4 / 58
平凡男子のおれがアレを授かりまして
1-4
しおりを挟む
「違うっ、ニキビじゃないっ、●●●っ、●●●できちゃったんだよっ、いきなりおれの体に●●●できちゃったの!!」
比良は……どストレートに言い切った柚木から顔を背けた。
あ。
この反応は。
こいつ何言ってんだ、頭ポンコツか、ヤバい奴に関わっちゃった、どうしよ~、のリアクション……?
「そんなに旅行つまらなかったか」
思わず柚木はきょとんした。
「そんなしょうもない嘘つきたくなるくらい、旅行に誘った俺のこと、面倒くさいって思ってるんだな」
えぇぇぇえ?
誘われて、ちょっと迷ったし、ぶっちゃけめんどいって思ったのは確かですけど。
比良くんのこと面倒くさがるわけないよ?
ちょっと迷ったけど、嬉しかったから、来たんだよ?
おれ、かっこいい比良くんのこと、男としてずっと憧れてるのにーー
「あ」
凛とした目の端っこにキラリと滲んだ涙。
柚木は呆気にとられた。
すっくと立ち上がった比良は硬直した柚木の隣から離れると大股で階段へ向かった。
みるみる開いていく距離。
誤解されたままの柚木は慌てて後を追う。
「違うよ、比良くん、待って……!」
「柚木にむりさせてごめん」
「あああっ、だから違うって、旅行自体はちょっとめんどいかもって思ったけど!」
「やっぱりな」
「ひぃぃっ、違う違うっ、比良くんのこと面倒くさがるわけないじゃん!」
「ごめん」
「あああああっ、もおおおおおっ、そんな言うなら……っちくしょーっ、自分の目で見ろぉ……!!」
歩道に降りる階段までもう少しのところで比良は足を止めた。
肩越しに振り返り、両目を涙ぐませた柚木に初めて睨まれて、その下半身を目の当たりにして、そっと息を呑んだ。
ぬくぬくイージーパンツが下着もろともずり下ろされて露になった股間。
平静モードのペニスをかじかむ片手で持ち上げ、ちゃんと比良に見えるよう、自暴自棄気味な柚木は腰を突き出してみせた。
「ほら!! ●●●あんでしょ!? ●●●ついてんでしょ!!」
「……柚木、声が大きい」
「は!? そんなこと気にする余裕ないし!! だって●●●できちゃってんだよ!? ●●●!!」
「柚木」
「おれどーすりゃいーの!? この先どうやっ、っ、ぶぇっくしゅん!! さぶ!! 股間出したらめっちゃさむ!! 変態の人ってこんな寒いのになんで外でチンコ出せんの!?」
かんっぜん取り乱している柚木の元へ大股で戻った比良。
またグスグスし始めた同級生を抱きしめた。
「ごめん、柚木」
「ううっ、それもういいって……比良くんが謝る必要なんか……」
「嘘だって決めつけてごめん」
「っ……うっ……うん……っ」
「早とちりしてごめん」
「うんっ……うんっ……」
打ち明けて、理解してもらえて、ハグされて。
自分の体に女の子のアレができたという事実は変わりなく、原因もまるでわからないままだが。
「自分の体がいきなり変わって不安だったろ。一人でよく頑張ったな」
その通り、ずっと不安だった柚木はやっと安心することができた。
うん、不安だった、怖かった。
誤解されたまま卒業旅行が終わるのも怖かったよ。
比良くんに嫌われないでよかった。
「……あ」
股間丸出しの状態で比良くんにハグされて、チンコが……服についちゃって……。
「あ、ありがと、比良くん」
羞恥心ぶわり、露出狂さながらに股間を曝している柚木は優しいハグからエヘエヘと逃れた。
「ていうかおれこそごめん、取り乱しちゃって、こんなのお巡りさんに見つかったら捕まっちゃうね」
しかも●●●連呼して、ガチの変態か、おれ。
「ま、そーいうことなんで、ほんとどーしたらいーんでしょーかね、っ……比良くん?」
ズボンをあせあせ履こうとしたら、手首を握り締められ、柚木は首を傾げた。
まだ股間が外気にコンバンワしている同級生に比良は真顔で問いかける。
「それって本当に●●●なのか」
「ぶはあッッ」
ひ、比良くんが……●●●って……いつも背筋ピーンな硬派な比良くんが●●●って言った……!!
「そもそも見たことあるのか?」
「え……モザイク越しなら……」
ただでさえいっぱいいっぱいなのに。
なんでこんな空しい報告しなきゃならないんだ。
童貞男子である柚木の言葉に比良は吹き出すでもなく真顔のまま発言を続ける。
「ちゃんと見せて」
「え?」
「俺にちゃんと見せて」
「……えーと……」
「見せて」
会話しながらも乱れた服を正そうとしていた柚木を逐一食い止めていた比良。
「心配なんだ、柚木のこと」
真剣な表情で畳みかけられて柚木は「うっ」となる。
先程は勢いで見せたが、落ち着きを取り戻した今、改めて見せるのは恥ずかしい。
しかし実物をまともに目にしたことがない自分の判断が急に心許なくなって。
位置的にそうだと思い込んでいるだけで実は別物なのかもしれないと。
ありえない展開を受け入れて心配してくれる比良になら判断を任せてもいいかと思って。
「……うん、わかった……」
こっくり頷いた。
比良は……どストレートに言い切った柚木から顔を背けた。
あ。
この反応は。
こいつ何言ってんだ、頭ポンコツか、ヤバい奴に関わっちゃった、どうしよ~、のリアクション……?
「そんなに旅行つまらなかったか」
思わず柚木はきょとんした。
「そんなしょうもない嘘つきたくなるくらい、旅行に誘った俺のこと、面倒くさいって思ってるんだな」
えぇぇぇえ?
誘われて、ちょっと迷ったし、ぶっちゃけめんどいって思ったのは確かですけど。
比良くんのこと面倒くさがるわけないよ?
ちょっと迷ったけど、嬉しかったから、来たんだよ?
おれ、かっこいい比良くんのこと、男としてずっと憧れてるのにーー
「あ」
凛とした目の端っこにキラリと滲んだ涙。
柚木は呆気にとられた。
すっくと立ち上がった比良は硬直した柚木の隣から離れると大股で階段へ向かった。
みるみる開いていく距離。
誤解されたままの柚木は慌てて後を追う。
「違うよ、比良くん、待って……!」
「柚木にむりさせてごめん」
「あああっ、だから違うって、旅行自体はちょっとめんどいかもって思ったけど!」
「やっぱりな」
「ひぃぃっ、違う違うっ、比良くんのこと面倒くさがるわけないじゃん!」
「ごめん」
「あああああっ、もおおおおおっ、そんな言うなら……っちくしょーっ、自分の目で見ろぉ……!!」
歩道に降りる階段までもう少しのところで比良は足を止めた。
肩越しに振り返り、両目を涙ぐませた柚木に初めて睨まれて、その下半身を目の当たりにして、そっと息を呑んだ。
ぬくぬくイージーパンツが下着もろともずり下ろされて露になった股間。
平静モードのペニスをかじかむ片手で持ち上げ、ちゃんと比良に見えるよう、自暴自棄気味な柚木は腰を突き出してみせた。
「ほら!! ●●●あんでしょ!? ●●●ついてんでしょ!!」
「……柚木、声が大きい」
「は!? そんなこと気にする余裕ないし!! だって●●●できちゃってんだよ!? ●●●!!」
「柚木」
「おれどーすりゃいーの!? この先どうやっ、っ、ぶぇっくしゅん!! さぶ!! 股間出したらめっちゃさむ!! 変態の人ってこんな寒いのになんで外でチンコ出せんの!?」
かんっぜん取り乱している柚木の元へ大股で戻った比良。
またグスグスし始めた同級生を抱きしめた。
「ごめん、柚木」
「ううっ、それもういいって……比良くんが謝る必要なんか……」
「嘘だって決めつけてごめん」
「っ……うっ……うん……っ」
「早とちりしてごめん」
「うんっ……うんっ……」
打ち明けて、理解してもらえて、ハグされて。
自分の体に女の子のアレができたという事実は変わりなく、原因もまるでわからないままだが。
「自分の体がいきなり変わって不安だったろ。一人でよく頑張ったな」
その通り、ずっと不安だった柚木はやっと安心することができた。
うん、不安だった、怖かった。
誤解されたまま卒業旅行が終わるのも怖かったよ。
比良くんに嫌われないでよかった。
「……あ」
股間丸出しの状態で比良くんにハグされて、チンコが……服についちゃって……。
「あ、ありがと、比良くん」
羞恥心ぶわり、露出狂さながらに股間を曝している柚木は優しいハグからエヘエヘと逃れた。
「ていうかおれこそごめん、取り乱しちゃって、こんなのお巡りさんに見つかったら捕まっちゃうね」
しかも●●●連呼して、ガチの変態か、おれ。
「ま、そーいうことなんで、ほんとどーしたらいーんでしょーかね、っ……比良くん?」
ズボンをあせあせ履こうとしたら、手首を握り締められ、柚木は首を傾げた。
まだ股間が外気にコンバンワしている同級生に比良は真顔で問いかける。
「それって本当に●●●なのか」
「ぶはあッッ」
ひ、比良くんが……●●●って……いつも背筋ピーンな硬派な比良くんが●●●って言った……!!
「そもそも見たことあるのか?」
「え……モザイク越しなら……」
ただでさえいっぱいいっぱいなのに。
なんでこんな空しい報告しなきゃならないんだ。
童貞男子である柚木の言葉に比良は吹き出すでもなく真顔のまま発言を続ける。
「ちゃんと見せて」
「え?」
「俺にちゃんと見せて」
「……えーと……」
「見せて」
会話しながらも乱れた服を正そうとしていた柚木を逐一食い止めていた比良。
「心配なんだ、柚木のこと」
真剣な表情で畳みかけられて柚木は「うっ」となる。
先程は勢いで見せたが、落ち着きを取り戻した今、改めて見せるのは恥ずかしい。
しかし実物をまともに目にしたことがない自分の判断が急に心許なくなって。
位置的にそうだと思い込んでいるだけで実は別物なのかもしれないと。
ありえない展開を受け入れて心配してくれる比良になら判断を任せてもいいかと思って。
「……うん、わかった……」
こっくり頷いた。
77
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】後悔は再会の果てへ
関鷹親
BL
日々仕事で疲労困憊の松沢月人は、通勤中に倒れてしまう。
その時に助けてくれたのは、自らが縁を切ったはずの青柳晃成だった。
数年ぶりの再会に戸惑いながらも、変わらず接してくれる晃成に強く惹かれてしまう。
小さい頃から育ててきた独占欲は、縁を切ったくらいではなくなりはしない。
そうして再び始まった交流の中で、二人は一つの答えに辿り着く。
末っ子気質の甘ん坊大型犬×しっかり者の男前
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
イケメンな先輩に猫のようだと可愛がられています。
ゆう
BL
八代秋(10月12日)
高校一年生 15歳
美術部
真面目な方
感情が乏しい
普通
独特な絵
短い癖っ毛の黒髪に黒目
七星礼矢(1月1日)
高校三年生 17歳
帰宅部
チャラい
イケメン
広く浅く
主人公に対してストーカー気質
サラサラの黒髪に黒目
ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!
ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!?
「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
陽キャと陰キャの恋の始め方
金色葵
BL
「俺と付き合って欲しい」
クラスの人気者からの告白――――だけどそれは陽キャグループの罰ゲームだった!?
地味で目立たない白石結月は、自分とは正反対の派手でイケメンの朝日陽太から告白される。
からかわれてるって分かっていても、ときめく胸を押さえられない。
この恋の行方どうなる!?
短編になります。
貴方に復讐しようと、思っていたのに。
黒狐
BL
前世、馬車の事故で亡くなった令嬢(今世は男)の『私』は、幽霊のような存在になってこの世に残っていた。
婚約者である『彼』が私と婚約破棄をする為に細工をしたのだと考え、彼が無惨な末路を迎える様を見てやろうと考えていた。
しかし、真実はほんの少し違っていて…?
前世の罪や罰に翻弄される、私と彼のやり直しの物語。
⭐︎一部残酷な描写があります、ご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる