恋、しちゃおうかな

ももくり

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恋する男(鈴木Side)

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 ※本日二話投稿しております。
 そんでもってココから鈴木Sideです。
 ──────────
 
 
 プロポーズを、した。
 
 もちろん、人生初で。
 まさかそんなことをするなんて、自分でも意外だったけど。
 
 でも、しょうがないじゃないか。相手が急にモテ始めたことで、焦ってしまったんだ。だけどベッドに連れ込むことは慣れていても、甘い言葉を囁くなんて今までしたことが無くて。悩んだ挙句、ストレートに伝えてみようかと。
 
 どこで言おうか、これまた悩み。自宅だと逃げ場が無いから、会社で実行することに。だってほら、職場なら照れ臭い空気になっても、仕事に没頭することでクールダウン出来るだろう?
 
 いや、実を言うとかなり自信は有って。
 絶対に向こうは、俺のことが好きだって。
 
 早々に身辺整理は済ませておいた。うん、ほんと、自分でも驚きだ。1人の女に操を立てて他の女を全部切っちゃうとか、いったいどこの世界の俺なんだよ。
 
 だけど、『逃げずに次の恋愛に挑む』って宣言したから。だから、俺には美玲だけ。結婚しようと思ったのも、美玲だったから。

 >分かりましたよ
 
 めちゃくちゃ緊張した、プロポーズ。
 
 返事は色気も素っ気も無かったけど、とにかくOKを貰ってホッとした。なんだ、心配してソンしたじゃないかって。その前の金曜はウチに来ないで山川と会っていたと聞いて、『まさか山川と』なんて心配していたから。
 
 ほんと俺、美玲とは上手く話せない。好きだと意識した時点で、ダメ男になってしまったのかも。
 
 問い詰めたりしたら、
 嫌われちゃうんじゃないかって。
 
 こっちから連絡したら、
 ウザイって思われやしないかって。
 
 そんな負の感情ばかり浮かんでくる。
 
 ははっ、
『恋する男』だな、俺。
 
 
 
 会社帰りの居酒屋。今日は早々に仕事を切り上げ、オフィスを出ようとする山川を捕まえた。恐ろしく不機嫌そうな顔をされたけど、それにも動じず飲みに誘ってみたのだが。店員が注文を訊きに来るまで、山川はずっとスマホを眺めている。
 
「…んで?話って何だよ。こう見えてオレ、結構忙しいんだけど」
 
 同期でしかも同じ部署なのに、どうしてか山川は俺限定で冷たい。
 
 まあ、待て。
 素面じゃ言えんのだ。
 ビールを1杯飲ませてくれ。
 
 薄ら笑いを浮かべる俺と同時に、彼は話し出す。
 
「絶対、美玲には手を出すなよ」
「いや、実は俺、結婚しようかと思ってさ」
 
 美玲と結婚することを伝えるつもりだったのに、なぜか山川の頭の中では別の女性と結婚すると思ったらしく。

 ──爆弾発言をしやがった。
 
  
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