学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと

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第6章 体育祭

42 分かってるつもり

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 ……さて、どうしたものでしょう。

 まさか三姉妹の皆さんに誘われてしまうだなんて。

 三姉妹の皆さんは自分達で決めると言ってくれましたけど。

 それはきっと、二人三脚の件でわたしが選べなかったから、その時の事もあって配慮してくれているのでしょう。

 それはとても優しくて嬉しいですが、何だか申し訳ない気持ちにもなります。

「なんて、贅沢な悩みですよね……」

 ついさっきまでぼっちである事を憂いていたのに、今度は言い寄られて困っているだなんて。

 いい加減にしろと怒られてしまいそうです。

「怒られると言えば……」

 そういえば月森三姉妹に誘われているわたしを、快く思わない人が一人いる気がしますね……。






「……で、それを何でわたしに報告するわけ?」

 怪訝そうな表情でわたしを睨みつけるのは冴月さつきさんです。

 珍しく一人で席に着いていたので、ベストタイミングだと思って声を掛けたら、こんな反応をされちゃいました。

「いえ、ですから、体育祭で三姉妹の皆さんに誘われていますが、他意はないので怒らないで下さいねと……」

「だからっ!それを何でわたしに報告するんだって聞いてんのよっ!」

 バンバンッ、とテーブルを叩く冴月さん。
 
 お行儀が悪いですね。

「あの、えっと……」

 聞かれてはマズいと思って小声にします。

「……きっと冴月さんの方が、月森さんたちに誘われたかっただろうと思いまして……」

 何を隠そう、冴月さんは月森さんに恋心を抱いている。

 そんな中、モブで陰キャなわたしと体育祭を謳歌している姿を見せて御覧なさい。

 逆恨みされることは今までの経緯からも間違いありません。

 それなら先に説明しておいて、トラブルの原因を取り除いておこうという魂胆ですね。

 わたしにやましい気持ちはないので安心して下さい、というアピールです。

「だからっ!違うって言ってんでしょ!!」

「え……でも月森さんに誘われた話しをした途端、やっぱり怒ってるじゃないですか」

 案の定の反応です。

 恋する乙女はその嫉妬心も凄まじいと聞きます。

 わたしは今まさにその燃えるような感情と対峙しているのです。

「そっちじゃないのよっ!」

「そっちって……じゃあ、どっちなんですか……」

「やっ、それは自分で考えろと言うか……」

「?」

 明確な答えを要求した途端、この煮え切らない回答。

 芯を突かれているのを誤魔化そうという態度にしか見えません。

「……もういいけど、あんたって信じられないくらい自分に対して鈍感なのね」

「そう、ですかね?」

 むしろ自分に対しては敏感な方だと自負しているのですが。

 客観的に自分を見られるからこそ、モブで陰キャという事実を容認しているわけですし。

「もっと月森たちのことを考えてみた方がいいんじゃないの?」

「なんですか、それ」

 むしろ、わたし以上に月森さんたちのことを考えているクラスメイトはいないと自負しているのですが……。

「なんで月森たちがあんたのことをそんなに構ってくれるのか、とか。そういう視点で考えないと、あんた自分のこと理解できないんじゃない?」

 ……ふう。

 何を言うかと思えば、そんなことですか。

 その理由は単純明快で、わたしが義妹で家族だからです。

 三姉妹の皆さんは優しい方々なので、新しい家族としてわたしを受け入れてくれているんです。

 それ以上でも以下でもないのです。

 事情を知らないので仕方ないですが、冴月さんは勘違いをしているのです。

「恋する乙女は、その目に映るもの全てを色恋ごとに変えてしまうのですね」

「やっぱりあんた喧嘩売ってるでしょ!?」

 どれだけ説明しても、やっぱり冴月さんは怒ってくるのでした。


        ◇◇◇


「ねーねー、明莉あかりー?」

 放課後、それぞれの活動のためにクラスメイトが教室から去っていく中、華凛さんから声が掛かります。

「はい、どうしました?」

「なんかさー、さっき休み時間に冴月と話ししてなかったー?」

「あ、はい。しましたよ?」

 わたしが月森さんたちと体育祭を謳歌しても他意はないという説明です。

「なに話してたのよー?」

 華凛さんは気になるようでジト目をたくさん向けてきます。

 ですが、冴月さんの恋心をわたしが勝手に暴露するわけにもいけません……。

「えっと、体育祭のことですよ。ほら、二人三脚も一緒にやりますし……」

 いい感じのニュアンスではないでしょうか……、嘘はついていませんし。

「へー、ふーん、そーなんだ」

「えっと、華凛さん……?」

 どうしてそんなに納得いかないような、ねっとりとした視線を送り続けるのでしょう……。

「なんかさぁ最近、妙に冴月と仲良くない?前まであんなに険悪だったのにさ」

「えっと、そういうわけでは……」

 あ、なるほど。

 華凛さんは、わたしと冴月さんのトラブルを助けてくれたこともありましたからね。

 きっと義妹としてのわたしを心配してくれて――

『なんで月森たちがあんたのことをそんなに構ってくれるのか、とか。そういう視点で考えないと、あんた自分のこと理解できないんじゃないの?』

 ……あ、あれ。

 どうしてここで、冴月さんの言葉が引っ掛かるのでしょう。

 ……ま、まぁ。

 誰かの言葉を、わたしはいつも自分だけで解釈し過ぎているのかもしれません。

 冴月さんの言葉が、自分にそんな疑いを持たせたのでしょう。

「あの……華凛さんは、どうしてそんなにわたしのことを心配してくれるんですか?」

「え……ええっ!?」

 あ、あれ?

 どうしてそんなに驚くのでしょう?

「いや、ほら、その……明莉はあたしにとって大事だからというか、守らなきゃいけないというか、さ……」

「え、あっ、ありがとうございます……」

 わわっ……。

 思っていたよりも直接的な表現ですね……。

「あ、へ、変な意味じゃないからねっ!もっとこう……大きな意味というか……」

「わ、分かります、分かりますっ」

 その言葉こそ、華凛さんにとってわたしが義妹であり家族であるという証明でしょう。

 ですが、こうして面と向かって言われると何だか照れてしまうものがありますね……。

「わたしも華凛さんの為に出来ることがあったら何でもしますからねっ」

 助けてもらってばかりでいられません。

 わたしに何か出来ることがあれば是非させて頂きたいのですっ。

「いや、あたしはもっとたくさんのものを明莉から貰ってるから大丈夫」

「え……?」

「だから明莉に何かしてもらえるようになるのは、あたしが返し終わってから……かな?」

 その言葉に違和感を覚えます。

「それじゃ、あたし部活行ってくる!またね明莉!」

 華凛さんは満面の笑みを浮かべて、大きく腕を振ります。

「あ、はい……気を付けて下さいね……」

 わたしがいつ、華凛さんにそんな大きなものをあげたのでしょう……?

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