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肖像画の依頼

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 そのあと詳しく品物を見た。

 絵画やその道具にはまるで詳しくないから、有識者を呼んで選んでもらったとか、レノスブル領で一番大きくて有名な画材店へ行って、買ってきたのだとか、フレイディは話してくれた。

 アマリアはやり取りをしながら、楽しくてならなかった。

 こうして明るく話ができることにも嬉しくなる。

 それは目の前に並べられて、贈り物だと言われた大好きな絵を描く道具たちよりも、嬉しいくらいかもしれなかった。

 フレイディは「気に入らないものは置いていっていいよ」と言ったが、そんな勿体ないことをするものか。

 むしろ残していくほうが失礼だ。

 アマリアはお気持ちに甘えることにして、すべて持ち帰ることを決めた。

 すぐに同行していた御付きが、馬車に積み込む支度をはじめてくれる。

 そのことで、アマリアは部屋の隅にあったものに気が付いた。

 何枚か、置かれているそれは額に入った絵画だった。

 だが飾られているわけではない。

 丁寧に置かれてはいるが、壁に掛けられてはいなかった。

「フレイディ様、あちらの絵は……?」

 アマリアの視線を追って、フレイディは初めてそこに『それ』が置いてあることに気付いたらしい。

 気まずそうな顔になった。

「おや、まったく、片付けておけと言ったのに……すまない、私的に使った絵だ」

 しかしアマリアは興味を惹かれてしまった。

 見てみてもいいかフレイディに許可を取り、近付いた。

 まじまじと見る。
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