Emotion

4年前の夏から全てが変わった

あの日、気が付いたら
病院のベッドの上で
私は1ヶ月以上も意識がなかった、という……

ただ1人、妹の紗奈だけが私を責めた。

私を空港に迎えに行かなければ
あんな事故に巻き込まれる事はなかったと

だけどその夏の出来事を
私は何ひとつ覚えてはいなかった。

***** ***** *****

奔放な母に付き合って(付き合わされて)様々な諸外国で
多感な思春期を過ごしていた主人公・和泉悠里《いずみ ゆうり》は
実父が再婚したのを契機に日本(東京)へ定住する事にし、
中学にも入ったが。
高校卒業後の身の振り方を再考するため訪れたアメリカから帰国した時、
空港からの帰り道で交通事故に巻き込まれてしまった。
その事故で実父・和泉と継母・祥子は即死。
悠里は大破した車から幸い救出されたが満身創痍。
細々とした箇所を挙げたらキリがないくらい体のあちこちがボロボロで、
意識不明の昏睡状態から目覚めたのは事故に遭った1ヶ月半後。
おまけに事故の後遺症で軽度の記憶障害が残り事故前後約1~2年の間に
起こった事柄を全く思い出せないでいた。

そんな中

3姉妹の後見人で和泉夫妻の古い友人でもある
弁護士の結城伸吾が8年前父母が養子として
引き取った子が来日した、と、二部勤務明けで
法律事務所を訪れた悠里に引き合わせた。

その養子となったのは推定年齢14才の少年で
名前は理玖。

悠里は記憶が欠落する後遺症を負ったせいで
あの事故の前アメリカで理玖と会っていたが
その事は覚えておらず。

軽くパニくる。

そんな悠里に理玖は
『あんたがオレと過ごした夏の日々を忘れていようと、
 オレはちゃんと覚えてる。だから、あの時の約束を
 果たしに日本まで来たんだ』
 
と、言い。
このまま東京で悠里と共に暮す事を望む。

悠里は理玖のひたむきで熱の篭った真剣な眼差しに
惹き込まれ、何も言えなくなり。
結城からの

「お前がどうしても理玖を家族だと ――
 弟だと認められんと言うなら、私も無理強いはしない。
 でも、どうだろ、最終決定はもう少し先に伸ばして、
 しばらく一緒に暮らしてみないか?」
 
というアドバイスに応じ、
理玖を自分のアパートへ連れ帰るのだった。

こうして、2人の共同生活が始まる。

 
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