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絵の中の少女は

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「……なるほど。少女の絵ね」

 客間のひとつでお茶を挟んで、フィオナに話を聞いてもらった。

 アマリアは一通り、すべて話をした。

 身内であるフィオナならかまわないだろうし、現状、一番適切な相談相手ともいえるだろう。

 アマリアの話を聞いたフィオナは数秒黙り、そしてぽつんと言った。

「はい。実物はわからないのですが……」

 話は一段落したので、アマリアはそう述べる。

 フィオナはやはり、すぐにはなにも言わなかった。

 用意されたお茶の支度に手を伸ばし、ティーカップを持ち上げてひとくち飲む。

 アマリアもつられるようにカップを取り、こくこくとお茶を飲んだ。

 話はそれなりの長さだったので、お茶はすっかりぬるくなってしまっていて、あまり美味しくはなかった。

「フレイディがどう思ったかはわからないけれど、その少女には思い当たるところがあるわね」

 カチリと音がして、フィオナがカップをソーサーに戻し、言った。

 アマリアは視線を上げてそのフィオナを見る。

 固い目をしていた。

 やはり軽率に話題にできることではないようだ。
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