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第二章:Fair Game
スカーレット・モンク(2)
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「ええっと……製造番号らしきモノを見付けました」
動かなくなった遠隔操作式のロボットを調べてたあたしは後方支援要員に連絡。
『それカメラに写せる? ええっと……6~7年前の型式だね』
「TCAの連中が使ってたんですかね?」
TCAを「テロ集団」と見做している国内の自治体や国外の地域は少なくない。その為、民生品であっても、科学技術であれ魔法技術であれ「最新技術」やある種の「職人芸」を使ったモノは、TCAへの「輸出」が禁じられている。
そのせいで、携帯電話にしろ、PCにしろ、バイクや乗用車にしろ、こっちでは「3~4年前の型落ち品」が、TCAでは「最新型」扱いらしい。
『まだ、状況証拠だけ。他の誰かが足が付かないように、わざと古いのを使った可能性も有る。予断は禁物』
「トラックの運転手と思われる男の血液から、違法な戦意高揚薬と思われる成分を検出。おそらくはタイプA-23かタイプC-04です」
レスキュー隊員の1人が、おそらくはレスキュー隊久留米支部に、そう連絡していた。
「あのねえ……何で、こっちの連中は……大東亜戦争の際の特攻を変な意味に使ってんのよ?」
問題の女の子は、怪我1つ無く無事だった。
「阿呆な真似だったからに決ってるだろ」
「だ・か・ら……国に命を捧げた勇敢な兵士を……」
「わかった、わかった。で、その手の変な薬使ってる奴には、お前らの精神操作は効くのか?」
「え……どうなの……ま~くん……?」
女の子にそう訊かれた男の子は……首を横に振る。
「あ……判る訳ないか……」
続いて縦。
「あのさ……もし、テロリスト専用のSNSとかに入ってるなら、変な投稿が広まってないか調べてもらえるか?『精神操作能力者を確実に殺せる方法求む』とかさ」
「何よ、その『テロリスト専用のSNS』って? 私達はテロリストなんかじゃないッ‼」
「あ……あの……どう云う事でしょうか?」
そう訊いてきたのは、このガキ2名の「保護者」らしき三十前後の男。
「この子ら2人とも、精神操作能力者?」
「え……ええ……」
「『ええ』? Yesの意味?」
「ええっと……ええ『ええっと……』の意味です」
「判りにくいよ」
「芳本さんは黙ってて」
「で……ですが……」
「貴方の言う通りよ。私達姉弟は筑豊TCAでも最強の精神操作能力者よ。私は、精神集中が必要だけど……半径二〇m以内、一度に二~三十人の人間に精神操作を行なう事が出来て……ま~くんは、精神集中なしで半径二五m以内の相手を一度に五十人ってところね」
「ああ……言っちゃった……」
「じゃあ、お前たちを殺す気で車で突っ込んで来てるヤツに『止まれ』って精神操作をしたら?」
「決ってるでしょ。そいつはブレーキを踏む」
「だが、ある程度以上のスピードの車ってのは、ブレーキを踏んですぐに止まれる訳じゃない」
「へっ?」
「で、あれは精神操作出来るか?」
そう言って、あたしは動かなくなった遠隔操作式のロボットを指差す。
「出来る訳ないでしょ。生きた人間じゃないんだし」
「で、戦意高揚系の違法薬物をキめてる奴に精神操作が効くかは、お前たちも知らない訳か」
「何が言いたいの……?」
「あの……まさか……」
『気を付けろ。今までお前達に教えてきた対「精神操作能力者」ノウハウは、あくまで精神操作能力者を鎮圧する為のモノだ。しかし、多分、今回の「敵」は「精神操作能力者の殺害」に主眼を置いている。「鎮圧」と「殺害」には微妙なズレが有る。少しでも妙な事に気付いたら、こちらの判断を仰げ』
瀾師匠から無線連絡。
「状況証拠しか無い。しかし、こいつらの黒幕が誰であれ……プランAからプランCまで『精神操作能力者』を殺すのに向いた方法だったって……偶然だと思うか?」
動かなくなった遠隔操作式のロボットを調べてたあたしは後方支援要員に連絡。
『それカメラに写せる? ええっと……6~7年前の型式だね』
「TCAの連中が使ってたんですかね?」
TCAを「テロ集団」と見做している国内の自治体や国外の地域は少なくない。その為、民生品であっても、科学技術であれ魔法技術であれ「最新技術」やある種の「職人芸」を使ったモノは、TCAへの「輸出」が禁じられている。
そのせいで、携帯電話にしろ、PCにしろ、バイクや乗用車にしろ、こっちでは「3~4年前の型落ち品」が、TCAでは「最新型」扱いらしい。
『まだ、状況証拠だけ。他の誰かが足が付かないように、わざと古いのを使った可能性も有る。予断は禁物』
「トラックの運転手と思われる男の血液から、違法な戦意高揚薬と思われる成分を検出。おそらくはタイプA-23かタイプC-04です」
レスキュー隊員の1人が、おそらくはレスキュー隊久留米支部に、そう連絡していた。
「あのねえ……何で、こっちの連中は……大東亜戦争の際の特攻を変な意味に使ってんのよ?」
問題の女の子は、怪我1つ無く無事だった。
「阿呆な真似だったからに決ってるだろ」
「だ・か・ら……国に命を捧げた勇敢な兵士を……」
「わかった、わかった。で、その手の変な薬使ってる奴には、お前らの精神操作は効くのか?」
「え……どうなの……ま~くん……?」
女の子にそう訊かれた男の子は……首を横に振る。
「あ……判る訳ないか……」
続いて縦。
「あのさ……もし、テロリスト専用のSNSとかに入ってるなら、変な投稿が広まってないか調べてもらえるか?『精神操作能力者を確実に殺せる方法求む』とかさ」
「何よ、その『テロリスト専用のSNS』って? 私達はテロリストなんかじゃないッ‼」
「あ……あの……どう云う事でしょうか?」
そう訊いてきたのは、このガキ2名の「保護者」らしき三十前後の男。
「この子ら2人とも、精神操作能力者?」
「え……ええ……」
「『ええ』? Yesの意味?」
「ええっと……ええ『ええっと……』の意味です」
「判りにくいよ」
「芳本さんは黙ってて」
「で……ですが……」
「貴方の言う通りよ。私達姉弟は筑豊TCAでも最強の精神操作能力者よ。私は、精神集中が必要だけど……半径二〇m以内、一度に二~三十人の人間に精神操作を行なう事が出来て……ま~くんは、精神集中なしで半径二五m以内の相手を一度に五十人ってところね」
「ああ……言っちゃった……」
「じゃあ、お前たちを殺す気で車で突っ込んで来てるヤツに『止まれ』って精神操作をしたら?」
「決ってるでしょ。そいつはブレーキを踏む」
「だが、ある程度以上のスピードの車ってのは、ブレーキを踏んですぐに止まれる訳じゃない」
「へっ?」
「で、あれは精神操作出来るか?」
そう言って、あたしは動かなくなった遠隔操作式のロボットを指差す。
「出来る訳ないでしょ。生きた人間じゃないんだし」
「で、戦意高揚系の違法薬物をキめてる奴に精神操作が効くかは、お前たちも知らない訳か」
「何が言いたいの……?」
「あの……まさか……」
『気を付けろ。今までお前達に教えてきた対「精神操作能力者」ノウハウは、あくまで精神操作能力者を鎮圧する為のモノだ。しかし、多分、今回の「敵」は「精神操作能力者の殺害」に主眼を置いている。「鎮圧」と「殺害」には微妙なズレが有る。少しでも妙な事に気付いたら、こちらの判断を仰げ』
瀾師匠から無線連絡。
「状況証拠しか無い。しかし、こいつらの黒幕が誰であれ……プランAからプランCまで『精神操作能力者』を殺すのに向いた方法だったって……偶然だと思うか?」
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