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55. 説明なんです
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その日の午後は、近々行われる大規模演習についての心構えや、最上級生が今回出される課題と役割についての説明が授業でありました。
「それでは今度行われる今年の大規模演習について、説明します。今年の皆さんは最上級生です。卒業年ということで今までとは違い、リーダーとして、またサブでもフォローとしてひとグループの中での役割をしっかりと担ってもらいますので、そのつもりで普段の授業から意識して取り組んでみてください」
さて具体的には、と先生の説明は続いていますが、さわりはこれまでの五年間と同じく五人一組であること、裏の演習場での開催であること、武器の使用は一つまで、魔法は魔獣にのみ許可し魔獣退治数や連携貢献度等での評定になること、等々なので教室のそこかしこで午後の暖かな日差しを受け前後左右に揺れる頭が出だしています。
私も昨日少し夜更かししてしまったので、その頭数に入りそうになり、慌ててこっそり欠伸をして一員になるのを免れました。
その昨日見つけた書物――いつの時代かのご先祖様の日記でした――は、日記ながらに読み物としてもなかなかに面白く、くすりと笑ってしまうような記述もあって、ついつい調べるというより読む、になって読み進めるのは少し時間がかかりそうです。
一晩かけてやっと紐解けたのは、だいぶ古い時代の日記を記した人のお婆様のお話であるらしい、というところまでなので。
とはいえ、あまり長く時間をかけるのもいけませんね、と思っていると先生が新たな話をし始めたので、そちらに集中することにしたのでした。
ガタゴトガタタッゴトゴトガタゴトガタッ
今は家へ帰る馬車の中。
何気ない雑談をしている最中に、ふと、弟が話題を切り替えました。
「そういえば、影経由で姉上に伝言があるんだった」
「え? 何か緊急のことでも」
「あ、そういうんじゃなくて。父上からだったんだけど『クソッテス関連はシェリーナの関わる一件のうちのようだから、お前達に仔細伝えるわけにはいかなくなった。計画に変更はなく婚約打診は白紙にしてある。ただ今は積極的に潰せなくて、すまない』だってさ」
「なんだか、大きい案件のようですね。ディズ・ヌフ、お父様に私は了承した、と至急お願い」
私の言葉を受け、御者台の一人が王宮のお父様のもとへと向かう気配がします。
「……ここんとこ平和だったのに、何が起きてんだろ」
「お母様が動いている件、ということは多分国の中枢に関わることでしょう。なんにせよ、私達は私達のできることをしましょうガリューシュ」
「なんだかすっきりしないけど、仕方ないか」
「そういうこともありますよ。帰ったら料理長に頼んで美味しい夕食作ってもらいましょう」
「だな」
そうして伝達事項を話し終わると、私達はまた、夕食はあれがいいこれがいいとメニューについて話したりの雑談をしながら、家路をゆったりと過ごしたのでした。
その夜も私は古い日記を読み進めて寝床に入りました。
「それでは今度行われる今年の大規模演習について、説明します。今年の皆さんは最上級生です。卒業年ということで今までとは違い、リーダーとして、またサブでもフォローとしてひとグループの中での役割をしっかりと担ってもらいますので、そのつもりで普段の授業から意識して取り組んでみてください」
さて具体的には、と先生の説明は続いていますが、さわりはこれまでの五年間と同じく五人一組であること、裏の演習場での開催であること、武器の使用は一つまで、魔法は魔獣にのみ許可し魔獣退治数や連携貢献度等での評定になること、等々なので教室のそこかしこで午後の暖かな日差しを受け前後左右に揺れる頭が出だしています。
私も昨日少し夜更かししてしまったので、その頭数に入りそうになり、慌ててこっそり欠伸をして一員になるのを免れました。
その昨日見つけた書物――いつの時代かのご先祖様の日記でした――は、日記ながらに読み物としてもなかなかに面白く、くすりと笑ってしまうような記述もあって、ついつい調べるというより読む、になって読み進めるのは少し時間がかかりそうです。
一晩かけてやっと紐解けたのは、だいぶ古い時代の日記を記した人のお婆様のお話であるらしい、というところまでなので。
とはいえ、あまり長く時間をかけるのもいけませんね、と思っていると先生が新たな話をし始めたので、そちらに集中することにしたのでした。
ガタゴトガタタッゴトゴトガタゴトガタッ
今は家へ帰る馬車の中。
何気ない雑談をしている最中に、ふと、弟が話題を切り替えました。
「そういえば、影経由で姉上に伝言があるんだった」
「え? 何か緊急のことでも」
「あ、そういうんじゃなくて。父上からだったんだけど『クソッテス関連はシェリーナの関わる一件のうちのようだから、お前達に仔細伝えるわけにはいかなくなった。計画に変更はなく婚約打診は白紙にしてある。ただ今は積極的に潰せなくて、すまない』だってさ」
「なんだか、大きい案件のようですね。ディズ・ヌフ、お父様に私は了承した、と至急お願い」
私の言葉を受け、御者台の一人が王宮のお父様のもとへと向かう気配がします。
「……ここんとこ平和だったのに、何が起きてんだろ」
「お母様が動いている件、ということは多分国の中枢に関わることでしょう。なんにせよ、私達は私達のできることをしましょうガリューシュ」
「なんだかすっきりしないけど、仕方ないか」
「そういうこともありますよ。帰ったら料理長に頼んで美味しい夕食作ってもらいましょう」
「だな」
そうして伝達事項を話し終わると、私達はまた、夕食はあれがいいこれがいいとメニューについて話したりの雑談をしながら、家路をゆったりと過ごしたのでした。
その夜も私は古い日記を読み進めて寝床に入りました。
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