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傷ついた心

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「申し訳ございません。うっかりしておりまして」

 アマリアは謝った。

 驚かせてしまったことを申し訳なく思う。

 そのアマリアの近くまで、フィオナは入ってきた。

 絵の具、しかも乾いていないものが置いてある場所なのだから、服を汚さないように慎重な足取りだ。

「肖像画、だいぶ進んだのね。前回、私が来たときより詳細になっているわ」

 描きかけのそれの前まで来て、フィオナはしげしげと絵を見つめた。

 絵の中にはフレイディがいる。

 描き込みはもう最終段階といえるほどになっているので、表情まではっきりとわかる。

 微笑を浮かべている優し気な表情。

 フレイディの一番魅力的な顔。

 ……今は見られないけれど。

 思ってしまって、ちくりと胸が痛んだ。

「はい。いつもお気にかけていただいて、ありがとうございます」

 でもそれは飲み込み、にこっと笑ってみせた。

 フィオナは帰省してくると毎回、アトリエへやってきてアマリアの絵を見てくれるのだ。

 そして進捗を楽しんでくれているようだった。

「いえ、それはなんでもないけど……」

 絵をしばらく見ていたあと、フィオナは不意にアマリアを振り返った。
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