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「ここは異世界だよ」編

十六話めぇ~ 「ヒツジが三匹で?」

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「ねえ、なんで死んだの?」

「罰が下った。反省している」

 前回サザエさんのエンディングの真似をしたら死んでしまった。
 きっと天罰だな。これからは控えよう。
 また死んで八匹目になってしまった。もう嫌だ。

「毎回それやればオチができるんじゃない?」

 オチじゃねーからな!
 いつもオチでやっているわけじゃねーよ!

 しかもパクリじゃねえか。一応オリジナル小説だからな、これ。
 他にラム肉やるやついねーよ。

「この小説、ゲームになるよ」

 うっそーーーーーー!

 それお前、RPGツクールやりたいだけだろう!?
 どうせ忙しくて作れないんだから期待持たせるのやめろよ。
 作ったとしてもエロだな。ぺっ。

「ちなみに作者は、絵を描くときは今でもXPだよ」

 おいーーーーーー!!
 古い、古いよ!!
 もうアップデートサービス終わってるじゃねえか!

「完全オフラインだから大丈夫だよ。本当は2000がいいんだって」

 まあ、たしかにな。
 OSは2000が一番軽くてよかったのは間違いない。
 いまだにXPに慣れず、7にもまだ慣れていないレベルだしな。


 そして、ステータスを見たらスキルが増えていた。

 その名も「ヒツジ3」だ。

「よかったね。ヒツジさんだって」

 それはなにか?
 俺がヒツジであることを受け入れているとでも思っているのか?
 あ? 思っているのか!?

「その汚い顔、すごく似合ってるよ」

 汚い顔ーーーー!?
 やめろよぉおおおおお!
 それも思春期の男の子に言っちゃならない言葉ランキングで上位を占めるぞ!

「ヒツジになって少し良くなったね」

 慰めてねーーーーよぉおおお!
 それってヒツジより悪かったってことだろう!?

 けっ、どうせ俺はヒツジだよ!
 ああ、ヒツジ! 可愛いヒツジさんだよ!

「……」

 可愛いに反応くらいしろ!
 リアクションないと寂しいじゃねえか!
 俺は寂しいロンリーヒツジなんだからよ。

「ねえ、スキル使ってみれば?」

 罠だ。確実に罠だ。
 これから起こることを知っていてわざと言っているのだ。
 俺は今までの経験から、ぷるんの言葉を鵜呑みにしてはいけないことを悟った。

 しかし、たしかに気になるな。
 スキルが増えたからといって、本当にそれ(サザエさん)かはわからない。

「もしかしたら違うかもよ」

 ううむ、そう言われるとな…
 じゃあ、一回だけだぞ。

「スキル、『ヒツジ3』!!」

 しーーーーん。
 あれ? 何も起こらないぞ。

 怖い。何も起こらないと逆に怖い。
 また何か減っているんじゃないのか!?

 だが、ステータスに異常はなかった。
 なんだ、何が起こったんだーーー!

「これ、ヒツジ【スリー】だよ」

 2まで「に」で来たじゃねえかぁあああ!
 いきなり3からスリーなのか!?

 読み方変えるのやめろよぉおおおお!!
 英語? 英語か!?
 そこだけ英語っておかしいだろう!!

「シゲキ君、仕様だよ」

 ソニーじゃねえんだ! やめろよ!
 つーか、俺ソニー好きすぎてアップル製品一つも持ってねーけどな! な!

 頼むからVAIOのデスクトップを復活させてほしい。
 いつ消えたんだよ。びっくりしたよ!
 HPに痕跡すらないよ!

「ほら、もう一回やってよ」
「本当に大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫だって、たぶん。だから、ほらほら」

 わかったよ。やってやるよ!



「改めて、スキル『ヒツジスリー!』」






 んがんんっ!









 シゲキは死んだ。






「シゲキくぅーーーーん!」








「なんでだーーーーーー!」
「あっ、復活した」

 今の俺はもれなくシゲキ九匹目だ。
 ヒツジスリーを使ったら死んだんだ。

 ぷるんはカッコイイ技ばかり覚えているのに、どうして俺だけネタ技なんだよ!
 もっとこう役立つスキルにしろよぉお!

「つーかお前、大丈夫とか言ったじゃねえか!」
「だから、たぶんって言ったじゃん」

 ちっ、こいつのあざとさは半端ないな!!
 すべてを計算してやってやがる!!
 なんて狡猾な悪魔だよ!

「ん? お前さ、どうしてスキルの情報知っているんだ?」

 ここにきてふと気がついた。
 こいつは妙にスキルに詳しい。
 3をスリーだってわかったし、自分が覚えたスキルに対しても詳細まで知っている。

 もしかして、スキルを知っているのか?
 スキル図鑑とかあるのか? あるなら見せろ。

「ここ押すと詳細出るよ」

 タブレット仕様やめろよぉおおーーー!
 左側の三つ線押すとメニュー出るとか知らねーよ!

 こちとら昭和生まれだぞ!
 ファミコンカセット世代だぞ! ゲームウォッチやってたよ!
 んなこと知らねーってば!

「んっ! んっ! 押せない!」

 蹄がーーーーーー!
 俺の蹄じゃ押せないーーーー!

「じゃあ、押してあげるね」
「お前ー、知ってて教えなかったのか!?」
「えー、いまさら? ツッコむの遅いよ」

 今知ったんだよ!!
 お前が教えなかったから今知ったんだよ!

「教えたじゃん。さっき」

 ムキーーーーー!

 「そんなの聞いてない!」
 「当たり前だ。今教えたんだからな」
 という会話が成り立つシーンだ。

 むきーーーー!


「ねぇねぇ、ヒツジが三匹で何て言うの?」
「ヒツジさん」

「別の言い方だと?」
「シープスリー」

「他の言い方は?」

 こいつ、俺を殺そうと画策している。
 例の死の呪文を使わせようとしているのだ。
 そんなに俺を殺したいのか!

「だって、喉が詰まって死ぬなんて面白いネタだよね」

 ネタじゃねーから!!
 これ持ちネタじゃないからな!?
 別に毎回のオチのために用意したんじゃねえよ!

「餅ネタ?」

 ちぃいいいい!
 絡みすぎていてツッコめない!

 俺が政治家なら文句を言ってやるところだが何も言えない。
 コンニャクゼリーは駄目でどうして餅が駄目じゃないんだと言ってやりたい!

「じゃあ、何のためにあるの?」

 それは俺が知りたい。
 ちょっと詳細を見てみるか。



 スキル名:『ヒツジ3』
 使用MP:全部
  効果 :喉にクッキーを詰まらせて死ぬ



 おぉおおおーーーーーい!!!
 そのまんまだーーーーー!
 なんのひねりもない!!

 しかも使用MPが全部になってるぅぅううう!
 なんだよ、これ!!
 何の役にも立たないよ!

「シゲキ君、効果欄に続きがあるよ」

 だよなーーー!
 これだけだったらちょっと問題だよな。

 いいかみんな、絶対に変な食べ方して死ぬなよ。
 リーパの親父さんみたいな屈辱を味わうことになるからな。



 効果 :喉にクッキーを詰まらせて死ぬ
     戦闘中に使うと相手がびっくりして逃げていく



 びっくりするよ!!
 そりゃいきなり喉詰まらせて死んだらびっくりするよ!

 モンスターだって恐れおののくよ!!
 死因がわからないと怖くて食べられないよな。

 病気とかだったら怖いしさ。
 そんなつもりはなかったけど、遊びで友達と失神ゲームしていたら死んじゃったみたいに、マジで顔面蒼白になるよ!

 というか、これもニュースになったけど絶対にやるなよ!
 メンコでもやってろ! セイントセイヤのな。

「シゲキ君、まだ効果に続きがあるよ」

 だよなーー!
 これで終わりだと正直つらい。
 最後にとっておきのを見せてほしいよな!



 効果 :喉にクッキーを詰まらせて死ぬ
     戦闘中に使うと相手がびっくりして逃げていく
     なんだか心苦しい



 お前の懺悔じゃねえかああーーーー!
 これ作者の懺悔だよ!

 ねえ、まだあるんでしょ?
 本当はもっと良い効果があったりするんでしょ!?

「あっ、終わりだね」

 やめろよぉおおーーーーー!!
 俺のスキル哀しいじゃねえかぁあああ!

「心から謝罪いたします。BY作者」

 誠意がない!!
 というかすでにネタ枯渇してるじゃねえか!

 ぷるんばっかりずるい!!

「しょうがないよ。あの人、あまりヒツジ好きじゃないって」
「だったらラム肉やめろよ!!」

 全否定じゃねえかああああああ!!
 始めたんだから最後まで責任取れよな!!

 つーか、なんだよ今回!!
 作者に振り回されっぱなしじゃねえか!!



「今日もすがすがしい終わり方だね」

 俺の心は詰まったままだよ!!
 すっきりしねーよ!!

「あはは、うまーい」

 うっぉぃgっをいいjろじょあfじょあ!!!
 っっっっっっっw

 ※シゲキ、心の叫び。翻訳不可。





 お疲れさまでした。




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