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平凡吸血鬼のおれがアレを授かりまして
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「はい」
半分残ったコッペパンを差し出されて柚木はパチパチ瞬きする。
日も暮れてなかなかな寒さ、長袖のアンダーシャツを着ているとはいえ袴に足袋、運動靴を履く比良を遠慮がちに見返した。
「あ……ありがとう、比良くん……」
比良くんからパンを恵んでもらった……。
幸せ……。
……じゃない。
……接触したらだめなんだってば。
比良くん見て無意識においしそうとか言っちゃう吸血鬼もどきは今すぐ比良くんのそばから離れなきゃ――
「可愛いだろ」
「……へ?」
「あのカラス」
「あ……えーと……あのカラス?」
「うん」
……くそでかカラスを可愛いって感じる比良くんの感受性、素晴らしいと思う、慈悲深いって思う、うん……。
「餌付けしてるんだ」
「へ……へぇ……でも怒られない? 学校で、くそで……こんな大きなカラスに餌あげるとか……」
「みんなには内緒にしてる」
「……ないしょ、に」
「先生にも部活のみんなにも」
おれ、比良くんのないしょ、知っちゃったのか。
「柚木、秘密にしてくれるか?」
とりあえず空腹ではあったのでイチゴジャム入りコッペパンをもぐもしていた柚木は。
人差し指を唇の前にすっと立てた比良に笑いかけられて、そのほっぺたまでイチゴ色に染めた。
「う、うん……もちろん」
比良くんかっけぇ~~~です。
至近距離で見ると魅力倍増、しかも弓道着、男前オーラ半端ね~~~です。
「おれ、誰にも言わない」
「そうか。よかった」
頭をよしよし撫でられると、冷たい風にかじかんでいた柚木の耳たぶまでほんのり赤く染まった。
「柚木はこんな時間まで何してたんだ?」
「むぐっ……つ……追試。比良くんは……弓道部の練習?」
「ああ。基礎トレも兼ねて」
「へぇ~……お疲れさま……」
ていうかさ。
比良くん、ずっとおれの頭撫でてくるんですけど。
「……比良くん、おれの頭、なんかついてる? ゴミとろうとしてくれてる……?」
もじもじ柚木が問いかければ比良は笑顔を深め、首を左右に振った。
「柚木とこんな風に話せて、嬉しくて」
「……はい?」
「俺、嫌われてると思ってたんだ。柚木に避けられてるのかなって」
「……」
「席替えのとき、俺の後ろから一番前の席に移動しただろ? もしかしてよっぽど嫌だったのかなって」
「め、目が……視力がね、ちょっとね……」
比良くん、席替えのこと覚えてたのか。
一学期でもう大分前の出来事なのに。
くそでかカラスがコッペパンにがっついている傍らで柚木の胸は否応なしに高鳴った。
くそでかカラスが盛大にげっぷしているのにも気づかず、自分と話ができて嬉しいという比良に心をふわふわさせた。
なんて記憶力がいいんだ、比良くん……。
教室のモブみたいなおれにまで気を配ってくれて、気遣いの達人か……。
「柚木も触ってみるか?」
思ってもみなかった比良の発言に柚木の目は点になる。
「あの子」
……くそでかカラスをあの子呼びって、ピンとこないにも程があるんだけど……。
「……ッ、え、ちょっと、比良くん???」
コッペパンを平らげてじっとしていたカラスを両脇からむんずと掴んだ比良に柚木はぎょっとした。
「ほら」
爽やか笑顔でコワモテくそでかカラス差し出してくる比良くん、サイコパスみがあってちょっとだけ怖い!!
「お、おれはいいかな、遠慮しとく」
「大人しいんだ、この子」
「いやいやいやいや、こっち持ってこなくていいから、ひっ、なんか威嚇してないっ? ぎょろぎょろ鳴いてるよ!? 一先ず下ろそ!?」
「甘えてるんだよ」
くそでかカラスむりすぎるーーーーー!!!!
笑顔の比良に真っ黒い大きなカラスを差し出され、受け取ることもできずに凍りついていた柚木は。
「あっ」
目の前で比良がカラスに引っ掻かれて愕然とした。
半分残ったコッペパンを差し出されて柚木はパチパチ瞬きする。
日も暮れてなかなかな寒さ、長袖のアンダーシャツを着ているとはいえ袴に足袋、運動靴を履く比良を遠慮がちに見返した。
「あ……ありがとう、比良くん……」
比良くんからパンを恵んでもらった……。
幸せ……。
……じゃない。
……接触したらだめなんだってば。
比良くん見て無意識においしそうとか言っちゃう吸血鬼もどきは今すぐ比良くんのそばから離れなきゃ――
「可愛いだろ」
「……へ?」
「あのカラス」
「あ……えーと……あのカラス?」
「うん」
……くそでかカラスを可愛いって感じる比良くんの感受性、素晴らしいと思う、慈悲深いって思う、うん……。
「餌付けしてるんだ」
「へ……へぇ……でも怒られない? 学校で、くそで……こんな大きなカラスに餌あげるとか……」
「みんなには内緒にしてる」
「……ないしょ、に」
「先生にも部活のみんなにも」
おれ、比良くんのないしょ、知っちゃったのか。
「柚木、秘密にしてくれるか?」
とりあえず空腹ではあったのでイチゴジャム入りコッペパンをもぐもしていた柚木は。
人差し指を唇の前にすっと立てた比良に笑いかけられて、そのほっぺたまでイチゴ色に染めた。
「う、うん……もちろん」
比良くんかっけぇ~~~です。
至近距離で見ると魅力倍増、しかも弓道着、男前オーラ半端ね~~~です。
「おれ、誰にも言わない」
「そうか。よかった」
頭をよしよし撫でられると、冷たい風にかじかんでいた柚木の耳たぶまでほんのり赤く染まった。
「柚木はこんな時間まで何してたんだ?」
「むぐっ……つ……追試。比良くんは……弓道部の練習?」
「ああ。基礎トレも兼ねて」
「へぇ~……お疲れさま……」
ていうかさ。
比良くん、ずっとおれの頭撫でてくるんですけど。
「……比良くん、おれの頭、なんかついてる? ゴミとろうとしてくれてる……?」
もじもじ柚木が問いかければ比良は笑顔を深め、首を左右に振った。
「柚木とこんな風に話せて、嬉しくて」
「……はい?」
「俺、嫌われてると思ってたんだ。柚木に避けられてるのかなって」
「……」
「席替えのとき、俺の後ろから一番前の席に移動しただろ? もしかしてよっぽど嫌だったのかなって」
「め、目が……視力がね、ちょっとね……」
比良くん、席替えのこと覚えてたのか。
一学期でもう大分前の出来事なのに。
くそでかカラスがコッペパンにがっついている傍らで柚木の胸は否応なしに高鳴った。
くそでかカラスが盛大にげっぷしているのにも気づかず、自分と話ができて嬉しいという比良に心をふわふわさせた。
なんて記憶力がいいんだ、比良くん……。
教室のモブみたいなおれにまで気を配ってくれて、気遣いの達人か……。
「柚木も触ってみるか?」
思ってもみなかった比良の発言に柚木の目は点になる。
「あの子」
……くそでかカラスをあの子呼びって、ピンとこないにも程があるんだけど……。
「……ッ、え、ちょっと、比良くん???」
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「ほら」
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「いやいやいやいや、こっち持ってこなくていいから、ひっ、なんか威嚇してないっ? ぎょろぎょろ鳴いてるよ!? 一先ず下ろそ!?」
「甘えてるんだよ」
くそでかカラスむりすぎるーーーーー!!!!
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