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彼とねこ。③

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「俺の名前は...」


「?」


「蒼」


「蒼さん、この子の名前はどうしますか?」


「ん~名前は難しいな。結花は?」


「私ですか?」


いきなり呼び捨てされてびっくりしたw
一定の距離感を保つわりには
距離をいきなり縮められたリして
蒼さんの距離感は分からない。


「なかなか難しいですね。ただ、一つだけいいなっていう名前があります」


「待って!俺も今いいなって名前があるんだけど…同時に言わない?」


「同時にですか?」


「きっと…同じ名前を言ってくれるって自信があるから」


「分かりました」


「じゃあ、せーの」


「「さくら」」


「どうして分かったんですか?」


「何となくw」


「蒼さんは、どうして、さくらがいいんですか?」


「桜の花びらに、思い出があるから」


「そうなんですね。その思い出って――」


話を続けようとした瞬間、私の携帯が鳴り響いた。
着信相手は、母だった。
蒼さんもジャスチャーで電話に出てと合図してくれた。


「もしもし、ごめんなさい。まだ今外で。え?そうなの?お父さんは?そうなんだ、うん、分かった、じゃあ」


「大丈夫?家まで送るよ」


「違うんです、今日晩御飯を作ろうと思って買い物もしてたんですけど、父は遅くなるみたいで、母は習い事仲間とご飯を食べて帰るって」


「材料?」


「あ!ずっと出しっぱなしにしてた!私、帰ります、あ……」







おなかの音が鳴り響いたと思った瞬間
蒼さんのお腹の音も重なってなった。
時刻は8時、お腹も減る時間だ。


「ごめん、僕の家お菓子とか何もなくて」


「それは全然いいんです!あの、よかったらオムライス食べませんか?材料もあるので。お米ってありますか?」


「電子レンジのタイプのが」


「じゃあ、台所借りてもいいですか?」


「じゃあ、僕、ご飯を温めるよ」


調理器具もやかんとまな板、包丁、フライパンと最低限だけがあり
あまり生活感がある感じではなかった。
だけど、蒼さんは料理の手際はよくて
次々と料理の手伝いというより
一緒に作ってくれて、1人で作るより楽しくて
あっという間にオムライスができあがった。


「ごめんね、お皿とかスプーン1つしかなくて」


「大丈夫です!私、蒼さんが食べた後にいただきますから」


先に食べてのやりとりを何度かしたあと
慎さんから先に食べてもらうことになった。


「ん!おいしい!卵がふわふわしてる!」


「お口にあって安心しました」


「ん?これウィンナー?」


「うち、鶏肉じゃなくてウィンナーなんです。子供の時からウィンナーで。変わってますよね」


「おいしい!ウィンナーもいいね」

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