「いいえ。お気になさらず」
村長は引き留めようとするが、オレとしてはここに留まっているとまた『虚ろなる者』の連中がアンデッドで攻めてくる可能性があるからな。
さっき放置してきた『旦那』が報復に来るかもしれないし、ここは急いで立ち去るしかないのだ。
だが村を出ようとした時、村の中央の広場にて先ほどオレが連れて来た老人達が、幾人か片隅に集まって所在なさげにしていたのが目に入った。
「まさか……」
オレが慌てて駆け寄ると、老人達は寂しげな笑いを向ける。
「ははは。お嬢ちゃん。せっかくワシらのために骨を折ってくれたのにすまんな」
「せっかく『巡礼』に行ったのにすぐに帰ってきたのはどういうことかと、息子に責められたよ」
さすがに全員というわけではないが、老人達の半数ほどは家から事実上締め出されてしまったらしい。
オレは怒りと共に村長に向けて叫ぶ。
「村長さん! これはどういうことですか!」
「も、申し訳ありません! このものたちは今晩はワシの家に泊めて、明日は必ず村の者にきつく言い聞かせますので、なにとぞお許し下さい」
「本当ですね? もしもその約束を破ったらこちらも怒りますよ」
「はい。もちろんですとも」
一応は村長に釘を刺したが、どこまでこの老人達の助けになるかは分からない。
実際にオレの力ではどうしようもなく、この村の人たちの良心に期待するしかない。
残念ながらこんなことでもオレの微力を実感せずにはいられないな。
いろいろと悩みつつ、薄闇の中で村を出て行くのだが、そこで薄暮の中でほのかな燐光をまとって浮かび上がる人の姿があった。
「やあ。また会えたね」
それは和やかな微笑みをオレに対してそそぐメトゥサイラだったのだ。
恐らく『虚ろなる者』の教団にアンデッドにされるのは、救いが得られると騙される人間だけでなく、こういう人生の終わり近い老人が自らの意志でなる場合も少なくないのだろう。
もちろんそのような行為はまともな神を崇める教団であれば支持する事は絶対に無いだろう――『虚ろなる者』にアンデッドにされてしまったら、信徒の魂が本来の神のところいかないからな。
「とにかく。もうアンデッドになるような事は考えないで下さい」
「ああ。分かったよ」
たぶん口だけの同意であって、もしも村に戻ったところで何かあれば、また同じように『巡礼』に出かけるのだろうな。
そして『旦那』の方だが、どうにか連行したいところだけど今はこちらの老人達の事が先決だ。命を奪うワケにもいかないので、手足を縛って転がしておくとしよう。
放置していてもきっと味方の誰かが見つけて助けてくれるだろう。
ロクでもない悪党だけど、どうせ『虚ろなる者』にとっては駒の一つに過ぎないし、オレとしても無理にどうこうするほどの相手ではない。
そんなわけでオレは老人たちを引き連れてひとまず彼らの村に戻る事にした。
途中で繰り返し『疲労回復』の魔法をかけたので、ほぼ順調にもどることが出来たのはホッとするところだな。
そして日が傾きかけたところで、彼らの村に戻る事が出来たが、そこでオレや老人達に注がれる視線はどちらかと言えば困惑であった。
当然だけどこの老人達は言わば『姥捨山』のようにアンデッドにされる事は、この村の住民達も薄々は感じていたことだろう。
いや。ひょっとすると周囲の人間がそれを勧めている場合すら考えられるぞ。
それは単純に厄介払いということであるかもしれないし、また奴隷労働者として再利用しようという情け容赦のない思惑があるかもしれない。
ひょっとするとアンデッドになる事の意味をよく知らず、老い先短い家族がずっと『生きていられる』ようにと思って善意で送り出した場合もありうる。
そしてそのどれであろうとも連れ戻してきたオレが、そうそう歓迎されるはずがないのはわかっている。
しかし表立って非難の声も上がらないのは、アンデッドに関わるのが禁忌だからだろうな。
もしもオレがどこぞの官憲なり、教団なりの関係者であった場合を考え、下手な真似をして罪に問われるのは避けたいという意識があるに違いない。
それにこの村でも全員が一致して、老人をアンデッドに変えるような真似を支持しているわけでもないはずだ。
元から村にいる司祭をはじめ反対している人間も多いと思いたい。
そんなわけで周囲が緊張と共に遠巻きに見つめる中、村長らしき初老の男性がオレの方に歩んでくる。
どうやら村長らしいな。
「あのう……我が村の者を連れて来ていただきまして……ありがとうございます」
「いいえ。お気になさらず」
村長の言葉は表向き感謝の意が込められているが、明らかにこちらを警戒している様子がうかがえるな。
「あなた様はどこのどちら様でしょうか?」
ここは迷っても仕方ないので、オレは素顔をさらしつつ、村長の耳元に小声で吹き込む。
「わたしはアルタシャと呼ばれています」
「な?! まさか?!」
オレの名前ぐらいは聞いていたらしく、表情がいきなり変わったな。
「静かにしてください。妙なことを考える輩がいるかもしれませんからね」
「は……はい」
「わたしがここに来たのは別にあなた方を罪に問うためではありません。ただあちらのご老人達をアンデッドに変えるような真似を止めさせたいだけです」
「いえ……決して我々はそのような事をしようと思ったわけではありません。それにあくまでも老人達が自分で『巡礼』に向かっただけです」
村長は弱々しくだが否定する。
「繰り返しますが、あなた方を責めるつもりでここに来たのではありませんよ。ただ困っている事があるのならお助けしたいと思っただけなのです。もしも病人がおられるなら、わたしが治療しましょう」
「それでは……この近隣で病人を治しておられる流浪の聖女様とは……やはりあなた様なのですか?」
「そんなところです」
本音を言えば『聖女』などと呼ばれるのは、正直に言って気分がよくないがここは相手に合わせるしかない。
「もちろんお礼などいりませんよ。皆さんが困っているのを、わたしの微力でどうにか出来ればそれでいいのです」
「分かりました。それではこちらにいらして下さい」
しばしの後、オレはこの村の病人を何人か手当して、そこで村長宅を出たところで既に太陽は殆ど沈みかけていた。
「アルタシャ様。ありがとうございます。しかし泊まっていかれないのですか?」
「いいえ。お気になさらず」
村長は引き留めようとするが、オレとしてはここに留まっているとまた『虚ろなる者』の連中がアンデッドで攻めてくる可能性があるからな。
さっき放置してきた『旦那』が報復に来るかもしれないし、ここは急いで立ち去るしかないのだ。
だが村を出ようとした時、村の中央の広場にて先ほどオレが連れて来た老人達が、幾人か片隅に集まって所在なさげにしていたのが目に入った。
「まさか……」
オレが慌てて駆け寄ると、老人達は寂しげな笑いを向ける。
「ははは。お嬢ちゃん。せっかくワシらのために骨を折ってくれたのにすまんな」
「せっかく『巡礼』に行ったのにすぐに帰ってきたのはどういうことかと、息子に責められたよ」
さすがに全員というわけではないが、老人達の半数ほどは家から事実上締め出されてしまったらしい。
オレは怒りと共に村長に向けて叫ぶ。
「村長さん! これはどういうことですか!」
「も、申し訳ありません! このものたちは今晩はワシの家に泊めて、明日は必ず村の者にきつく言い聞かせますので、なにとぞお許し下さい」
「本当ですね? もしもその約束を破ったらこちらも怒りますよ」
「はい。もちろんですとも」
一応は村長に釘を刺したが、どこまでこの老人達の助けになるかは分からない。
実際にオレの力ではどうしようもなく、この村の人たちの良心に期待するしかない。
残念ながらこんなことでもオレの微力を実感せずにはいられないな。
いろいろと悩みつつ、薄闇の中で村を出て行くのだが、そこで薄暮の中でほのかな燐光をまとって浮かび上がる人の姿があった。
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