上 下
44 / 164
コーディネートは俺好み

7

しおりを挟む
「失礼いたしますね」

 それらを手にした店員によって、ぱぱっと果歩の身に装着されていくアクセサリー。

 果歩は目を白黒させながら、じっとしているしかなかった。

 フルセットを装備されて、「いかがでしょうか?」と大きな姿見を示された。

 映った自分の姿に、果歩は感嘆してしまう。

 自分ではないようだった。

 明るいパープルという色がすでに、普段着ない色であるし、豪華なのに上品なアクセサリーも、ワンピースに合わせればまったく違和感がなかった。

 本当に、海外の映画で見る女優さんのようだ。

 いや、私はそんな美人なんかじゃないけど!

 そこで我に返った果歩だったが、その肩になにかが乗った。

 鏡越しに見える。果歩よりずいぶん背が高い翔がうしろに立ち、両肩に手を置いてきたのだ。

「果歩さん、とても綺麗だよ」

 やわらかな、うっとりしているともいえそうな声音で言われて、果歩は恐縮してしまう。

 こんな、平凡な顔立ちでしかない自分をそのように言ってくれるなんて。

「そ、そんな……もったいない……」

 恐縮とはにかみが混ざった声で言った果歩だったが、翔はきっぱり否定した。

「もったいないものか。これでいいかい?」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

子供を産めない妻はいらないようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,093pt お気に入り:274

私が消えたその後で(完結)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:22,883pt お気に入り:2,395

私が悪役令嬢ですか?まあ、面白いこと。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:94

美しすぎてごめんなさい☆

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:4,161pt お気に入り:584

処理中です...