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41. デートのようです①
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翌日。私はアドルフ様と一緒に王都を回ることになっていた。
無事にリリア様の処遇が決まって、厄介ごとが消えたことをお祝いするらしい。
でも、これって……。
「デート、楽しんでくださいね。私は邪魔だと思うので、奥様のところで控えていますね」
「やっぱり!? ダリアからもそう見えるのね?」
「ええ、どう見てもデートでございます」
アドルフ様の女性が苦手という問題はもう気にならなくなっているけれど、こんな関係になるなんて思っていなかったから、戸惑ってしまう。
「サーシャ、お待たせ。
準備は大丈夫かな?」
「ええ、大丈夫ですわ」
アドルフ様の手を借りて馬車に乗る私。
女性に手を貸すことが少ないかったからかしら? アドルフ様の手は緊張からか震えていた。
おかしいわ。
この前は震えていなかったのに……。
でも、2人きりで馬車に乗るのは初めてだから、私も緊張してしまう。
揃って震えているものだから、危うく足を滑らせそうになってしまった。
でも、アドルフ様が背中も支えてくれていたから、私が転がり落ちるなんてことにはならなかった。
「大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですわ」
危ない場面になると緊張も解けるみたいで、今度は何事もなく馬車に乗れたのだけど……。
目的地はまだ教えられていないから気になるわ。
でも、頑張って聞き出そうとしても、ヒントの欠片しか引き出せなかった。
口が堅いのは貴族としても、人としても大事なこと。
でも、私に対してはもう少し柔らかくてもいいと思うのよね……。
「着いたみたいだ」
「カーテン、開けても良いですか?」
「もちろんだ」
返事を待ってからカーテンを開けると、記憶に全く無い景色が飛び込んできた。
左側にカフェ右側には宝石店があるのね。
「今日はどちらに行くのですか?」
「両方だ」
「はい……?」
「先にどちらに行きたい?」
「えっと……宝石店の方でお願いしますわ」
まさかの両方という発言に戸惑いながらも返事をする私。
今日はお金なんて持ってきていないのだけど、大丈夫か心配になってしまうわ。
こういう時、私が買う分は自分で払わされた記憶しか無いのよね……。
「何か心配事でもあるのかな?」
「えっと、お金が足りるか心配ですの……」
「全部俺が払うから気にするな。というか、プレゼントするつもりで来たのだが……。
男性側がプレゼントするのは常識だ」
アドルフ様も困惑している様子で、そう口にする。
「これが、常識……?」
「夢で酷い目に遭っていたのは知っているが、そこまでだったのか……」
「そうみたいですわ……」
何故かすっごく心配されてしまった。
馬車を降りてからは、さっきまでの暗い空気は吹き飛んでいて、私は初めて入る宝石店を楽しむことになった。
「このアクセサリー、アドルフ様に似合いそうですわ」
「そうかな? 試してみよう」
店員さんの許可を取ってから、試しに身に着けるアドルフ様。
うん、すごく似合っているわ。
「すっごく似合っていますわ。これも試してみて下さい!」
「分かった。こっちはサーシャに似合いそうだな」
「……そうでしょうか? 一応、試してみますね」
断ることなんて出来ないから、似合わないのを覚悟でネックレスを付ける私。
店内にたくさん設けられている姿見で見てみると、いつもよりもキラキラしている私……いえ、キラキラしているのは宝石の方ね。
でも、似合っていると自分でも思う。
「うん、似合ってるよ。あとは、これと……これと、これだな」
「多すぎませんか……?」
「一通りはプレゼントしたいからね」
「ほどほどにお願いしますわ」
これ全部付けたら、宝石のキラキラに私が負けてしまいそうだわ。
アドルフ様は、宝石よりも本人の方が輝いているけれど……。
殿方に輝きで負ける令嬢って、少し悔しいわ。
無事にリリア様の処遇が決まって、厄介ごとが消えたことをお祝いするらしい。
でも、これって……。
「デート、楽しんでくださいね。私は邪魔だと思うので、奥様のところで控えていますね」
「やっぱり!? ダリアからもそう見えるのね?」
「ええ、どう見てもデートでございます」
アドルフ様の女性が苦手という問題はもう気にならなくなっているけれど、こんな関係になるなんて思っていなかったから、戸惑ってしまう。
「サーシャ、お待たせ。
準備は大丈夫かな?」
「ええ、大丈夫ですわ」
アドルフ様の手を借りて馬車に乗る私。
女性に手を貸すことが少ないかったからかしら? アドルフ様の手は緊張からか震えていた。
おかしいわ。
この前は震えていなかったのに……。
でも、2人きりで馬車に乗るのは初めてだから、私も緊張してしまう。
揃って震えているものだから、危うく足を滑らせそうになってしまった。
でも、アドルフ様が背中も支えてくれていたから、私が転がり落ちるなんてことにはならなかった。
「大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですわ」
危ない場面になると緊張も解けるみたいで、今度は何事もなく馬車に乗れたのだけど……。
目的地はまだ教えられていないから気になるわ。
でも、頑張って聞き出そうとしても、ヒントの欠片しか引き出せなかった。
口が堅いのは貴族としても、人としても大事なこと。
でも、私に対してはもう少し柔らかくてもいいと思うのよね……。
「着いたみたいだ」
「カーテン、開けても良いですか?」
「もちろんだ」
返事を待ってからカーテンを開けると、記憶に全く無い景色が飛び込んできた。
左側にカフェ右側には宝石店があるのね。
「今日はどちらに行くのですか?」
「両方だ」
「はい……?」
「先にどちらに行きたい?」
「えっと……宝石店の方でお願いしますわ」
まさかの両方という発言に戸惑いながらも返事をする私。
今日はお金なんて持ってきていないのだけど、大丈夫か心配になってしまうわ。
こういう時、私が買う分は自分で払わされた記憶しか無いのよね……。
「何か心配事でもあるのかな?」
「えっと、お金が足りるか心配ですの……」
「全部俺が払うから気にするな。というか、プレゼントするつもりで来たのだが……。
男性側がプレゼントするのは常識だ」
アドルフ様も困惑している様子で、そう口にする。
「これが、常識……?」
「夢で酷い目に遭っていたのは知っているが、そこまでだったのか……」
「そうみたいですわ……」
何故かすっごく心配されてしまった。
馬車を降りてからは、さっきまでの暗い空気は吹き飛んでいて、私は初めて入る宝石店を楽しむことになった。
「このアクセサリー、アドルフ様に似合いそうですわ」
「そうかな? 試してみよう」
店員さんの許可を取ってから、試しに身に着けるアドルフ様。
うん、すごく似合っているわ。
「すっごく似合っていますわ。これも試してみて下さい!」
「分かった。こっちはサーシャに似合いそうだな」
「……そうでしょうか? 一応、試してみますね」
断ることなんて出来ないから、似合わないのを覚悟でネックレスを付ける私。
店内にたくさん設けられている姿見で見てみると、いつもよりもキラキラしている私……いえ、キラキラしているのは宝石の方ね。
でも、似合っていると自分でも思う。
「うん、似合ってるよ。あとは、これと……これと、これだな」
「多すぎませんか……?」
「一通りはプレゼントしたいからね」
「ほどほどにお願いしますわ」
これ全部付けたら、宝石のキラキラに私が負けてしまいそうだわ。
アドルフ様は、宝石よりも本人の方が輝いているけれど……。
殿方に輝きで負ける令嬢って、少し悔しいわ。
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