異世界でラム肉やってます

園島義船(ぷるっと企画)

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「ここは異世界だよ」編

二話めぇ~ 「ステータスを確認するよ」

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「ヒツジ、俺だ…」

 俺は自分がヒツジであることを悟った。
 まるで生まれた時に与えられたハンデを今悟ったように。

 え? 実はみんな知ってたのか?
 俺がヒツジだってことを知りながら、心遣いで隠して接してくれていたのか?

 本当かよ。
 そんな優しい人たちに囲まれていたのか…
 俺って幸せ者だな。

 だって獣だぜ。
 獣と一緒に学校行ってプールまで入って…
 どんだけ好いやつらなんだよ。

「んなことあるかーーーー!!」

 俺は人間だ!! ヒツジじゃない!!
 見た目はヒツジでも人間なんだ。
 シゲキなんだよ!

「シゲキ君、現実を認めようよ。ほら、手」
「手…ひづめだ!!!」

 この女、俺がショックを受けているのに慰める気配もない。
 蹄を見せて納得させようとしやがるとは、さすがぷるんだ。

「ね? 異世界でしょ?」
「ゆ、夢かもしれんぞ。頬をつねってみろ」

 お決まりだがやってみよう。

「えーーーーい!!」

 ビリビリビリー!

「いった――――――い!」

 本気だ。こいつ、本気でるつもりだ。
 ぷるんの手には俺の頬の皮が握られている。
 遠慮ってものを知れよな。

「ね? 異世界でしょ?」
「異世界かはともかく、一瞬大仏が見えた」
「じゃあ、異世界なんだよ!」

 大仏がいる異世界なんて嫌だ。
 せめてウサギとかがいい。
 もちろんバニーのほうだが。

「ねっ、ねっ! 異世界だったらステータスってあるはずだよ!」
「いや、それお前、ゲームの世界に入ったらじゃなかったか?」

 俺の記憶によれば、ゲームの世界に入ったとかいう場合は見れる設定だったはずだ。
 ヒツジのゲームとか嫌だぞ。

 お前な。異世界とゲームを混同しているんじゃないのか?
 出るわけないって。
 異世界だぜ? ゲームじゃないんだよ。

「あっ、出た」
「出たのかよ!!!」

 出ちゃったよ!
 まあ、俺がヒツジになったくらいなんだからべつにいいけどさ。
 出たっていいけどさ。気になるよな。


 名前:ぷるん
 年齢:14歳
 レベル:1
 職業:ヒツジ戦士
 装備:普段着っぽいもの
 スキル:「ヒツジ系武具装備可能」


「本当に出てるな…」

 覗き込むと俺にも見えた。
 ぷるんの前方に青い四角いウィンドウが飛び出ている。
 どうやら自動で位置が補正されるようで身体を動かすと一緒に動くらしい。

 ある意味で邪魔だな。
 車が迫ってきているときに出たらマジ死ぬぞ。
 勝手に消えるのか?

 というか、こいつはヒツジ戦士なのか?
 それに普段着っぽいものって何だ?
 「バールのようなもの」のようなものか?

「シゲキ君も出してみてよ」
「どうやって?」
「フェイスオープンとか言えばいいと思うよ」

 嘘だろう。そんなこと言ってなかったぞ。
 いいと思うよの段階で嘘だ。

 しかもフェイスだ。俺のフェイスはすでにオープンしている。
 心のフェイスってことか?
 へへっ、社会の窓ならオープンしても…

 出てるぅううううう!!!
 もう俺の窓オープンしてるぅううううう!!

 開放済みでした。
 で、とりあえず出ろと念じたらヒツジのも出ました。

 うぉ、邪魔だ。
 ウィンドウしか見えなくなる!!!
 つーか、俺のだけ近いぃぃいいいい! めっちゃ顔面に近い!!!


 名前:シゲキ
 年齢:生後十三分くらい
 レベル:0
 職業:ヒツジ
 装備:素敵な生身
 スキル:「ヒツジ」


 ちょっと待て。
 気になる点がある。

「生後十三分くらい!?」

 おかしいだろう。生後って何だよ。
 赤ん坊に対してしか聞いたことないぞ!
 俺はバリバリの十四歳。中二だぞ!

「あっ、そこなんだ。職業がヒツジである点は気にしないんだね」

 やめろ。傷をえぐるな。
 ヒツジであることを受け入れたわけじゃない。
 さらにレベルはゼロだ。赤ん坊ってことか?

 くくく、なるほど。赤ん坊か。
 それならそれでこういう使い方もある。
 このやんちゃボーイを赤ん坊にしたツケを払ってもらおうか。

「おい、ぷるん。吸わせろ」

 何を? 決まっているだろう。
 俺は赤ん坊なんだぜ。

 アレに決まっているだろう? アレだ!
 さあ、吸わせろ!!

「えーーーーい!!」

 ビリビリビリー!

「いった――――――い!」

 皮剥ぎ制裁。


「シゲキ君のツノってさ、一つなんだね」
「え? そうなのか?」

 記憶によればヒツジの角はだいたい二つ、左右に一対あった気がするが自分では見えない。
 そして手も届かない。

「それ、前足だよ」
「俺にとっては手なんだよ!!」

 残念ながらちょっと届かないので触われない。
 ぷるんが言うには、一角獣のように額と脳天の中間あたりに小さいツノがあるらしい。

 ああ、俺はもうヒツジなんだな。
 気がつけば四つ足でいるぞ。
 まったく気にならないからこれが自然なんだ。
 下半身もオープンしているしな。

「私もヒツジ戦士だからお揃いだよ」
「下半身はお揃いじゃない!!!」

 神めぇええええええ! そこは配慮しろよ!!!
 男女差別反対!!

「ねえ、シゲキ君の『ヒツジ』ってスキル何?」

 それは俺も気になった。
 とても気になる。

 普通ならもっとわかりやすい名前のスキルになるはずだ。
 まんま「ヒツジ」だからな。

「使ってみてよ」
「いいのか? 男前になっちまうぜ」
「この皮が?」

 ビリビリビリーーー!

「いったーーーーーい!」
「やっぱり三度目は飽きるね」

 飽きるとか言うなよぉおお!!! 痛いんだぞ!
 つーか、やったのはお前だ!!

「じゃあ、いくぞ」

 どうすればいいんだ? とりあえず叫んでおくか。

「スキル『ヒツジ』!」

 モコッ!

「え? どうなったの?」

 ぷるんは周囲を見回して変化があるか確かめている。
 だが、何も起こらない。

「もう一度やってみてよ」

 まったく、他人事だと思って気楽だな。

「スキル『ヒツジ』!」

 モコモコッ!

「また何も起こらないよ?」
「うーん、発動しなかったのかな。人生、こんなもんさ」

「……」

 ぷるんが俺を見てくる。

 また何か嫌な予感がするな。


「あのさ…」

「なんだよ」






「毛が増えたね」





 増毛スキルかよ!!



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