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女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』その(2)ダン嶋原とNOZOMI
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NOZOMIがその復帰戦で鎌田桃子をリングに沈めたシーンは衝撃的であり、その興奮冷めやらぬ中でメインイベントは行われた。
ダン嶋原 vs 村椿和樹
ダン嶋原は堂島源太郎も所属したキックボクシング団体『S』の大スター。対する村椿和樹は、対抗するもう一つのメジャー団体『F』の大スター。
嶋原は堂島と同じライト級。村椿はスーパーライト級だが、その間をとって62.5Kg以下という契約で行われた。
二人とも174cmでほぼ同体格。
両団体の威信をかけた一戦は、絶対負けられない中で始まった。
試合は序盤の1~2ラウンドこそ、パワーに勝る村椿が押し気味であったが、3ラウンド以降は若さと勢いのある嶋原が攻勢に出る。
4ラウンドに2度のダウンを奪うと、その勢いのまま最終ラウンドへ判定に持ち込まれた。この一戦は大差の判定で嶋原に軍配が上がった。
うなだれてリングを後にする村椿。
リング上では嶋原の勝利インタビューが行われていた。
そんな嶋原の様子をリング下からジッと見つめている美女がいる。
キャップを深々と被り、それが誰なのかは分からない。
その美女はインタビューが終わるとリングにそっと上がってきた。
かなり長身だ、ミニスカートから長くきれいな脚が伸びている。
(実況)
「おおっと、これは誰だ? キャップを取ったぞ。NOZOMIだ!まだ試合を終えたばかりなのに、傷一つないぞ。このミニスカート姿は格闘家NOZOMIではない。紛れもなくカリスマモデルNOZOMIこと、山吹望だぁ~」
嶋原とNOZOMIの視線が交錯した。
嶋原は嫌な予感がした。
観客はリング上のハプニング?に、時折「のぞみ~!」の声が飛んでくるだけで息を呑んだ様に静かだ。リングアナがNOZOMIにマイクを渡した。
「嶋原さんおめでとうございます。ナイスファイトでした! 私も今日はどうにか勝つことが出来ました。どうでしょうか! 今度は私と文字通り雌雄を決するというのは?」
観客から歓声が飛んだ。
「・・・・」
「嶋原さんが、堂島源太郎さんの仇を討ちたいと仰っていたのは知っています。私も是非、嶋原さんと戦ってみたいのです。やりましょう!」
嶋原は最悪の事態になったと思いながらおずおずとマイクを取った。
「今日のNOZOMIさんの強さには敬服しました。でも、仇を討ちたいと言ったのは事実ですが、試合後にアナタは
“ 堂島さんに捧げます!” と言ってくれました。それで充分です。もう、戦う理由はありません。それぞれの道で格闘技のために頑張りましょう!」
場内からブーイングが飛んできた。
「そうですか、、でも、嶋原さんも私も堂島源太郎さんを尊敬する者同士。だからこそ、そんな二人が天国にいる堂島さんに捧げる試合をする意味はあると思いませんか? どうでしょうか皆さん!今年の大晦日あたり...」
嶋原は観客にアピールするNOZOMIを苦々しく思いながら、首を横に振り止めようとすマネージャーが目に入らないのか「やってやろうじゃないか!」と答えてしまう。ダン嶋原はカッと
しやすい性格。それをうまく利用したNOZOMIだった。
ウオオオオオオ!
観衆は大喜びである。
NOZOMIの挑発に乗り軽率な発言をした嶋原を、チーム関係者が厳しい顔で叱責しているようだ。
それを横目にNOZOMIは、その美しい顔に笑みを浮かべ、主催する会社のお偉方にチラッと目を向けるとまたキャップを深々と被りリングを降りた。
NOZOMIのミニスカートから伸びる長く美しい脚。その後ろ姿はカリスマモデルそのもので観衆の視線を浴びる。
そんな美女が、村椿和樹を下し名実共にその階級では日本最強となったダン嶋原と戦えるのだろうか?
ダン嶋原 vs NOZOMI 大晦日決戦か?
天国の堂島源太郎に捧げる!
NOZOMIがダン嶋原に挑戦。
「やってやろうじゃないか!」
ダン嶋原がNOZOMIの挑戦を受ける。
究極の男女シュートマッチ実現か?
翌日の各スポーツ紙はそんな見出しで飾られていた。それを堂島龍太は複雑な思いで見ている。彼にとっては、父を死闘の末に倒したNOZOMIにはずっと勝ち続けてほしい。
かと言って、嶋原さんは生前の父がまるで弟のようにかわいがっており、龍太は何度も会ったことがある。
やんちゃだけど優しくて強い嶋原さんは龍太の憧れでもある。
それに、やっぱり男は女より強いものと嶋原さんに証明してもらいたい。
応援するのは嶋原さんだ。
でも、嶋原さんがNOZOMIを倒してしまったなら?
NOZOMIさんを倒すのは自分なのだ。この堂島龍太が倒すのだ。
目標を失ってしまうではないか。
「お兄ちゃん。パパのお友達だった嶋原さんは大好きだけど、NOZOMIさんは打撃も強くなってるし、柔術の方も練習してもっと強くなってると思う。
総合ルールで戦ったら嶋原さんに勝ち目はないと思わない? NOZOMIさんを倒すのは絶対私なの...」
「麻美! 女の子のくせにまだそんなこと言ってるのか? NOZOMIさんを倒すのは僕に任せろ! その前に嶋原さんが倒すと思うけど、それとは関係なく僕はNOZOMIさんといつか戦う...」
龍太は妹が睨んでいるのを感じた。
龍太は相変わらず空手に打ち込み、今ではたまに父の所属していたキックボクシングジムにも顔を出している。
彼もまた父がNOZOMIに倒されてから一年半。大きく成長した。
それ以上に変わったのは、あの甘ったれだった妹の麻美。小学校2年になってからレスリングを始め、さすがド根性源太郎の娘、素質があったのだ。メキメキ頭角を表してきた。
区のちびっ子レスリング大会で、小学校三年生の部で男子を次々と破り、女子ながら優勝してしまった。
堂島源太郎の息子龍太。
堂島源太郎の娘麻美。
共に父の仇を打つという気持ちは忘れていなかった。でもそれは、仇という恨みの気持ちではなく純粋にNOZOMIと戦いたいという気持ちからだった
ダン嶋原 vs 村椿和樹
ダン嶋原は堂島源太郎も所属したキックボクシング団体『S』の大スター。対する村椿和樹は、対抗するもう一つのメジャー団体『F』の大スター。
嶋原は堂島と同じライト級。村椿はスーパーライト級だが、その間をとって62.5Kg以下という契約で行われた。
二人とも174cmでほぼ同体格。
両団体の威信をかけた一戦は、絶対負けられない中で始まった。
試合は序盤の1~2ラウンドこそ、パワーに勝る村椿が押し気味であったが、3ラウンド以降は若さと勢いのある嶋原が攻勢に出る。
4ラウンドに2度のダウンを奪うと、その勢いのまま最終ラウンドへ判定に持ち込まれた。この一戦は大差の判定で嶋原に軍配が上がった。
うなだれてリングを後にする村椿。
リング上では嶋原の勝利インタビューが行われていた。
そんな嶋原の様子をリング下からジッと見つめている美女がいる。
キャップを深々と被り、それが誰なのかは分からない。
その美女はインタビューが終わるとリングにそっと上がってきた。
かなり長身だ、ミニスカートから長くきれいな脚が伸びている。
(実況)
「おおっと、これは誰だ? キャップを取ったぞ。NOZOMIだ!まだ試合を終えたばかりなのに、傷一つないぞ。このミニスカート姿は格闘家NOZOMIではない。紛れもなくカリスマモデルNOZOMIこと、山吹望だぁ~」
嶋原とNOZOMIの視線が交錯した。
嶋原は嫌な予感がした。
観客はリング上のハプニング?に、時折「のぞみ~!」の声が飛んでくるだけで息を呑んだ様に静かだ。リングアナがNOZOMIにマイクを渡した。
「嶋原さんおめでとうございます。ナイスファイトでした! 私も今日はどうにか勝つことが出来ました。どうでしょうか! 今度は私と文字通り雌雄を決するというのは?」
観客から歓声が飛んだ。
「・・・・」
「嶋原さんが、堂島源太郎さんの仇を討ちたいと仰っていたのは知っています。私も是非、嶋原さんと戦ってみたいのです。やりましょう!」
嶋原は最悪の事態になったと思いながらおずおずとマイクを取った。
「今日のNOZOMIさんの強さには敬服しました。でも、仇を討ちたいと言ったのは事実ですが、試合後にアナタは
“ 堂島さんに捧げます!” と言ってくれました。それで充分です。もう、戦う理由はありません。それぞれの道で格闘技のために頑張りましょう!」
場内からブーイングが飛んできた。
「そうですか、、でも、嶋原さんも私も堂島源太郎さんを尊敬する者同士。だからこそ、そんな二人が天国にいる堂島さんに捧げる試合をする意味はあると思いませんか? どうでしょうか皆さん!今年の大晦日あたり...」
嶋原は観客にアピールするNOZOMIを苦々しく思いながら、首を横に振り止めようとすマネージャーが目に入らないのか「やってやろうじゃないか!」と答えてしまう。ダン嶋原はカッと
しやすい性格。それをうまく利用したNOZOMIだった。
ウオオオオオオ!
観衆は大喜びである。
NOZOMIの挑発に乗り軽率な発言をした嶋原を、チーム関係者が厳しい顔で叱責しているようだ。
それを横目にNOZOMIは、その美しい顔に笑みを浮かべ、主催する会社のお偉方にチラッと目を向けるとまたキャップを深々と被りリングを降りた。
NOZOMIのミニスカートから伸びる長く美しい脚。その後ろ姿はカリスマモデルそのもので観衆の視線を浴びる。
そんな美女が、村椿和樹を下し名実共にその階級では日本最強となったダン嶋原と戦えるのだろうか?
ダン嶋原 vs NOZOMI 大晦日決戦か?
天国の堂島源太郎に捧げる!
NOZOMIがダン嶋原に挑戦。
「やってやろうじゃないか!」
ダン嶋原がNOZOMIの挑戦を受ける。
究極の男女シュートマッチ実現か?
翌日の各スポーツ紙はそんな見出しで飾られていた。それを堂島龍太は複雑な思いで見ている。彼にとっては、父を死闘の末に倒したNOZOMIにはずっと勝ち続けてほしい。
かと言って、嶋原さんは生前の父がまるで弟のようにかわいがっており、龍太は何度も会ったことがある。
やんちゃだけど優しくて強い嶋原さんは龍太の憧れでもある。
それに、やっぱり男は女より強いものと嶋原さんに証明してもらいたい。
応援するのは嶋原さんだ。
でも、嶋原さんがNOZOMIを倒してしまったなら?
NOZOMIさんを倒すのは自分なのだ。この堂島龍太が倒すのだ。
目標を失ってしまうではないか。
「お兄ちゃん。パパのお友達だった嶋原さんは大好きだけど、NOZOMIさんは打撃も強くなってるし、柔術の方も練習してもっと強くなってると思う。
総合ルールで戦ったら嶋原さんに勝ち目はないと思わない? NOZOMIさんを倒すのは絶対私なの...」
「麻美! 女の子のくせにまだそんなこと言ってるのか? NOZOMIさんを倒すのは僕に任せろ! その前に嶋原さんが倒すと思うけど、それとは関係なく僕はNOZOMIさんといつか戦う...」
龍太は妹が睨んでいるのを感じた。
龍太は相変わらず空手に打ち込み、今ではたまに父の所属していたキックボクシングジムにも顔を出している。
彼もまた父がNOZOMIに倒されてから一年半。大きく成長した。
それ以上に変わったのは、あの甘ったれだった妹の麻美。小学校2年になってからレスリングを始め、さすがド根性源太郎の娘、素質があったのだ。メキメキ頭角を表してきた。
区のちびっ子レスリング大会で、小学校三年生の部で男子を次々と破り、女子ながら優勝してしまった。
堂島源太郎の息子龍太。
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