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新事実

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「永一、大丈夫?」



「大丈夫です、お母様。」



「気分悪くなったりしたらすぐ言ってね。」




「今日は頑張るって決めたんです。大事な日だから……」



「大事な日だけど、内輪の人間ばかりなんだから無理しないで。」



「はい、お母様。」



今日は弘樹さんにも会う。
あんなことがあってどんな顔をしてやってくるのだろうと思っていたけど
意外にも弘樹さんは来ていなかった。



「今日はみなさん、永一のためにお集まりいただきましてありがとうございます。」



誠一さんの横に勇気を振り絞って頑張って緊張している永一の姿を
誠二さんにも見せてあげたかった。



誠二さんたちは私と入れ違いにチェックアウトをしてしまったみたいで
あれから会えることができず、この日を迎えてしまった。



これが終わったら誠一さんと離婚届を出しに行く。



誠二さんと出会ってからはこの日を夢見てた。
なのに…あなたがいない。
でも10年前と違うのは私はあなたを自由に探しに行ける。
あの家を出て誠二さん、あなたを必ず探しに行きます。



「永一からも挨拶をさせてください。さ、永一。」



「あの……お父様のようにいかないと思いますが、お父様みたいにっ――」



「お父様じゃねぇーし!!アハハハハハ!!!」



「え…?」



「弘樹さん……」



来ないと思っていたが片手にシャンパンボトルを持ちながらかなり酔っぱらっているのか顔が真っ赤になっている。



「何を言っているんだ弘樹!お前酔っぱらっているんだろう。」



永一が誠二さんの子供だと知っているお義父様は弘樹さんの肩を抱いて壇上から降ろそうとするが、弘樹さんはその手を振り払って永一に近づいた。



「お前の父親は誠一じゃなくて誠二。お前の父親はただの絵描きだよ、経営者じゃないの。」



「誠二おじさんが…?」



「だから~誠一のあとをお前が継ぐのは間違っているの。」



「……それが事実だとしても永一は俺たち双子の子供だから継ぐ権利があるはずだ。」



永一と弘樹の間に誠一が胸を張って入った。
周りの大人たちも最初は何が起こったかわからなかったが、段々とヤジが飛んでくる。



「そうだそうだ!そうだとしても血は繋がっているのだから!!」



「血…?あはははは!本当のこの親族は血が好きだな。」



「何が可笑しい…?」



「誠一、お前はさ本当に優秀だよ。俺と違うやり方だけど俺と同じぐらい仕事ができるって思っているよ。だけど誠二は違う。」



「何…?」



「誠二は自由で誰にも捕らわれない。そしてアイツは一人だけAB型なんだよ。」



「AB型…?それは違う。うちは……」



「そう、お前はO型で父親はA型、母親はO型だよな?」



ヤジを飛ばしていた人達が一気に誠一さんのお母さんに視線がいく。
彼女は今にも泣きだしそうで肩を震わせている。








「誠二の父親はこの家のものではない。だから永一はこの会社を継げない。」







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