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「ここは異世界だよ」編
二十話めぇ~ 「望まぬ再会」
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「だから早くって言っただろう!」
俺はずっと危ないと思ってたんだ。
だって1だぞ? HPが1だ!
「!」
それ1じゃねーから!!
エクスクラメーションマークだから!
どう考えてもビックリマークでいいけどな!
この小説これないと成立しないからな!!
なっ!!!!!!!
「逆ギレだよ。自分で踏んだんじゃん」
そうだ。たしかに俺が踏んだ。
しかし砂漠に釘があるなんて普通は思わないぞ。
それは本当に災難だった。
でもどうして釘なんてあったんだ?
そりゃ誰かが落とす可能性もあるけどさ。
「砂漠に釘を投げ入れる儀式が毎月あるんだ」
毎月!? 毎年じゃなくて!?
それ、完全にサンドシャークに対するバッシングだって!
どんだけ頻繁にやってるんだよ。
「カップルが投げてサンドシャークが出てきたら末永く結ばれるんだって」
そりゃあいつも怒って当然だな。
ただでさえ閉じこめられて絶望しているのにそんな習慣ができたらマジギレするぞ。
どうやらサンドシャークが討伐指定されたのは、バカップルが「きゃっ、うふふ」「あはは、そーれ」とか大量の釘を投げ入れてキレたサメにボコボコにされたことが原因らしい。
うん、よくやったサンドシャーク。
そんなのボコボコにしたれ。
だんだんあいつに同情してきたぞ。
この世界って人間のほうが悪者だよな。
「レベルも上がったね」
俺はレベルが6になった。
一気に二つも上がるとさすがボスって感じはするな。
ぷるんは1上がってレベル4だ。
だが基礎能力が違うので差は縮まるどころか離れていく気がする。
こいつ、レベル3の段階でライアンのレベル20くらいに匹敵するからな。
ぷるんだけ優遇されている気がするが女の子だから仕方ない。
こういう世界では基本的に女の子優遇なのだ。
詳細はまた今度な。長くなりそうだしな。
まずはやることやっておこう。
「じゃあ、剥ぎ取りの続きだね」
サンドシャークから剥ぎ取れるのは、肉と歯とヒレと砂肝(すなぎも)だ。
砂肝ってのはあれだな。焼鳥屋とか行くとあるやつだ。
胃袋に砂や石などを溜めておいて、歯の代わりに使って消化を助ける部位のことだ。
まあ、魚にも持っているやつはいるからサンドシャークが持っていてもいいけどさ、やっぱりなって感じだよな。
砂だもんな。絶対あると思ったよ。
「あと皮膚もね。ざらざらしているところが高く売れるよ」
まさに本家鮫肌だ!!
サメの皮膚は普通の革と同じように使えるそうだ。
どうやら「おろし金」として使うのにも最適らしい。
普通に売ってもいいし、金が余っているようだったらアイテム素材にしてもいいかもな。
とりあえず確保しておいて損はない。
肉も食料として使えるし、サメは本当に役立つ生き物なんだなと実感する。
「じゃあ、帰るか」
素材をアイテム袋、素材君につっこむ。
うん、けっこう溜まったな。
結局サンドシャークだけで七種類くらい剥いだし、雑魚からも剥いだものがいくつかある。
仮に金が尽きてもこうした素材で金が稼げれば少なくとも飢えることはないな。
「シゲキ君は草があれば生きていけるしね」
「草食系だからな」
俺はぷるんのように肉食系ではない。
そういや草食系男子とかって今も言うのか?
俺はよく焼肉屋で軟弱なやつに対して「おまえらは草でも食ってろ」とか言って馬鹿にしていたけどな。
すまん。思えばそこまで馬鹿にする必要なかった。
今さらになってだが謝罪したい。
何より今の俺自身がリアル草食男子だからな。
草ンメェェエーーー!
町に着いた。
いや、言葉で言うと一言だけどさ、結局外で一泊しているんだよ。
一週間期限があって、今日はまだ三日目だ。
話数は進んだけどスキル関係とかで消費したから実際はあまり経っていないんだわ。
苦戦はしたがまだ少しは余力もあったし、俺たちって強いのかもしれないな。
その大半はぷるんの並外れた戦闘力に寄るところが大きいわけだが。
「シゲキ君も役に立ったよ」
「文字通りアイテムとしてな」
アイテム係だけではなく、俺自身がすでにアイテム化している。
合体攻撃でもドリル役だったし、重要だけどあまりおいしくない感じだった。
これ絶対某完璧超人からきているよな。
スクリュー・キッドだったっけ? そんなのいたな。
あいつは楽しんで自分からネジになっていたが、俺は特に楽しくなかったぞ。
立場的にはいわゆる岬君だな。
中盤でボールを運ぶが、最後に決めるのはだいたい翼君か日向君だ。
最後にはアイテム化されてとんだ目に遭うのだ。
新田君はどうしたって?
うん、まあ5の時はがんばったと思うぞ。
それでもあまり存在感なかったけどな。アルシオンがいたし。
「素材売りに行くか?」
アイテム袋ってどうなってるんだろうな?
とりあえずアイテムは腐らないらしい。
スターオーシャンとかは料理が傷んだ記憶があるが、ああいうのは稀だよな。
「その前に報告だね。ギルド行こう」
おっと、そうだった。
まずはこちらの用事が最優先だった。
これで晴れて無罪放免か。まったく災難だったよ。
それもすべてはぷるんのせいだが…
「ようやく見つけましたよ」
俺たちがギルドの前まで行くと、フードをかぶった一人の男に出会った。
最初誰に言っているのかわからなかったが、どうやら俺たちに言っているようだ。
誰だ、こいつ?
もしかして元の世界の知り合いか?
「私を忘れたわけではないでしょう?」
男がフードを取る。
「私は! 私はあのとき…うぐもがっ!」
そこはかっこよく脱ごーーー!!
普通こういうときはさ、ばばっと脱ぎ捨てるもんだよな。
絡まって動けないってあまりにもリアルだろう。
「脱げない! 脱げない!」
「大変だー、シゲキ君、助けよーよー」
って言いながらぷるんがフードをさらに巻き付けてるーーー!
男はぐるぐる巻きになって地べたに這いつくばる。
なんで巻いたんだよ、お前は!?
「よかれと思って」
何がーーーーー!?
何が良いと思ったの!?
「この人、シゲキ君より下の芸人だね。キレがないよ」
だから芸人じゃねーし、ネタでもねーよ!!
一般人の行動を全部ネタとして捉えるのやめろよな!!
こういうのって、あるよな。
小さいサークルとか集まりの中だけしか通用しないネタというかさ。
それをいきなり他人に適用して完全に浮いてしまう、という場面をよく見かける。
それはそれでいいんだが、それが世界共通だと思っちゃいかん。
あくまでマイノリティであることを自覚しないと、ぷるんのようになるから注意しろよ!
で、この人は大丈夫か?
「ふーー、ふーーー!」
何か鼻息が荒い!!
この人何か中で興奮しているんですけど!
「私です。覚えているでしょう」
ようやくフードを脱いで素顔が出る。
「あ、あんたは!!」
俺は驚愕した。
その顔は忘れもしない、あの素材屋と間違えた店の兄ちゃんだ!
あの頃はまだ某~とか伏せ字を使っていたのであえて言わなかったのだが、この兄ちゃんってココリコの田中さん似なんだ。
だからなかなか特徴のある顔をしている。
二度目でもすぐにわかったよ。
や、やべえよ。ついに見つかったか!
どうする、ぷるん!!
「誰だっけ?」
一番忘れてはいけないやつが忘れちゃった!!
あんなことをしていてよく忘れられるな!
「私、モヒカン以外はあまり興味がないから」
そりゃモヒカンと比べれば普通だけどさ。
町中でヒャッハーなやつらがいたら、こんな兄ちゃん完全に埋没するけどさ。
忘れるなよーー。
「何の用だ!!!」
「え? いや、あの…」
「用がないなら帰れ!!」
開き直ったーーーー!
突然ぷるんが開き直っちゃった!!
突然スイッチがONになるからびっくりだよ!!
「いいか、クズ野郎。あの金は私のもんだ。さっさと帰りな!」
ぷるんのやつ、すでにサンドシャークを片づけているから強気だ。
立場的にはもうギルド所属だし、相手側から追及されるいわれもないんだよな。
しかし、盗人猛々しいとはよく言ったものだ。
実際悪人ほど自分を正当化するもんだしな。
俺たちって悪側なんだな…色は白いのにな。
「ついでだ。財布は置いていけ」
猛々しすぎるーーーー!!
相手から奪っただけでなくさらに財布まで要求するとは!!
まさに世紀末! 悪党万歳だ!
「ふふ、ふひひひっ、えへへへ!」
こわーーーーーー!!!
ひーーーー! なに!? なに!?
突然兄ちゃんが変な笑い声を出したぞ!
うぉお、怖い! ゾクっときたーーー!
「お、お金はいいんです。あんな金なんて…。それより、はぁはぁ、僕を仲間に入れてください」
エェェェエーーーーーー!!!
ちょっと何言ってんの!!
何この展開! ついていけない!
いや、それ以前にこの兄ちゃん、大丈夫なのか?
ちょっと目が変だ。おかしい。
一人称も私から僕になってるし!!
「金は持ってきたのか!!」
金を要求しちゃった!
「お、お金はありません。店を辞めてきたので…」
辞めちゃったーーーー!!
この人、責任取らされちゃったーーー!
心が、良心が痛い!!
俺たちと関わったばかりにこんなことに!
ちがう。俺は何もしていない。
ぷるんと関わったばかりにこんなことに!
「どうして辞める時に金を持ち出さなかった!」
倫理ーーーーー!!
道徳と倫理を学ぼうぜ!
重要だから! そういうの大切だから!
小学校で株を教える暇があったら倫理を叩き込もうな!
「倫理ー!」
ボコッ! ガスッ!
ぷるんが叫びながら兄ちゃんを殴る。
そういう意味じゃねーよ!!!!!
倫理を叩き込むってそういうことじゃねえからさ!!
「あの時、僕はシビレたんです。もうこの人しかいないって…」
ああ、終わったんだな。
この人の人生、あそこで終わったんだ。
人間ってさ、人生の節目に電撃を受けたような衝撃を味わうことがあるんだよ。
一目惚れはその典型的なものかな。
それはやっぱり人生の転機になるんだよな。
ただ、この人はやっちまったわけさ。
よりにもよってぷるんだしな。
こりゃやばいぜ。どうするぷるん、こいつお前に惚れちまったぜ。
結婚とか申し込まれちゃうぜ。
「僕を奴隷にしてください! はぁはぁ、またなじってください。はぁはぁ」
そっちかーーーーーー!
そっちね! そっちに行っちゃったのね!!
変な性癖目覚めちゃったよぉーーー!
「貴様のような変態が何の役に立つ!」
「何でもします! はぁはぁ、なんでも!」
「いいだろう。とりあえずお前の立場はヒツジ以下だ。それでもいいな」
「ふへへ、ヒツジ以下。家畜最高!」
いやぁああああああああああああああああ!!
やめて! 本当に無理! やめてよぉおおお!!!
こんな人、仲間にしたくないよーーー!!!!
RPGってさ、普通もっとちゃんとした人仲間にするじゃんか!
これは町の人を仲間にするレベルに近いぞ。
しかも町の変人がついてくるレベルだよ!
これだったらブライ爺さんのほうがいいよー。
「お前は今日から田中だ。いいな」
「はい! 喜んで!」
名前まで変えちゃった!
しかも当人は喜んでいるし!
この人の名前を一生知らないまま過ごすだろうな、俺たちは。
「じゃあ、ステータスを出せ」
出せるの!?
ええ!? ステータスって俺たちだけのものじゃないの!?
「みんな出せるよ」
全然特別感ねーよ!!
もっと「俺最強」みたいなの味わいたいよーー!
「大丈夫。シゲキ君は最強のネタヒツジだよ」
ネタってつけるなよ!!!
それつけただけで全然違う印象になるじゃねえか!!
そして田中さんがステータスを出した。
まあ、変な人でもちゃんと強いなら使いようが…
名前:田中
年齢:25歳
HP:5
MP:0
職業:無職
装備:汚い布
スキル:「うろたえる」
ただの無職だ!!!
俺はずっと危ないと思ってたんだ。
だって1だぞ? HPが1だ!
「!」
それ1じゃねーから!!
エクスクラメーションマークだから!
どう考えてもビックリマークでいいけどな!
この小説これないと成立しないからな!!
なっ!!!!!!!
「逆ギレだよ。自分で踏んだんじゃん」
そうだ。たしかに俺が踏んだ。
しかし砂漠に釘があるなんて普通は思わないぞ。
それは本当に災難だった。
でもどうして釘なんてあったんだ?
そりゃ誰かが落とす可能性もあるけどさ。
「砂漠に釘を投げ入れる儀式が毎月あるんだ」
毎月!? 毎年じゃなくて!?
それ、完全にサンドシャークに対するバッシングだって!
どんだけ頻繁にやってるんだよ。
「カップルが投げてサンドシャークが出てきたら末永く結ばれるんだって」
そりゃあいつも怒って当然だな。
ただでさえ閉じこめられて絶望しているのにそんな習慣ができたらマジギレするぞ。
どうやらサンドシャークが討伐指定されたのは、バカップルが「きゃっ、うふふ」「あはは、そーれ」とか大量の釘を投げ入れてキレたサメにボコボコにされたことが原因らしい。
うん、よくやったサンドシャーク。
そんなのボコボコにしたれ。
だんだんあいつに同情してきたぞ。
この世界って人間のほうが悪者だよな。
「レベルも上がったね」
俺はレベルが6になった。
一気に二つも上がるとさすがボスって感じはするな。
ぷるんは1上がってレベル4だ。
だが基礎能力が違うので差は縮まるどころか離れていく気がする。
こいつ、レベル3の段階でライアンのレベル20くらいに匹敵するからな。
ぷるんだけ優遇されている気がするが女の子だから仕方ない。
こういう世界では基本的に女の子優遇なのだ。
詳細はまた今度な。長くなりそうだしな。
まずはやることやっておこう。
「じゃあ、剥ぎ取りの続きだね」
サンドシャークから剥ぎ取れるのは、肉と歯とヒレと砂肝(すなぎも)だ。
砂肝ってのはあれだな。焼鳥屋とか行くとあるやつだ。
胃袋に砂や石などを溜めておいて、歯の代わりに使って消化を助ける部位のことだ。
まあ、魚にも持っているやつはいるからサンドシャークが持っていてもいいけどさ、やっぱりなって感じだよな。
砂だもんな。絶対あると思ったよ。
「あと皮膚もね。ざらざらしているところが高く売れるよ」
まさに本家鮫肌だ!!
サメの皮膚は普通の革と同じように使えるそうだ。
どうやら「おろし金」として使うのにも最適らしい。
普通に売ってもいいし、金が余っているようだったらアイテム素材にしてもいいかもな。
とりあえず確保しておいて損はない。
肉も食料として使えるし、サメは本当に役立つ生き物なんだなと実感する。
「じゃあ、帰るか」
素材をアイテム袋、素材君につっこむ。
うん、けっこう溜まったな。
結局サンドシャークだけで七種類くらい剥いだし、雑魚からも剥いだものがいくつかある。
仮に金が尽きてもこうした素材で金が稼げれば少なくとも飢えることはないな。
「シゲキ君は草があれば生きていけるしね」
「草食系だからな」
俺はぷるんのように肉食系ではない。
そういや草食系男子とかって今も言うのか?
俺はよく焼肉屋で軟弱なやつに対して「おまえらは草でも食ってろ」とか言って馬鹿にしていたけどな。
すまん。思えばそこまで馬鹿にする必要なかった。
今さらになってだが謝罪したい。
何より今の俺自身がリアル草食男子だからな。
草ンメェェエーーー!
町に着いた。
いや、言葉で言うと一言だけどさ、結局外で一泊しているんだよ。
一週間期限があって、今日はまだ三日目だ。
話数は進んだけどスキル関係とかで消費したから実際はあまり経っていないんだわ。
苦戦はしたがまだ少しは余力もあったし、俺たちって強いのかもしれないな。
その大半はぷるんの並外れた戦闘力に寄るところが大きいわけだが。
「シゲキ君も役に立ったよ」
「文字通りアイテムとしてな」
アイテム係だけではなく、俺自身がすでにアイテム化している。
合体攻撃でもドリル役だったし、重要だけどあまりおいしくない感じだった。
これ絶対某完璧超人からきているよな。
スクリュー・キッドだったっけ? そんなのいたな。
あいつは楽しんで自分からネジになっていたが、俺は特に楽しくなかったぞ。
立場的にはいわゆる岬君だな。
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最後にはアイテム化されてとんだ目に遭うのだ。
新田君はどうしたって?
うん、まあ5の時はがんばったと思うぞ。
それでもあまり存在感なかったけどな。アルシオンがいたし。
「素材売りに行くか?」
アイテム袋ってどうなってるんだろうな?
とりあえずアイテムは腐らないらしい。
スターオーシャンとかは料理が傷んだ記憶があるが、ああいうのは稀だよな。
「その前に報告だね。ギルド行こう」
おっと、そうだった。
まずはこちらの用事が最優先だった。
これで晴れて無罪放免か。まったく災難だったよ。
それもすべてはぷるんのせいだが…
「ようやく見つけましたよ」
俺たちがギルドの前まで行くと、フードをかぶった一人の男に出会った。
最初誰に言っているのかわからなかったが、どうやら俺たちに言っているようだ。
誰だ、こいつ?
もしかして元の世界の知り合いか?
「私を忘れたわけではないでしょう?」
男がフードを取る。
「私は! 私はあのとき…うぐもがっ!」
そこはかっこよく脱ごーーー!!
普通こういうときはさ、ばばっと脱ぎ捨てるもんだよな。
絡まって動けないってあまりにもリアルだろう。
「脱げない! 脱げない!」
「大変だー、シゲキ君、助けよーよー」
って言いながらぷるんがフードをさらに巻き付けてるーーー!
男はぐるぐる巻きになって地べたに這いつくばる。
なんで巻いたんだよ、お前は!?
「よかれと思って」
何がーーーーー!?
何が良いと思ったの!?
「この人、シゲキ君より下の芸人だね。キレがないよ」
だから芸人じゃねーし、ネタでもねーよ!!
一般人の行動を全部ネタとして捉えるのやめろよな!!
こういうのって、あるよな。
小さいサークルとか集まりの中だけしか通用しないネタというかさ。
それをいきなり他人に適用して完全に浮いてしまう、という場面をよく見かける。
それはそれでいいんだが、それが世界共通だと思っちゃいかん。
あくまでマイノリティであることを自覚しないと、ぷるんのようになるから注意しろよ!
で、この人は大丈夫か?
「ふーー、ふーーー!」
何か鼻息が荒い!!
この人何か中で興奮しているんですけど!
「私です。覚えているでしょう」
ようやくフードを脱いで素顔が出る。
「あ、あんたは!!」
俺は驚愕した。
その顔は忘れもしない、あの素材屋と間違えた店の兄ちゃんだ!
あの頃はまだ某~とか伏せ字を使っていたのであえて言わなかったのだが、この兄ちゃんってココリコの田中さん似なんだ。
だからなかなか特徴のある顔をしている。
二度目でもすぐにわかったよ。
や、やべえよ。ついに見つかったか!
どうする、ぷるん!!
「誰だっけ?」
一番忘れてはいけないやつが忘れちゃった!!
あんなことをしていてよく忘れられるな!
「私、モヒカン以外はあまり興味がないから」
そりゃモヒカンと比べれば普通だけどさ。
町中でヒャッハーなやつらがいたら、こんな兄ちゃん完全に埋没するけどさ。
忘れるなよーー。
「何の用だ!!!」
「え? いや、あの…」
「用がないなら帰れ!!」
開き直ったーーーー!
突然ぷるんが開き直っちゃった!!
突然スイッチがONになるからびっくりだよ!!
「いいか、クズ野郎。あの金は私のもんだ。さっさと帰りな!」
ぷるんのやつ、すでにサンドシャークを片づけているから強気だ。
立場的にはもうギルド所属だし、相手側から追及されるいわれもないんだよな。
しかし、盗人猛々しいとはよく言ったものだ。
実際悪人ほど自分を正当化するもんだしな。
俺たちって悪側なんだな…色は白いのにな。
「ついでだ。財布は置いていけ」
猛々しすぎるーーーー!!
相手から奪っただけでなくさらに財布まで要求するとは!!
まさに世紀末! 悪党万歳だ!
「ふふ、ふひひひっ、えへへへ!」
こわーーーーーー!!!
ひーーーー! なに!? なに!?
突然兄ちゃんが変な笑い声を出したぞ!
うぉお、怖い! ゾクっときたーーー!
「お、お金はいいんです。あんな金なんて…。それより、はぁはぁ、僕を仲間に入れてください」
エェェェエーーーーーー!!!
ちょっと何言ってんの!!
何この展開! ついていけない!
いや、それ以前にこの兄ちゃん、大丈夫なのか?
ちょっと目が変だ。おかしい。
一人称も私から僕になってるし!!
「金は持ってきたのか!!」
金を要求しちゃった!
「お、お金はありません。店を辞めてきたので…」
辞めちゃったーーーー!!
この人、責任取らされちゃったーーー!
心が、良心が痛い!!
俺たちと関わったばかりにこんなことに!
ちがう。俺は何もしていない。
ぷるんと関わったばかりにこんなことに!
「どうして辞める時に金を持ち出さなかった!」
倫理ーーーーー!!
道徳と倫理を学ぼうぜ!
重要だから! そういうの大切だから!
小学校で株を教える暇があったら倫理を叩き込もうな!
「倫理ー!」
ボコッ! ガスッ!
ぷるんが叫びながら兄ちゃんを殴る。
そういう意味じゃねーよ!!!!!
倫理を叩き込むってそういうことじゃねえからさ!!
「あの時、僕はシビレたんです。もうこの人しかいないって…」
ああ、終わったんだな。
この人の人生、あそこで終わったんだ。
人間ってさ、人生の節目に電撃を受けたような衝撃を味わうことがあるんだよ。
一目惚れはその典型的なものかな。
それはやっぱり人生の転機になるんだよな。
ただ、この人はやっちまったわけさ。
よりにもよってぷるんだしな。
こりゃやばいぜ。どうするぷるん、こいつお前に惚れちまったぜ。
結婚とか申し込まれちゃうぜ。
「僕を奴隷にしてください! はぁはぁ、またなじってください。はぁはぁ」
そっちかーーーーーー!
そっちね! そっちに行っちゃったのね!!
変な性癖目覚めちゃったよぉーーー!
「貴様のような変態が何の役に立つ!」
「何でもします! はぁはぁ、なんでも!」
「いいだろう。とりあえずお前の立場はヒツジ以下だ。それでもいいな」
「ふへへ、ヒツジ以下。家畜最高!」
いやぁああああああああああああああああ!!
やめて! 本当に無理! やめてよぉおおお!!!
こんな人、仲間にしたくないよーーー!!!!
RPGってさ、普通もっとちゃんとした人仲間にするじゃんか!
これは町の人を仲間にするレベルに近いぞ。
しかも町の変人がついてくるレベルだよ!
これだったらブライ爺さんのほうがいいよー。
「お前は今日から田中だ。いいな」
「はい! 喜んで!」
名前まで変えちゃった!
しかも当人は喜んでいるし!
この人の名前を一生知らないまま過ごすだろうな、俺たちは。
「じゃあ、ステータスを出せ」
出せるの!?
ええ!? ステータスって俺たちだけのものじゃないの!?
「みんな出せるよ」
全然特別感ねーよ!!
もっと「俺最強」みたいなの味わいたいよーー!
「大丈夫。シゲキ君は最強のネタヒツジだよ」
ネタってつけるなよ!!!
それつけただけで全然違う印象になるじゃねえか!!
そして田中さんがステータスを出した。
まあ、変な人でもちゃんと強いなら使いようが…
名前:田中
年齢:25歳
HP:5
MP:0
職業:無職
装備:汚い布
スキル:「うろたえる」
ただの無職だ!!!
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