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命
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“カシャッ…カシャッ…”
会見場には多くのマスコミが押し寄せていた。
「きたぞ!!」
会場には真田楓がマネージャーに支えられ、巧の所属社長が橘に支えられてひな壇にあがった。
「社長!」
社長はフラフラとした足元でしっかりと歩けなかった。
“カシャッ…カシャッ…”
カメラのシャッター音が耳が痛くなるぐらいに鳴り響いた。
「まずは日向巧の所属事務所の社長からお話がありますので、そのあとにマスコミの方は質問をお願いします。」
社長がハンカチで涙を拭いながらマイクを握る。
「このたびは日向巧のファンの皆様、関係者の皆様、ご心配、ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。」
社長が立って頭を下げると、ひな壇に立っていたみんなも席を立ち頭を下げた。
“カシャカシャカシャッ…”
カメラのフラッシュ音が途切れないほどなった。
「まず、今の容態についてお話したいと思いまッ…」
「社長…」
目頭を押さえている社長の体を橘は支えた。
「残念ながら…1つの命が…」
「ん…」
「美優!美優!気づいた?」
「………ヒロ?」
「よかった…よかったッ…」
「……巧は!?イタッ…」
美優は勢いよく体を起こすが体中に痛みが走る。
“ズキン…”
「え…?」
「美優…本当にごめんッ…ごめんッ…」
ヒロが美優の手を握り下をうつむいて泣き出した。
「…どうしてヒロが泣くの?どうして…」
「俺があの時気づいてあげていれば…病院に連れていってあげてれば…」
“ズキン…ズキンッ…”
美優は下腹部が痛むのに違和感を感じる。
「…もしかして私…」
握られてたヒロの手から離れ、自分のお腹に手を当てた。
ヒロは無言で首を縦に振った。
「女子大生は妊娠していました。お腹の子は残念ながら…」
社長が涙ぐみながら気丈に話した。
「その女子大生は今どういう様態ですか?」
「女子大生は全身打撲だったため比較的早く意識が戻りましたが、流産を知ってからはショックのあまりごはんも喉を通ってない状態です。誰にも会いたくないようでふさぎこんでしまっています…」
「日向巧はどうなんですか?」
「日向は…屋上といっても三階から落ちたのですが、それでも前日の脳震盪と花壇のレンガの上に落ちたというのもあり、まだ意識不明の重体です。出血が酷かったとも伺っています。」
「あのーすいません、なぜ真田楓さんも今回出席されているのでしょうか?ご子息と日向さんがその女子大生を取り合ったからでしょうか?」
社長がマイクを置いたと同時に楓がマイクを握った。
「…その件についてですが…お話したいことがあります。」
マスコミ達が楓が何を話すのか生唾をのみながら見守る。
「私は息子が一人と発表していましたが、本当は息子は二人います。日向巧さんは私の息子長男ルイです。」
“ザワッ…”
会場が一気にざわついた。
「それはどういうことですか?どうして今になって発表を?」
「15年前…女子大生と息子達三人は幼馴染で、クリスマスパーティーをやることになっていました。その日不運な事故で…ルイは川に流され頭を打って記憶をなくしていたそうです。」
「今まで彼を探さなかったのですか?警察は?」
「ずっと探していました…クリスマスがくるたび彼が現れてくれないかと心から願っていました…でも警察へは届けていませんでした。当時事務所の意向で結婚も子供のことも隠していましたので…」
楓は涙ぐみハンカチで涙を拭った。
「私は本日をもってこの芸能界から身を引こうと思います。」
“カシャカシャカシャッ…”
「どうしてですか?息子さんの件でってことですか?」
「息子達に…今までしてやれなかった母親業を…遅いかもしれませんがしてあげたいのです。ですからお願いします。母親として言わせてください。あの子達をどうか見守ってくださいませんか?お願いします。お願いします…」
楓は泣きながら何度もマスコミに頭を下げた。
会見場には多くのマスコミが押し寄せていた。
「きたぞ!!」
会場には真田楓がマネージャーに支えられ、巧の所属社長が橘に支えられてひな壇にあがった。
「社長!」
社長はフラフラとした足元でしっかりと歩けなかった。
“カシャッ…カシャッ…”
カメラのシャッター音が耳が痛くなるぐらいに鳴り響いた。
「まずは日向巧の所属事務所の社長からお話がありますので、そのあとにマスコミの方は質問をお願いします。」
社長がハンカチで涙を拭いながらマイクを握る。
「このたびは日向巧のファンの皆様、関係者の皆様、ご心配、ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。」
社長が立って頭を下げると、ひな壇に立っていたみんなも席を立ち頭を下げた。
“カシャカシャカシャッ…”
カメラのフラッシュ音が途切れないほどなった。
「まず、今の容態についてお話したいと思いまッ…」
「社長…」
目頭を押さえている社長の体を橘は支えた。
「残念ながら…1つの命が…」
「ん…」
「美優!美優!気づいた?」
「………ヒロ?」
「よかった…よかったッ…」
「……巧は!?イタッ…」
美優は勢いよく体を起こすが体中に痛みが走る。
“ズキン…”
「え…?」
「美優…本当にごめんッ…ごめんッ…」
ヒロが美優の手を握り下をうつむいて泣き出した。
「…どうしてヒロが泣くの?どうして…」
「俺があの時気づいてあげていれば…病院に連れていってあげてれば…」
“ズキン…ズキンッ…”
美優は下腹部が痛むのに違和感を感じる。
「…もしかして私…」
握られてたヒロの手から離れ、自分のお腹に手を当てた。
ヒロは無言で首を縦に振った。
「女子大生は妊娠していました。お腹の子は残念ながら…」
社長が涙ぐみながら気丈に話した。
「その女子大生は今どういう様態ですか?」
「女子大生は全身打撲だったため比較的早く意識が戻りましたが、流産を知ってからはショックのあまりごはんも喉を通ってない状態です。誰にも会いたくないようでふさぎこんでしまっています…」
「日向巧はどうなんですか?」
「日向は…屋上といっても三階から落ちたのですが、それでも前日の脳震盪と花壇のレンガの上に落ちたというのもあり、まだ意識不明の重体です。出血が酷かったとも伺っています。」
「あのーすいません、なぜ真田楓さんも今回出席されているのでしょうか?ご子息と日向さんがその女子大生を取り合ったからでしょうか?」
社長がマイクを置いたと同時に楓がマイクを握った。
「…その件についてですが…お話したいことがあります。」
マスコミ達が楓が何を話すのか生唾をのみながら見守る。
「私は息子が一人と発表していましたが、本当は息子は二人います。日向巧さんは私の息子長男ルイです。」
“ザワッ…”
会場が一気にざわついた。
「それはどういうことですか?どうして今になって発表を?」
「15年前…女子大生と息子達三人は幼馴染で、クリスマスパーティーをやることになっていました。その日不運な事故で…ルイは川に流され頭を打って記憶をなくしていたそうです。」
「今まで彼を探さなかったのですか?警察は?」
「ずっと探していました…クリスマスがくるたび彼が現れてくれないかと心から願っていました…でも警察へは届けていませんでした。当時事務所の意向で結婚も子供のことも隠していましたので…」
楓は涙ぐみハンカチで涙を拭った。
「私は本日をもってこの芸能界から身を引こうと思います。」
“カシャカシャカシャッ…”
「どうしてですか?息子さんの件でってことですか?」
「息子達に…今までしてやれなかった母親業を…遅いかもしれませんがしてあげたいのです。ですからお願いします。母親として言わせてください。あの子達をどうか見守ってくださいませんか?お願いします。お願いします…」
楓は泣きながら何度もマスコミに頭を下げた。
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