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【短編 一万文字はない】廃棄聖女は里へと帰る 婚約も仕事もダメになりましたが私は幸せです
廃棄聖女は幸せになる
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「なんてことをしてくれたんだっ!」
王宮では第一王子ライナスの怒号が響いていた。
「だって……兄上。仕方ないじゃないか。ルルアは聖女としての力を失ったんだから」
「バカもんっ! それはルルアを働かせ過ぎたからだろう?」
「そんなこと……」
「聖女だって人間だ。睡眠時間も必要だし、食事だって摂る」
「ですけども、あの子は村育ちの上に平民ですわ、ライナス殿下……」
「アナタも同じ聖女なんだから分かるだろ? ルルアには睡眠時間も足りていなかったし、食事も満足に与えていなかったようじゃないか。そんなんで力が出せるわけがないだろう?」
「だって……アイツは平民だし……」
「こんな事にならないよう、聖女は王族と同等の身分を与えてあるんだろうがっ!」
「あぁ、ライナスさま。お気を静めてください。怒鳴らないで」
「アナタも同罪だ、ユリナっ! なせルルアにばかり仕事をさせた⁈」
「それは、あの子が平民で……」
「あああっ! もう聞きたくないっ! 何を考えているんだっ! 聖女同士じゃないかっ! キミたちの身分は同等だっ!」
「ああ、ライナス。そんなに怒らなくても……」
「父上も父上ですっ! なぜ許可したんですかっ! ルルアの聖女の任を解くことをっ!」
「いや……セルジオが嫌がるし……力も枯渇したと聞いて……」
「だったら、まず確認でしょっ⁈ 国王が何やってんですかっ⁈」
第一王子にして王太子のライナスは怒っていた。
弟である第三王子のセルジオはもちろん、国王までがしでかしてしまったミスを。
「あぁぁぁぁっ。どうしたらいいんだっ⁈」
ライナスは美しい金髪を両手で掻きむしった。
既に結界の綻びは収拾がつかない所まで来ている。
村では魔物たちは民家近くまで来てうろついていると聞いた。
それだけではない。
魔物は王都にまで入り込んでいるのだ。
発見された魔物は一匹だけだが、そいつだけとは限らない。
ましてや、時間の経過と共に結界の緩みは酷くなっている。
このままでは王国の崩壊待ったなしだ。
「そこのピンクっ。聖女ユリナっ。お前は死ぬまで結界張り直してこいっ!」
「えっ? えっ?」
「兄上⁈」
「衛兵。その女を連れて行けっ!」
「えっえっ、嫌よっ! 離して頂戴っ! 私は伯爵令嬢よっ! しかも聖女なのよっ⁈ 触らないでっ!」
「兄上っ⁈ これはあまりに横暴ではありませんかっ!」
「そう言うなら、お前が結界を張り直してくるか⁈ セルジオ⁈」
「えっ⁈」
セルジオの整った顔が青くなる。
「お前の顔が目の色と同じくらい青くなったって、何の価値もない。王国を守るには、彼女の力が必要なんだ。聖女ルルアの力がな! なのに! 何やってんだ、この無能!!」
「兄上っ……痛いっ、痛いって」
ライナスがセルジオを無言でガシガシと蹴ったところで事態は変わらない。
「ライナス殿下。故郷である村まで聖女ルルアをお迎えに上がった方がよいのでは?」
「ああ、そうだな。キリアン。そうしよう」
ライナスは、弟と父に冷たい一瞥をくれると踵を返して王宮を後にした。
そしてキリアンと共に馬車に乗り込むと一路、ルルアの住む村を目指す。
「セルジオとルルアを婚約させた所までは父上の判断は正しかった。だから、油断していたよ」
「はい。力のある聖女さまを、貴族と結婚させたりすれば、政治の力関係がバランスを崩してしまいます」
「そうだ。ましてや国外に行ってしまったりしたら……我が国はとんでもないことになる」
「そうですね。一刻も早く、ルルアさまの身柄を取り戻さねばなりません」
「ああ。取り戻して……私の妻にする」
「おお。第一王子であるライナスさまの?」
「そうだ。私の手元において、大事に扱う。聖女としてな」
「それはよいですね。これでルルアさまも幸せになれますね」
「ああ。幸せにするさ」
「ふふふ。微力ながら、私もお支えいたします」
「ああ。頼りにしてるぞ、キリアン」
「ありがたき幸せ」
頼りになる部下を前にライナスの機嫌は良くなり、キリアンも未来の王を頼もしく思った。
一方その頃。
聖女ルルアの住む村では ――――――。
「おめでとう!」
「おめでとうございます!」
「おめでとうございます、聖女さまー!」
「ありがとう、みんなー」
「おーい、マックスー。ルルアさまを幸せにするんだぞー!」
「ありがとうー。もちろん幸せにするよー」
「そうだ、そうだ。不幸にしたら、オレが奪いにいくぞー!」
「大事なルルアをお前なんかに奪われてたまるかー! でも、ありがとうー。オレが幸せにするよー」
村は華やかな雰囲気に包まれていた。
聖女ルルアが結婚する、おめでたい日だからだ。
「ルルア、幸せになろうね」
「ええ、マックス。幸せになりましょう」
ルルアは里に帰ってから、幼馴染たちとも再会した。
その内のひとりがマックスである。
茶色の髪に茶色の瞳。
ぱっと見、地味な大男であるマックスは、優しくて力持ちの頼れる男である。
身長に恵まれた男は、その体の至る所に見事な筋肉を蓄えていた。
「ほら、キミを幸せにできる男だって所を見せつけてやろう」
「キャッ」
細身のルルアをヒョイと持ち上げて、マックスはその肩に乗せた。
純白のウエディングドレスを着たルルアを肩に乗せて、マックスはそのまま村を練り歩く。
「もう、マックスってば」
「いいじゃないか、ルルア。オレたちが幸せだって見せつけてやろうぜ。それに。そこは見晴らしが良いだろ?」
「ええ、そうね」
ルルアは幸せを絵に描いたような笑みを、夫に向け。
夫の顔はだらしなく緩んだ。
雲ひとつない空は青く澄み渡り。
祝福するかのような一陣の風に、木々や花、花嫁の白いレースが揺れる。
「聖女さま~」
「お幸せに聖女さま~」
王都に住んでいた頃よりも一回り、いや二回りほどふくよかになったルルアの幸せそうな笑顔がそこにはあった。
一方その頃。
第一王子ライナス一行は ――――――。
「なぜだ⁈ なぜ、前に進めない⁈」
「わかりません。分かりませんが、これ以上前には……」
「ええぃ、どういう事だっ⁈」
「落ち着いて下さい、ライナスさま」
一行は気付いていない。
聖女ルルアは故郷の村に帰るなり、結界を張った。
その結界を通れないのは、魔物だけではない。
聖女は、自分に害をもたらす者は、村に入れないようにしてしまったのだ。
それには、彼女を村から連れ出そうとする輩も含まれていた。
「どうすればいいんだ……」
ライナスは頭を抱えた。
一行は気付かない。
聖女の幸せと王都の平和は、ことルルアの中においてはイコールで結ばれてはいないということを。
その後。
数年のすったもんだを経て。
聖女ルルアの協力を得ることに成功した王国は、全国に結界を張り直すことに成功した。
結論から言えば、十年かけて緩みほころんだ結界を張り直すことは王都住まいの聖女たちには無理だったのだ。
平民聖女に役目を押し付けて遊び惚けるような聖女が、使いものになるわけがない。
こうなるであろうことは、ルルア自身がよく分かっていた。
だから、協力したのだ。
もちろん、無償ではない。
愛する故郷の助けになる条件と、ルルア一家の懐をわずかに潤わせるだけの報酬。
それをルルアは国に求めた。
過去を水に流したとしても、未来は譲れない。
それはルルアの意思であり、マックスの助言でもあった。
村は税金を免除され、他にも様々な援助を受けた。
ルルアはマックスと三男二女を儲けて幸せな家庭を築いたが、それと同じくらい、聖女として働けることにも喜びを見いだしていた。
だが、それは墓まで持って行く秘密でもある。
これもマックスの助言によるものだ。
里に戻ったルルアが、与えられた力や命に喜びを見いださない日はなく。
生まれ故郷を再び離れることも無かったのであった。
王宮では第一王子ライナスの怒号が響いていた。
「だって……兄上。仕方ないじゃないか。ルルアは聖女としての力を失ったんだから」
「バカもんっ! それはルルアを働かせ過ぎたからだろう?」
「そんなこと……」
「聖女だって人間だ。睡眠時間も必要だし、食事だって摂る」
「ですけども、あの子は村育ちの上に平民ですわ、ライナス殿下……」
「アナタも同じ聖女なんだから分かるだろ? ルルアには睡眠時間も足りていなかったし、食事も満足に与えていなかったようじゃないか。そんなんで力が出せるわけがないだろう?」
「だって……アイツは平民だし……」
「こんな事にならないよう、聖女は王族と同等の身分を与えてあるんだろうがっ!」
「あぁ、ライナスさま。お気を静めてください。怒鳴らないで」
「アナタも同罪だ、ユリナっ! なせルルアにばかり仕事をさせた⁈」
「それは、あの子が平民で……」
「あああっ! もう聞きたくないっ! 何を考えているんだっ! 聖女同士じゃないかっ! キミたちの身分は同等だっ!」
「ああ、ライナス。そんなに怒らなくても……」
「父上も父上ですっ! なぜ許可したんですかっ! ルルアの聖女の任を解くことをっ!」
「いや……セルジオが嫌がるし……力も枯渇したと聞いて……」
「だったら、まず確認でしょっ⁈ 国王が何やってんですかっ⁈」
第一王子にして王太子のライナスは怒っていた。
弟である第三王子のセルジオはもちろん、国王までがしでかしてしまったミスを。
「あぁぁぁぁっ。どうしたらいいんだっ⁈」
ライナスは美しい金髪を両手で掻きむしった。
既に結界の綻びは収拾がつかない所まで来ている。
村では魔物たちは民家近くまで来てうろついていると聞いた。
それだけではない。
魔物は王都にまで入り込んでいるのだ。
発見された魔物は一匹だけだが、そいつだけとは限らない。
ましてや、時間の経過と共に結界の緩みは酷くなっている。
このままでは王国の崩壊待ったなしだ。
「そこのピンクっ。聖女ユリナっ。お前は死ぬまで結界張り直してこいっ!」
「えっ? えっ?」
「兄上⁈」
「衛兵。その女を連れて行けっ!」
「えっえっ、嫌よっ! 離して頂戴っ! 私は伯爵令嬢よっ! しかも聖女なのよっ⁈ 触らないでっ!」
「兄上っ⁈ これはあまりに横暴ではありませんかっ!」
「そう言うなら、お前が結界を張り直してくるか⁈ セルジオ⁈」
「えっ⁈」
セルジオの整った顔が青くなる。
「お前の顔が目の色と同じくらい青くなったって、何の価値もない。王国を守るには、彼女の力が必要なんだ。聖女ルルアの力がな! なのに! 何やってんだ、この無能!!」
「兄上っ……痛いっ、痛いって」
ライナスがセルジオを無言でガシガシと蹴ったところで事態は変わらない。
「ライナス殿下。故郷である村まで聖女ルルアをお迎えに上がった方がよいのでは?」
「ああ、そうだな。キリアン。そうしよう」
ライナスは、弟と父に冷たい一瞥をくれると踵を返して王宮を後にした。
そしてキリアンと共に馬車に乗り込むと一路、ルルアの住む村を目指す。
「セルジオとルルアを婚約させた所までは父上の判断は正しかった。だから、油断していたよ」
「はい。力のある聖女さまを、貴族と結婚させたりすれば、政治の力関係がバランスを崩してしまいます」
「そうだ。ましてや国外に行ってしまったりしたら……我が国はとんでもないことになる」
「そうですね。一刻も早く、ルルアさまの身柄を取り戻さねばなりません」
「ああ。取り戻して……私の妻にする」
「おお。第一王子であるライナスさまの?」
「そうだ。私の手元において、大事に扱う。聖女としてな」
「それはよいですね。これでルルアさまも幸せになれますね」
「ああ。幸せにするさ」
「ふふふ。微力ながら、私もお支えいたします」
「ああ。頼りにしてるぞ、キリアン」
「ありがたき幸せ」
頼りになる部下を前にライナスの機嫌は良くなり、キリアンも未来の王を頼もしく思った。
一方その頃。
聖女ルルアの住む村では ――――――。
「おめでとう!」
「おめでとうございます!」
「おめでとうございます、聖女さまー!」
「ありがとう、みんなー」
「おーい、マックスー。ルルアさまを幸せにするんだぞー!」
「ありがとうー。もちろん幸せにするよー」
「そうだ、そうだ。不幸にしたら、オレが奪いにいくぞー!」
「大事なルルアをお前なんかに奪われてたまるかー! でも、ありがとうー。オレが幸せにするよー」
村は華やかな雰囲気に包まれていた。
聖女ルルアが結婚する、おめでたい日だからだ。
「ルルア、幸せになろうね」
「ええ、マックス。幸せになりましょう」
ルルアは里に帰ってから、幼馴染たちとも再会した。
その内のひとりがマックスである。
茶色の髪に茶色の瞳。
ぱっと見、地味な大男であるマックスは、優しくて力持ちの頼れる男である。
身長に恵まれた男は、その体の至る所に見事な筋肉を蓄えていた。
「ほら、キミを幸せにできる男だって所を見せつけてやろう」
「キャッ」
細身のルルアをヒョイと持ち上げて、マックスはその肩に乗せた。
純白のウエディングドレスを着たルルアを肩に乗せて、マックスはそのまま村を練り歩く。
「もう、マックスってば」
「いいじゃないか、ルルア。オレたちが幸せだって見せつけてやろうぜ。それに。そこは見晴らしが良いだろ?」
「ええ、そうね」
ルルアは幸せを絵に描いたような笑みを、夫に向け。
夫の顔はだらしなく緩んだ。
雲ひとつない空は青く澄み渡り。
祝福するかのような一陣の風に、木々や花、花嫁の白いレースが揺れる。
「聖女さま~」
「お幸せに聖女さま~」
王都に住んでいた頃よりも一回り、いや二回りほどふくよかになったルルアの幸せそうな笑顔がそこにはあった。
一方その頃。
第一王子ライナス一行は ――――――。
「なぜだ⁈ なぜ、前に進めない⁈」
「わかりません。分かりませんが、これ以上前には……」
「ええぃ、どういう事だっ⁈」
「落ち着いて下さい、ライナスさま」
一行は気付いていない。
聖女ルルアは故郷の村に帰るなり、結界を張った。
その結界を通れないのは、魔物だけではない。
聖女は、自分に害をもたらす者は、村に入れないようにしてしまったのだ。
それには、彼女を村から連れ出そうとする輩も含まれていた。
「どうすればいいんだ……」
ライナスは頭を抱えた。
一行は気付かない。
聖女の幸せと王都の平和は、ことルルアの中においてはイコールで結ばれてはいないということを。
その後。
数年のすったもんだを経て。
聖女ルルアの協力を得ることに成功した王国は、全国に結界を張り直すことに成功した。
結論から言えば、十年かけて緩みほころんだ結界を張り直すことは王都住まいの聖女たちには無理だったのだ。
平民聖女に役目を押し付けて遊び惚けるような聖女が、使いものになるわけがない。
こうなるであろうことは、ルルア自身がよく分かっていた。
だから、協力したのだ。
もちろん、無償ではない。
愛する故郷の助けになる条件と、ルルア一家の懐をわずかに潤わせるだけの報酬。
それをルルアは国に求めた。
過去を水に流したとしても、未来は譲れない。
それはルルアの意思であり、マックスの助言でもあった。
村は税金を免除され、他にも様々な援助を受けた。
ルルアはマックスと三男二女を儲けて幸せな家庭を築いたが、それと同じくらい、聖女として働けることにも喜びを見いだしていた。
だが、それは墓まで持って行く秘密でもある。
これもマックスの助言によるものだ。
里に戻ったルルアが、与えられた力や命に喜びを見いださない日はなく。
生まれ故郷を再び離れることも無かったのであった。
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