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第三話 初夜
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目を見張るような豪華な結婚式・披露宴も無事に終わり、レティシアは自室で入浴を済ませた。
これからレティシアは、経験したことのないことを経験する。
そもそも神殿に奉職するつもりだったので、これまでに王女として性教育を受けてきたことはない。
だから本格的な性教育を受けたのは、ヴァリス帝国に入ってからだった。
レティシアが性教育を受けていないことを知ると、帝国側の教師がやって来て、一通りの流れを説明してくれた。
ただ、結婚式の準備も慌ただしかったため、全ての疑問を解決できたわけではない。
なので、いきなり実践で学ぶ必要があることも多そうだった。
(あれをあれして、それで…ダメだわ、想像もつかない…)
教師が説明してくれた手順を思い出そうとしてみたものの、いまいちピンとこない。
実際にやってみるしかないということだろうか…。
レティシアは隣の寝室に続くドアを見つめる。
この向こうで、夫婦の営みを行うのだ。
薄い布のネグリジェに身を包んだレティシアは、こんな姿をクリストフに見られるのかと思うと、顔から火が吹き出そうだった。
さらに、ベッドで行うことを想像すると、もうこのまま眠ってしまいたい気持ちになった。
(ダメよ…これも皇太子妃としての大切な役割だと教師も言っていたわ…だから、しっかりおつとめを果たさないと…)
ガチャと隣の部屋の扉が開く音がした。
クリストフが寝室に入ったのだろう。
レティシアも覚悟を決め、寝室に続く部屋のドアを開けた。
寝室に入るとバスローブ姿のクリストフが手招きした。
レティシアが緊張しながら彼の元へと近づくと、クリストフはその体を抱き寄せた。
「緊張していますか?」
クリストフが聞いてくるので、レティシアはこくりと頷いた。
クリストフは小さく震えるレティシアの華奢な体を抱きしめているうちに、体のある一点が熱くなるのを感じた。
それと同時に、自分の体を半分支配するどす黒い存在が、恐怖を感じて萎縮しているのも感じる。
クリストフがレティシアの助けを必要とすることになった原因は、遠征に出た際に出くわした闇の精霊王との戦いだった。
この世界には、光の精霊と闇の精霊がおり、光の精霊は神の使いとして人々に癒やしをあたえる。
その際に、レティシアのような聖女を使うこともあるのだ。
そして光の精霊に対抗するのが、闇の精霊だ。
闇の精霊は、疫病や飢饉を起こしたり、人々の中に入って凶悪な犯罪を起こさせたりする存在だ。
それぞれの精霊には、精霊王が存在する。
精霊王は通常は表には出てこないが、人間が契約を行った場合には表に出てくることがある。
この世界の人間の誰かが闇の精霊王と契約を結び、クリストフを襲わせたのだった。
クリストフは闇の精霊王と戦ったが、一瞬の隙をついて体を支配され、現在もこの体の半分を闇の精霊王に支配されている状態だった。
ただし、クリストフの自我が強いため、かろうじて押さえ込むことができている。
しかしこの状態がいつまでも持つわけがない。
クリストフは一日のうちに何度か、彼の表に出ようとする闇の精霊王の力を戦わなくてはならなかった。
こうした状態が続けば、いずれクリストフの体は闇の精霊王に完全に乗っ取られてしまう。
一計を案じた皇帝の提案で中央神殿に行き、神の啓示を受け、レティシアとまぐわうことで闇の精霊王に抗う力を得ることを知ったのだった。
(確かに、この人が側にいるだけで、闇の精霊王の抗いが弱くなっている…)
あの神殿で聞いた声は、間違いなく神の啓示だったのだ。
レティシアとの結婚が決まって以降、何かと一緒にいる時間があったが、その時間は闇の精霊王が萎縮しているのを感じていた。
そして今も、闇の精霊王の気配は弱い。
このまま夫婦としての営みを行えば、その支配から逃れることができるだろうか…。
腕の中のレティシアを見つめると、極度に緊張しているのが分かる。
クリストフは胸に小さな罪悪感を感じながら、レティシアに優しく口づけをする。
柔らかな唇の感触が、クリストフの体を熱くした。
「ん……ぅ……っ……」
口づけたまま、クリストフはレティシアの体をゆっくりとベッドに横たえた。
レティシアは身を任せるようにおとなしくしているが、その体はこわばっていた。
クリストフはネグリジェの合間から手を忍ばせ、膨らみに触れていく…。
これからレティシアは、経験したことのないことを経験する。
そもそも神殿に奉職するつもりだったので、これまでに王女として性教育を受けてきたことはない。
だから本格的な性教育を受けたのは、ヴァリス帝国に入ってからだった。
レティシアが性教育を受けていないことを知ると、帝国側の教師がやって来て、一通りの流れを説明してくれた。
ただ、結婚式の準備も慌ただしかったため、全ての疑問を解決できたわけではない。
なので、いきなり実践で学ぶ必要があることも多そうだった。
(あれをあれして、それで…ダメだわ、想像もつかない…)
教師が説明してくれた手順を思い出そうとしてみたものの、いまいちピンとこない。
実際にやってみるしかないということだろうか…。
レティシアは隣の寝室に続くドアを見つめる。
この向こうで、夫婦の営みを行うのだ。
薄い布のネグリジェに身を包んだレティシアは、こんな姿をクリストフに見られるのかと思うと、顔から火が吹き出そうだった。
さらに、ベッドで行うことを想像すると、もうこのまま眠ってしまいたい気持ちになった。
(ダメよ…これも皇太子妃としての大切な役割だと教師も言っていたわ…だから、しっかりおつとめを果たさないと…)
ガチャと隣の部屋の扉が開く音がした。
クリストフが寝室に入ったのだろう。
レティシアも覚悟を決め、寝室に続く部屋のドアを開けた。
寝室に入るとバスローブ姿のクリストフが手招きした。
レティシアが緊張しながら彼の元へと近づくと、クリストフはその体を抱き寄せた。
「緊張していますか?」
クリストフが聞いてくるので、レティシアはこくりと頷いた。
クリストフは小さく震えるレティシアの華奢な体を抱きしめているうちに、体のある一点が熱くなるのを感じた。
それと同時に、自分の体を半分支配するどす黒い存在が、恐怖を感じて萎縮しているのも感じる。
クリストフがレティシアの助けを必要とすることになった原因は、遠征に出た際に出くわした闇の精霊王との戦いだった。
この世界には、光の精霊と闇の精霊がおり、光の精霊は神の使いとして人々に癒やしをあたえる。
その際に、レティシアのような聖女を使うこともあるのだ。
そして光の精霊に対抗するのが、闇の精霊だ。
闇の精霊は、疫病や飢饉を起こしたり、人々の中に入って凶悪な犯罪を起こさせたりする存在だ。
それぞれの精霊には、精霊王が存在する。
精霊王は通常は表には出てこないが、人間が契約を行った場合には表に出てくることがある。
この世界の人間の誰かが闇の精霊王と契約を結び、クリストフを襲わせたのだった。
クリストフは闇の精霊王と戦ったが、一瞬の隙をついて体を支配され、現在もこの体の半分を闇の精霊王に支配されている状態だった。
ただし、クリストフの自我が強いため、かろうじて押さえ込むことができている。
しかしこの状態がいつまでも持つわけがない。
クリストフは一日のうちに何度か、彼の表に出ようとする闇の精霊王の力を戦わなくてはならなかった。
こうした状態が続けば、いずれクリストフの体は闇の精霊王に完全に乗っ取られてしまう。
一計を案じた皇帝の提案で中央神殿に行き、神の啓示を受け、レティシアとまぐわうことで闇の精霊王に抗う力を得ることを知ったのだった。
(確かに、この人が側にいるだけで、闇の精霊王の抗いが弱くなっている…)
あの神殿で聞いた声は、間違いなく神の啓示だったのだ。
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そして今も、闇の精霊王の気配は弱い。
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「ん……ぅ……っ……」
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