おれがアレを授かりまして

石月煤子

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平凡男子のおれがアレを授かりまして

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「違うっ、ニキビじゃないっ、●●●っ、●●●できちゃったんだよっ、いきなりおれの体に●●●できちゃったの!!」


比良は……どストレートに言い切った柚木から顔を背けた。


あ。
この反応は。


こいつ何言ってんだ、頭ポンコツか、ヤバい奴に関わっちゃった、どうしよ~、のリアクション……?


「そんなに旅行つまらなかったか」


思わず柚木はきょとんした。


「そんなしょうもない嘘つきたくなるくらい、旅行に誘った俺のこと、面倒くさいって思ってるんだな」


えぇぇぇえ?


誘われて、ちょっと迷ったし、ぶっちゃけめんどいって思ったのは確かですけど。


比良くんのこと面倒くさがるわけないよ?
ちょっと迷ったけど、嬉しかったから、来たんだよ?


おれ、かっこいい比良くんのこと、男としてずっと憧れてるのにーー


「あ」


凛とした目の端っこにキラリと滲んだ涙。
柚木は呆気にとられた。


すっくと立ち上がった比良は硬直した柚木の隣から離れると大股で階段へ向かった。

みるみる開いていく距離。

誤解されたままの柚木は慌てて後を追う。


「違うよ、比良くん、待って……!」
「柚木にむりさせてごめん」
「あああっ、だから違うって、旅行自体はちょっとめんどいかもって思ったけど!」
「やっぱりな」
「ひぃぃっ、違う違うっ、比良くんのこと面倒くさがるわけないじゃん!」
「ごめん」
「あああああっ、もおおおおおっ、そんな言うなら……っちくしょーっ、自分の目で見ろぉ……!!」


歩道に降りる階段までもう少しのところで比良は足を止めた。

肩越しに振り返り、両目を涙ぐませた柚木に初めて睨まれて、その下半身を目の当たりにして、そっと息を呑んだ。


ぬくぬくイージーパンツが下着もろともずり下ろされて露になった股間。


平静モードのペニスをかじかむ片手で持ち上げ、ちゃんと比良に見えるよう、自暴自棄気味な柚木は腰を突き出してみせた。


「ほら!! ●●●あんでしょ!? ●●●ついてんでしょ!!」
「……柚木、声が大きい」
「は!? そんなこと気にする余裕ないし!! だって●●●できちゃってんだよ!? ●●●!!」
「柚木」
「おれどーすりゃいーの!? この先どうやっ、っ、ぶぇっくしゅん!! さぶ!! 股間出したらめっちゃさむ!! 変態の人ってこんな寒いのになんで外でチンコ出せんの!?」


かんっぜん取り乱している柚木の元へ大股で戻った比良。


またグスグスし始めた同級生を抱きしめた。


「ごめん、柚木」
「ううっ、それもういいって……比良くんが謝る必要なんか……」
「嘘だって決めつけてごめん」
「っ……うっ……うん……っ」
「早とちりしてごめん」
「うんっ……うんっ……」


打ち明けて、理解してもらえて、ハグされて。

自分の体に女の子のアレができたという事実は変わりなく、原因もまるでわからないままだが。


「自分の体がいきなり変わって不安だったろ。一人でよく頑張ったな」


その通り、ずっと不安だった柚木はやっと安心することができた。


うん、不安だった、怖かった。

誤解されたまま卒業旅行が終わるのも怖かったよ。

比良くんに嫌われないでよかった。


「……あ」


股間丸出しの状態で比良くんにハグされて、チンコが……服についちゃって……。


「あ、ありがと、比良くん」


羞恥心ぶわり、露出狂さながらに股間を曝している柚木は優しいハグからエヘエヘと逃れた。


「ていうかおれこそごめん、取り乱しちゃって、こんなのお巡りさんに見つかったら捕まっちゃうね」


しかも●●●連呼して、ガチの変態か、おれ。


「ま、そーいうことなんで、ほんとどーしたらいーんでしょーかね、っ……比良くん?」


ズボンをあせあせ履こうとしたら、手首を握り締められ、柚木は首を傾げた。

まだ股間が外気にコンバンワしている同級生に比良は真顔で問いかける。


「それって本当に●●●なのか」
「ぶはあッッ」


ひ、比良くんが……●●●って……いつも背筋ピーンな硬派な比良くんが●●●って言った……!!


「そもそも見たことあるのか?」
「え……モザイク越しなら……」


ただでさえいっぱいいっぱいなのに。
なんでこんな空しい報告しなきゃならないんだ。


童貞男子である柚木の言葉に比良は吹き出すでもなく真顔のまま発言を続ける。


「ちゃんと見せて」
「え?」
「俺にちゃんと見せて」
「……えーと……」
「見せて」


会話しながらも乱れた服を正そうとしていた柚木を逐一食い止めていた比良。


「心配なんだ、柚木のこと」


真剣な表情で畳みかけられて柚木は「うっ」となる。


先程は勢いで見せたが、落ち着きを取り戻した今、改めて見せるのは恥ずかしい。


しかし実物をまともに目にしたことがない自分の判断が急に心許なくなって。

位置的にそうだと思い込んでいるだけで実は別物なのかもしれないと。

ありえない展開を受け入れて心配してくれる比良になら判断を任せてもいいかと思って。


「……うん、わかった……」


こっくり頷いた。




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