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平凡DKのおれがアレを授かりまして
3-1-終業式
しおりを挟む二学期最後の大掃除。
講堂での終業式も済み、大半の生徒らは適当に机を乾拭きしたり同じ場所をモップ掛けしたり、意識は完全に冬休みの方に向いていた。
「比良くん、これあげる」
教卓を磨いていた比良の元へ違うクラスの女子が駆け寄ってきた。
ピンクベージュのマニキュアに彩られた指先で比良のセーターをちょこっと引っ張り、リボンのついた小さな紙袋を差し出す。
「これね、クリスマスプレゼント」
そばにいた意識高い系運動部員の皆様がさり気なく二人から離れていく。
各女子グループは「うわー」「みんなの前でふつー渡す?」「漲る自信」とモップ片手にひそひそ言い合っている。
比良はみんなの前でプレゼントを受け取った。
寒いのでマフラーをぐるぐる巻きした柚木は、濡れ雑巾で拭いていた窓越しに、恋愛マンガのワンシーンじみた場面を傍観していた。
そう。
男連中に一番人気のある可愛い女子こそ比良くんの隣にピッタシだ。
絵になるお似合いの二人……。
「みんな、それぞれ自分自身にとって有意義で健康的な冬休みを過ごしてくださいね」
担任の挨拶の後、今年最後の起立・礼をしていよいよ迎えた冬休み。
「どっかでお昼食べよーよ」
「ファミレスでガツガツ食べたい」
「おれ、パスです、帰る」
「ゆーくん付き合いわる~」
「カノジョできた?」
「できるか、うっさい、フンだ」
寄り道するという友達と別れ、コンビニで適当にお昼ごはんを買って、飼い犬だけが待つ我が家へ柚木は帰宅した。
「大豆、ただいまー」
……別にお昼行ってもよかったんだけど。
……イマイチ気分が乗らなかったんだよなぁ。
最近、ずっとそんな調子である柚木は平日お昼のバラエティ番組をぼんやり見ながら味気ないお昼ごはんを済ませると。
「は……ぁ……」
着替えをさぼって制服を着たまま。
「ん……ん……」
寝具が汚れないよう自室のベッドに敷かれたバスタオル。
その上で俯せになった細身の体。
股間へ差し込まれた両手が熱心に意味深に動く。
「ふ……ぅ……ぅ……」
白昼の日差しを遮光カーテンで遮って。
家族のいない家で。
禁断のひとりえっちに没頭する。
「は……ナカ、ぐちゅぐちゅって……今日、すごい……」
同じ二階に部屋のある姉の帰宅がここ最近早めで、控えていた分、いつにもまして感じた。
「っ……っ……比良くん……」
学校生活ではなるべく吸収しないようにしているくせに。
ひとりえっちのときはちゃっかり頼っていた。
もしも自分が女の子で、比良とえっちしたら、そんな妄想をエスカレートさせて積極的に快感を求めて……。
……あれ。
……大豆が鳴いてる。
……もしかして誰か来たのかな。
性能のいい大豆センサーに気をとられて中断していたら、予想通り、チャイムが鳴った。
……お母さんは医療事務の仕事中。
……お父さんだって仕事だ。
……ねーちゃんは彼氏さんとクリスマス旅行中。
チャイムは一回のみ、家族でないことも決定していて居留守を決め込むことにした柚木だが。
大豆センサーがなかなか鳴り止まない。
特に呼びかけもなかったし、回覧板や届け物ではなさそうだ。
それにしては家の敷地内に長居しているようで……。
……不審者だったらどうしよう。
大豆が吠えてるから入ってこないハズ、あー、でもちょっと近所迷惑か、これ、セールスだったらしつこくてやなんだけどなぁ、野良猫なら問題ないんだけど。
「ふーーーー……」
柚木は渋々起き上がった。
部屋に常備してあるウェットティッシュで手をきれいきれいし、面倒くさそうに雑に服装を正すと、遮光カーテンの隙間から恐る恐る外を窺ってみた。
「!?」
通りから自宅を見上げていた人物が視界に飛び込んできて……口から心臓がボロリするかと思った。
「なんで比良くんいるの」
心臓の代わりに独り言がボロリした。
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