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再会はデジャヴ

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「ん! ひこーき! みた!」

 航はすっかり安心したようだ。

 ぱっと明るい声になって、ぶんっとぬいぐるみを振った。

「ん? 見たのか? どこで?」

 しかし翔は不思議そうになった。

 確かにこんな、商業施設の一階で飛行機を見られる場所なんてない。

 果歩はばくばくする心臓を抱えながらも、なんとか口を開いた。

「その……、展望台で……、見えたの」

 果歩の気持ちはわかっているだろう。

 その返事に、翔は顔を上げて果歩を見た。

 二人の視線がしっかり合う。

 たった数秒だった。

 なのに、二年半という時間。

 その長かった時間が、この視線の中に一瞬で流れたようにも果歩は感じた。
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