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第一章:The Intern
シルバー・ローニン(3)
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居候先の寺の住職から客が来ていると言われて……客間まで行ってみれば、あいつだった。
着ている革のジャケットはバイク用らしい。
「何しに来た?」
「い……いや……ちょっと謝りに……」
「判った。謝罪は受け入れた。さっさとお帰りいただけると有り難い」
「おい、待て」
「色々と忙しんだ」
「いや……どっかに遊びに行かない?」
「はぁ?」
「この前は、あたしが悪かったんで、何かおごるよ」
「おごる? 何を?」
「いや、昼食とか……」
「言っとくが、私は外食の注文は多いぞ」
「そう言えば……名前聞いてなかったな……。あたしは木村旭だ」
「すまん、本名は無い」
「へっ? 今、何て?」
「本名は無い」
「あの……『本名は無い』って言ったように聞こえたけど……」
「ああ、間違い無い」
「何がどうなってんだ?」
「色々と事情が有るんだ。一応は高場輝と名乗っている」
「ええっと……」
「また、名前で他人を小馬鹿にする気か? それなら夕食もおごってもらうぞ」
「そうだけど……偽名なら、もっと平凡な名前を……」
「私の故郷の基準では……日本人の名前としては、そう変なモノには思えなかったが……」
「い……いや……ちょ……ちょっと古臭い名前の気が……」
「古臭いって、何時ごろだ? 二〇世紀か?」
「い……いや……二〇世紀は二〇世紀だけど……その……」
「お前は、私の名前を二〇世紀のどの辺りの名前だと思ったんだ?」
「……戦前……」
ああ、私の「故郷」の世界統一戦争に相当する戦争の前の意味か……。「ここ」の呼び方では第2次世界大戦やアジア太平洋戦争だったか。
「ああ、なるほど……納得した訳ではないが、お前が変に思った理由は理解出来た」
「お前……一体、どこの出身なんだよ?」
「長くなるんで、ゆっくり話せる時に説明する」
着ている革のジャケットはバイク用らしい。
「何しに来た?」
「い……いや……ちょっと謝りに……」
「判った。謝罪は受け入れた。さっさとお帰りいただけると有り難い」
「おい、待て」
「色々と忙しんだ」
「いや……どっかに遊びに行かない?」
「はぁ?」
「この前は、あたしが悪かったんで、何かおごるよ」
「おごる? 何を?」
「いや、昼食とか……」
「言っとくが、私は外食の注文は多いぞ」
「そう言えば……名前聞いてなかったな……。あたしは木村旭だ」
「すまん、本名は無い」
「へっ? 今、何て?」
「本名は無い」
「あの……『本名は無い』って言ったように聞こえたけど……」
「ああ、間違い無い」
「何がどうなってんだ?」
「色々と事情が有るんだ。一応は高場輝と名乗っている」
「ええっと……」
「また、名前で他人を小馬鹿にする気か? それなら夕食もおごってもらうぞ」
「そうだけど……偽名なら、もっと平凡な名前を……」
「私の故郷の基準では……日本人の名前としては、そう変なモノには思えなかったが……」
「い……いや……ちょ……ちょっと古臭い名前の気が……」
「古臭いって、何時ごろだ? 二〇世紀か?」
「い……いや……二〇世紀は二〇世紀だけど……その……」
「お前は、私の名前を二〇世紀のどの辺りの名前だと思ったんだ?」
「……戦前……」
ああ、私の「故郷」の世界統一戦争に相当する戦争の前の意味か……。「ここ」の呼び方では第2次世界大戦やアジア太平洋戦争だったか。
「ああ、なるほど……納得した訳ではないが、お前が変に思った理由は理解出来た」
「お前……一体、どこの出身なんだよ?」
「長くなるんで、ゆっくり話せる時に説明する」
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