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「ここは異世界だよ」編

十八話めぇ~ 「激闘サンドシャーク(前半)!」

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「うっかり気をつけてね」

 お前のせいだと言いたいが、たしかにうっかりミスだった。
 餅ネタと言っただけで死ぬなんて…

 今まではスキル~と言わねば発動しなかったのに、名前変えたら勝手に発動した。
 怖い。今度から気をつけよう。

「じゃあ、そろそろサンドシャークを倒しに行こうか」
「いや、まだレベル3なんだが」

 スキルネタで二話分消費したが実際は一時間も経っていない。
 レベルは3になったままである。

「シゲキ君、レベル上がってたよ」

 あっ、本当だ! レベルが上がってる。
 レベルが4になってHPが13、MPが5になっていた。
 スキルの話題で盛り上がっていて忘れていたな。

「キレは落ちたけどね」

 いいんだ。俺は芸人じゃない。
 べつに面白いこと言わなくたっていいんだ。
 自分を追いつめると苦しいからな。そう言っておく。

「あと、年金手帳見つけたよ。引きこもリザードの親のやつみたい」

 いたーーーーーーーい!!!
 すごく痛い!!
 なにこれ、心がすごく痛いんだが!

 パラサイト、べつにいいじゃないか。
 世の中もっと寛大でいこうぜ。

 いいんだ。自分を否定しないでいいんだぞ。
 俺なんてヒツジだぜ。なあ。それよりましさ。

「あとで引き出しておこうね」

 えええーーーー!
 ぷるん、もっと人間味を持とうぜ。

「じゃあ、モヒカンに届ける?」

 それはちょっとな。あいつらに任せるのは不安だ。
 仕方ない。今は預かっておこうか。


 俺とぷるんはサンドシャーク討伐のために砂漠に向かう。

 三十分ほど歩いたが砂漠なんて全然見えない。
 もしかしてかなり遠いのだろうか?

「なあ、あまり遠出は危険じゃないか?」
「大丈夫だよ。すぐそこだよ」
「すぐそこったって…砂漠なんて…」

 と、俺が少し高い丘に立った時だった。
 俺の目の前に砂漠が広がった!

「嘘…だろう」

 俺はあまりのことに驚愕した。
 だって、こんなことがあっていいのだろうか。

 その砂漠って…

「小さっ!!!」

 砂漠はあった。だが、小さい。
 なんていうか大きめの砂場に近い。
 普通の公園一杯に砂を溜めた五十メートルちょいの砂漠って感じだ。

 ええ? ここが砂漠なの!?

「シゲキ君、気をつけてね! 出るよ!」
「え? ど、どこ!?」


 ザッパーーーーンッ!

 サンドシャークが現れた!


 出たぁーーーーー!
 砂漠からサンドシャークが出たーー!

 サンドシャークの体長はおよそ三十メートル!
 でかい! さすがボスだ!
 しかし…

「めっちゃ動けてねーーーーー!」

 五十メートルの砂漠の中に埋まっていた三十メートルのサンドシャーク。
 ほとんど身動きが取れずにジタバタ動くだけの実に奇妙な光景だ。
 こいつ、どうしてこんなことになっているんだ?

「うっかり長寝していた間に砂漠が緑化されちゃったんだって」

 良い話だ! 環境改善ウェルカム!
 しかし、そのせいでこいつは退路を絶たれ、こんな場所に閉じこめられている。
 なんだか哀れにも思えるが…

「油断しちゃダメだよ! 攻撃がくるよ!」
「え? あそこから?」


 サンドシャークの攻撃

 砂玉を吐き出した!
 ドチューーーンッ!
 ぷるんは十二のダメージ


 ぷるんはサンドシャークが吐いた圧縮された砂の塊をくらって吹き飛ぶ。
 うおおお! 動けないと思ったらあんな攻撃するのか!

「ぷるん、無事か!」
「大丈夫! でも気をつけて!」

 今回ぷるんはまともに攻撃を受けたが、さっきあったような百倍返しは発生しない。
 スキル詳細の時に一緒に見たのだが、あれは自分よりもHPが少ない相手にだけ発生する即死技らしい。
 Hリザードはぷるんの100より低かったので発動したが、サンドシャークはもっと高いようだ。

「ぷるん、野性化は!?」
「まだだけど、あれは最後のほうがいいよ」

 野性化は凶悪なスキルだが、MPは精神力なので減ると集中力や細かい作業がしづらくなるそうだ。
 最初に息切れすると後でツケが回ってくる。
 今は地道に削っていくことを選択した。


 ぷるんの攻撃

 ニッキーで斬りつけた!
 ズバッ!
 十八のダメージを与えた


 硬い! 今までの敵とは段違いの硬さだ!
 ぷるんのニッキー攻撃でも二十に届かないほど防御力が高い。

「シゲキ君、防御を固めて! リアップだよ!」

「スキル、リアップ!!」


 シゲキの羊毛が増えた
 モコモコ! 
 防御力が六アップした


 やっぱりリアップって恥ずかしいな。
 今後使っていくなら広告料が欲しいくらいだ。

 ちなみに親父が使っていたが、ちょっとは生えたくらいな感じだったな。
 やっぱり限界はあるみたいだ。生えるだけすごいけどさ。

 サンドシャークの攻撃

「クルシイ! オレヲタスケテクレ!」


 尾ヒレで砂を叩いた!
 砂の波が遅う

 ぷるんは六のダメージを受けた
 シゲキは二のダメージを受けた
 ぷるんとシゲキの回避率が下がった


 うおお、砂をかけられた!
 砂がこっちの周りにも積もって足場が悪くなったぞ。

 というか、サンドシャークが助けを求めていたような気がするぞ!
 あいつ、まさか苦しくてもがいているだけなんじゃないのか?
 狭くて苦しいからのたうち回って、こうなっているのでは?

「なんてサメだ! 早く殺そう!」

 えぇぇええーーー!
 サメが苦しくて暴れるごとに誤解は深まる。

 みんな、相手の言うことをちゃんと聞いてやろうな。
 やっぱりお互いの言い分ってのがあるもんだよ。
 相互理解って重要だよな。

「シゲキ君、遠慮は無用だよ! 警察に捕まってもいいの!?」

 もはやヒロインの言葉とは思えない台詞だ!!
 そうだった。これに勝たねば俺たちに未来はないのだ!

 うう、罪悪感があるが、倒さねば俺たち犯罪者なんだよな。
 すまん、サンドシャーク。今は死んでくれ!


 シゲキの攻撃

 ドリルミサイルを発射!
 ドヒュルルルーーーグサ!!

 サンドシャークの目に直撃!
 クリティカルヒット
 三四のダメージを与えた


 うおおお! まさかのクリティカァーーール!
 急所に決まるとダメージも増えるらしい。

「メガァーーーメガァーーーー!」

 サンドシャークは苦しんでいる。
 うう、なんだかその気持ちはよくわかる。
 俺もホワイトマッシュにやられたからな。

「え? メガドライブが何?」

 古いよーーーーー!
 カタカナにしたそう聴こえるけどさ。

「メガストア?」

 そっちはらめぇええええええ!!
 子供は見ちゃ駄目だ!!

「けけけ! のたうち回ってやがる! チャンスだ!」

 ぷるんさぁぁあーーーーん!!
 もう野性化しちゃってるよぉおお!

 弱った獲物を見て興奮しちゃった!
 最後に使うとか言っていたのに、初っぱなから使っちゃった!

「ヒャッハー! 皆殺しだ!」

 一人! 相手一匹だから!!


 ぷるんの連続攻撃

 ズバーーー!
 二五のダメージを与えた!
 四五のダメージを与えた!
 五六のダメージを与えた!


 野性化で攻撃力が上がったぷるんの攻撃はすごい!
 今回の攻撃だけで百超えダメージだ。
 だが、相手もボスクラス。簡単には死なない。


 サンドシャークの反撃

 ぷるんに噛みついた!
 ガブーーーッ!
 ブシャーーー!

 ぷるんは三十のダメージを受けた。
 ぷるんは大量出血した


 巨大なサンドシャークに噛まれたぷるんが腕から出血している。
 しかも少しじゃない。かなりドクドク出てる!

 いやぁああああ!
 この小説たしかに残酷表現ありになってるけど、初めての出血だ!
 というか、俺なんてクマーにぐちゃぐちゃにされて食われてたけどな!

「大丈夫か! 血が出てるぞ!」
「大丈夫だけど、ニッキーが飲まれちゃった!」

 噛まれた拍子に武器を飲み込まれたらしい。
 うぉお、武器を奪うとは凶悪な攻撃だ!

 そういえばRPGとかでは相手の武器を外すとかいう、いやらしい攻撃をしてくるやつっていたよな。

「シゲキ君、代わりの武器を!」
「わかった!」

 シゲキはぷるんに鉄のナイフを渡した

 俺の最大の役目はアイテム係だ。
 こうしてぷるんの周りでアイテムを供給するだけでも役立つのだ。
 それよりもぷるんはダメージをくらっている。回復したほうがいいな。


 ぷるんの攻撃
 ザクッ
 サンドシャークに十二のダメージを与えた


 野性化していてこのダメージか。
 やはり武器を奪われたのは痛いな。

 俺もすでにドリルを発射しているので補充するにはぷるんの助けが必要だ。
 だが、そんな暇はないな。回復を優先だ。

「ぷるん、回復ドリンコだ!」
「ありがとう!」


 シゲキは回復ドリンコをぷるんに渡した
 ぷるんは回復ドリンコをふりかけた

 HPが三十回復した
 出血が止まった


 飲まないのかよ!!
 めっちゃ飲みそうな名前だったのに!!
 だったら傷薬とかにしようぜ!

「シゲキ君、キレが落ちてるね」
「言うなよ!」

 俺なんて、もともとこんなものだ。
 というわけで後半に続く。


 おお、なんか白熱してる!

 俺は今、RPGしてるよーーーーーー!

 つーか、異世界=ゲームじゃないからな!

 完全に混じっちゃってるけど、思えば違うからな!!



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