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アズール
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「俺が悪い。すべてが俺のせいだ。俺は魔王に倒されなくてはならないのに、不幸にした。俺のせいで、ずっと悲しい思いをしている。勇者としても、もう誰からも必要とされていないというのに………。」
深い闇の中で、アズールは罪の意識を持たされ、苦痛の中にいる。
「でも、エイルは俺に笑ってくれていた。愛してるって、そう、言ってくれた。魔物だって、エイルのおかげで落ち着いていたんだ。誰にも迷惑をかけていない。」
その闇の中で、少しだけ勇者の自分が反発をして、エイルの恥ずかしそうに笑う姿を、思い出させてくれる。
その幻影がこちらに手を出してくれるけれど、掴むことは出来ない。
アズールは魂として、封印され存在している。
誰にも助けることの出来ない、闇の中で。
「早く、エイルに殺されたいな。」
また、落ちていく。
罪の意識のせいでエイルの気持ちも考えず、ひどい事を考える。
そんな中、何か違和感があった。
ふと、気持ちが楽になる。
こんな感覚は長い年月の孤独の中で初めてだった。
そして、白銀の影が現れる。
見えないはずなのに気配を感じる。
「アズール。ごめんね。出よう?今、ガゼルに見つからないようにしたから。」
この声は女神か。
かなり昔に聞いただけだが、忘れない。
ルーン。
そう名前を思い出した瞬間、何重にも封印していた頑丈な魔法球が消え去り、アズールのそのままの魂はルーンの手の中に入る。
そして、ガゼルの作った封印球は同じように形が修復がされた。
「まぁ、戻すのは気休めだけど、逃げたのがすぐにバレないようにね。」
長年苦しめられてきた魔法を一瞬で破壊、再生するという神の技に呆気にとられたが、すぐにエイルの事を思い出す。
「エイルは?どうしてるんだ。元気だろうか。」
また、罪の意識に囚われる前に、確認しておきたい。
この、肉体のない状態で会えるわけもないが、ルーンとの思念波を通じて気持ちを届けて欲しい。
「うん。さっき別世界に送った。この世界に魔王は必要ないから魂の中に閉じ込めて休憩してもらってる。」
世界に必要ないなら、何故、魔王を作った?と聞きたいが、ルーンが作らなければ、自分たちは出会えなかった。
もうエイルがいない世界など考えられない。
「安全な場所にいるなら、それでいい。」
「だから、しばらく会えない。でも、必ず会わせる。」
「しばらく、か。」
女神の言う、しばらくがどれくらいの年月をさすものなのか分からないが、アズールは必ず会えるというルーンの言葉を信じる。
信じるしか今の状態だと出来る事はない。
「アズールは、ちゃんと肉体を保存しておいたから、元の体に戻すわね。あと罪の意識も魂と根付いてしまってるから、浄化の魔法をかけておくわ。その闇魔法は急いで解除すると、魂に傷がついちゃうから、浄化と共に徐々に記憶は失ってしまうけど。」
「……記憶も失っていくのか?」
どうしても少しの期間でもエイルの事を忘れたくなくて、問いかける。
「うん。魂にこんがらがって定着しているから。」
どうやら、もう、一筋縄ではいかないくらいにややこしい状態になっているようだ。
「だから覚えてるうちに紙にでも残しておいて。でも魂は同じだから、エイルに会った時はお互いに惹かれあうから大丈夫!勇者も魔王も生み出したものは、消せないの。」
何が大丈夫なのか、わからないが再度うなずく。
「と言うことはね。もちろんカゼルも消せない。今は危険だから、この世界から消したけど。」
そうだ。
あいつがいる。
アズールが無駄だとしても少しでも可能性があるならと、魂の状態で封印を解除をしようとすると、必ず黒い影が妨害したきた。
「いつ頃、ガゼルは復活するのか?」
「悪意や負の感情が集まったら、かな。その強さにより魔物は実体化も出来るから、きっと、また出てくる。」
「そうか。」
あの回避しようがないほど強い魔力を持った魔物が。
深い闇の中で、アズールは罪の意識を持たされ、苦痛の中にいる。
「でも、エイルは俺に笑ってくれていた。愛してるって、そう、言ってくれた。魔物だって、エイルのおかげで落ち着いていたんだ。誰にも迷惑をかけていない。」
その闇の中で、少しだけ勇者の自分が反発をして、エイルの恥ずかしそうに笑う姿を、思い出させてくれる。
その幻影がこちらに手を出してくれるけれど、掴むことは出来ない。
アズールは魂として、封印され存在している。
誰にも助けることの出来ない、闇の中で。
「早く、エイルに殺されたいな。」
また、落ちていく。
罪の意識のせいでエイルの気持ちも考えず、ひどい事を考える。
そんな中、何か違和感があった。
ふと、気持ちが楽になる。
こんな感覚は長い年月の孤独の中で初めてだった。
そして、白銀の影が現れる。
見えないはずなのに気配を感じる。
「アズール。ごめんね。出よう?今、ガゼルに見つからないようにしたから。」
この声は女神か。
かなり昔に聞いただけだが、忘れない。
ルーン。
そう名前を思い出した瞬間、何重にも封印していた頑丈な魔法球が消え去り、アズールのそのままの魂はルーンの手の中に入る。
そして、ガゼルの作った封印球は同じように形が修復がされた。
「まぁ、戻すのは気休めだけど、逃げたのがすぐにバレないようにね。」
長年苦しめられてきた魔法を一瞬で破壊、再生するという神の技に呆気にとられたが、すぐにエイルの事を思い出す。
「エイルは?どうしてるんだ。元気だろうか。」
また、罪の意識に囚われる前に、確認しておきたい。
この、肉体のない状態で会えるわけもないが、ルーンとの思念波を通じて気持ちを届けて欲しい。
「うん。さっき別世界に送った。この世界に魔王は必要ないから魂の中に閉じ込めて休憩してもらってる。」
世界に必要ないなら、何故、魔王を作った?と聞きたいが、ルーンが作らなければ、自分たちは出会えなかった。
もうエイルがいない世界など考えられない。
「安全な場所にいるなら、それでいい。」
「だから、しばらく会えない。でも、必ず会わせる。」
「しばらく、か。」
女神の言う、しばらくがどれくらいの年月をさすものなのか分からないが、アズールは必ず会えるというルーンの言葉を信じる。
信じるしか今の状態だと出来る事はない。
「アズールは、ちゃんと肉体を保存しておいたから、元の体に戻すわね。あと罪の意識も魂と根付いてしまってるから、浄化の魔法をかけておくわ。その闇魔法は急いで解除すると、魂に傷がついちゃうから、浄化と共に徐々に記憶は失ってしまうけど。」
「……記憶も失っていくのか?」
どうしても少しの期間でもエイルの事を忘れたくなくて、問いかける。
「うん。魂にこんがらがって定着しているから。」
どうやら、もう、一筋縄ではいかないくらいにややこしい状態になっているようだ。
「だから覚えてるうちに紙にでも残しておいて。でも魂は同じだから、エイルに会った時はお互いに惹かれあうから大丈夫!勇者も魔王も生み出したものは、消せないの。」
何が大丈夫なのか、わからないが再度うなずく。
「と言うことはね。もちろんカゼルも消せない。今は危険だから、この世界から消したけど。」
そうだ。
あいつがいる。
アズールが無駄だとしても少しでも可能性があるならと、魂の状態で封印を解除をしようとすると、必ず黒い影が妨害したきた。
「いつ頃、ガゼルは復活するのか?」
「悪意や負の感情が集まったら、かな。その強さにより魔物は実体化も出来るから、きっと、また出てくる。」
「そうか。」
あの回避しようがないほど強い魔力を持った魔物が。
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