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コーディネートは俺好み

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「ええ、お嬢様のお肌の色にお似合いだと思います。お持ちしましょう」

 店員はつかつかと歩いて行って、ハンガーにかけられたそれを取り上げ、持ってきた。

 果歩はここまできてもまだ、自分がこのような素敵な服を着るということが信じられなかったのだけど、二人によって、ぱぱっと手配されてしまった。

「じゃ、楽しみにしてるよ」

 試着室に入れられて、ワンピースを渡された果歩に向かって、翔がにこっと笑みを浮かべた。

「……はい」

 つい敬語に戻ってしまった果歩は、店員が「ごゆっくりどうぞ」とカーテンを閉めたとき、心の中だけだがため息をついてしまった。

 ただ、嫌なため息ではない。

 感嘆の意味が多いため息だった。

 なんて素敵なんだろう。

 ブティックもそうだし、このワンピースも、それに翔さんのエスコートも……。

 ……私、こんなに良くしてもらっていいのかな。

 結局、そこに帰結するのだったが、果歩はすぐに気持ちを切り替えた。

 せっかく贈ってくれると言われているのだし、それならあまり遠慮しすぎるのも良くない。

 きっと気まぐれかなにかなのだろう。

 それなら受け取っておいたほうがいいんじゃないかな。
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