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翔の話~果歩の家にて~
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果歩がそう言ったのが最後だった。
翔は止まった表情を歪める。
痛みを堪えるような、切なげな表情になる。
「……果歩は……優しすぎるだろう」
絞り出すように言われたけれど、果歩は今度、軽く首をかしげた。
「そんなことないよ。私は本当にそう思ってるから、こうしているに過ぎないもの」
本当にその通りだ。
自分がそう思って、そうしたいと思って、しているに過ぎないのだから。
確かに一般的には『妊娠させた』と怒ったり、責任を求めたりしても良いところなのだとはわかる。
その感情や感覚もわかる。
ただ、自分はそう思わない。
それだけだ。
無理もなにもしていない。
本当に、心から、航を授かったことに感謝しかないから、こうあるだけだ。
「それが優しいんだよ……。……ああ」
翔はやはり絞り出すように言い、最後に独り言のように呟いた。
うめくのにも近い声だったので、果歩はよくわからなかったし、どう答えていいのかもわからなかった。
翔は止まった表情を歪める。
痛みを堪えるような、切なげな表情になる。
「……果歩は……優しすぎるだろう」
絞り出すように言われたけれど、果歩は今度、軽く首をかしげた。
「そんなことないよ。私は本当にそう思ってるから、こうしているに過ぎないもの」
本当にその通りだ。
自分がそう思って、そうしたいと思って、しているに過ぎないのだから。
確かに一般的には『妊娠させた』と怒ったり、責任を求めたりしても良いところなのだとはわかる。
その感情や感覚もわかる。
ただ、自分はそう思わない。
それだけだ。
無理もなにもしていない。
本当に、心から、航を授かったことに感謝しかないから、こうあるだけだ。
「それが優しいんだよ……。……ああ」
翔はやはり絞り出すように言い、最後に独り言のように呟いた。
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