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第一章 始まり
会議紛糾す!!
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▼ 会議
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前回と同じ甲種会議室
「えっ、では前回同様、調査室の私の方から始めさせて頂きます。
まず結果報告から先にさせて頂きます。」
「ちょっと、待ってくれ、君の所の局長が見えないようだが...」
中には知っている者、何となく気づいている者もいるようだが知らない者もいるようで人口管理局の局長がいないことを不審に思ってるものもいるようだ。
「それもこれから説明いたしますのでお座りください。」
「夏目和人の配属先、偽造については犯人が判明しました。もうすでに処分も決定していますのでお伝えします。」
「偽造した犯人は人口管理局の事務次官でした、理由は嫉妬によるものだと自白しております、この件は陛下裁定なり、国賊との判断が出ましたので、規定により国家反逆罪として私財没収の上、死刑が確定しました。家族については犯罪労働者として早島鉱山への送致と決定しました。」
「局長以外の上層部は全て減給処分となっております、局長は懲戒免職との処分が出ていましたが、先日の交渉の折、減刑の請願がご本人である夏目様から出されましたので自己都合による退職となりました。」
「今回のもみ消しの件は、ご本人、御国母様から同意を得られました。」
皆、隣の人と話したりしてざわざわとしだした。
「ちょっといいかな...」
総理が発言したそうだ...
「総理の発言があります、静かにご清聴をお願いします。」
「うん、なんだ、ここまでの経緯は私は事前に知っていましたからいいのですけど、はっきり言えば口止め料は幾らに決まったの?、あの時は限度なしとは言ったけど...
流石に財政的には限度があるだけで...」
「えっ、決まってないの?、決めずの署名したのかしら...」
「はい、署名、捺印は双方から頂いております。」
「調査部長、いったいどうなってるの?」
「はい、金額については御国母様は本人の事だから本人に任せるとおっしゃいまして、ご本人の夏目様は要らないと...どうしてもというと適当でと、あまりしつこく言うとご気分を害して同意が得られなくなっても仕方ないので金額は抜きで交渉しました。
それでどこから支出されるのかは知りませんが支出される所で決めてもらえればと思いますが...」
「それは無責任すぎないかね、金額を決めるのが仕事でしょう」
如何やらお金は内閣官房費から出るようだ、官房長官が目の色を変えて吠えてきた。
「私が受けたまわった仕事は事件の調査と事件の隠ぺいの同意を得る事であって金額を決める事ではないと理解しております。」
「そんなの、あんたの屁理屈よ!」
「まあ、まあ、官房長官、ここで言い争っても仕方がない、ここで金額を決めようじゃないの、いくら位なら適当かね。」
「通常の事件の隠ぺいなら数百万~一千万と言ったところでしょうか?」
『おい、おい、そりゃ安すぎでしょう。いくら要らないと言われたからケチりましたでは今後の要請に響くと思うわ。
それとも政府は今後一切、彼には関わらないつもりなのかしら...』
「そうですわね、今回は一歩間違えば国が大変なことになっていたかもしれないわね、それを考えると余りケチる訳にもいけませんわね。」
「うーん、どうしたものかしら...5千万?」
「安すぎないかしら、今後の事も考えたら1本ぐらい出したほうが良いんじゃないですか」
「そうですわね、それくらいなら金額的にも問題はないですし、いいでしょう。」
「はいでは私の方で支出するように手配しておきましょう。」
総理の決定に従い官房長官の方で送金の手続きを行うようだ。・
「では、金銭的な物はそれでよしとして後は彼が実際の女性に対して射精能力があるかどうかが問題ですね、退院前に献精させるのでしょう。
その際はなるべく若くて美人の子を用意するように、出来れば彼の好みを聞き出しておくと良いわね。」
「病院の看護師は比較的年齢が高いから今回は特例として外部から若い子を連れてきてもいいわね、もう、この際年齢は気にしなくていいわ、シングルが希望なら構わないから用意するように...良いわね部長、今回はあなたが担当しなさい。」
「彼の対象年齢は13歳~40代までだそう、それ以下には興味がない、後ろから見て男か女かわからないような子には興味はないと。。
それに、射精能力に関してはその心配はないと思います。」
「えっ、どうい事かしら!」
「えぇ、彼、夏目様は担当の女医とすでに性交渉に及んでいますのでその点は問題ないでしょう、女医側と夏目様と双方に確認を取っております。
夏目様から署名の件で呼ばれた時に先に医師に様子を聞こうと思いまして尋ねたら様子が変でしたので聞いたところ白状しました。」
「あぁ、担当医が患者を犯したって言うの?、彼はどう?、落ち着いている、ストレスでPTSDを発症しないかしら...」
「それは大丈夫の様です、本人が供述するには3カ月も鉱山にいてたまっていたそうです、医師が診察の為に近づいて来たので、むらってきて押し倒したら大した抵抗はなかったのでそのまま情事に及んだようです。
医師としても押したされた時点では自分の年齢もあり揶揄われているとおもい、口では多少抵抗したみたいですが...まあ、そのまま情事に及んでしまったと。」
「な、なんと医師は30は過ぎているだろうに、それを押し倒すほど欲求があったとはこれは頼もしいな...きちんと射精はあったのよね。」
「医師に確認した所、膣内には体位を変えながら計2回続けて射精したそうです、2回目でも射精量は通常男子の数倍はあったそうであふれ出た精液は保存してあり検査して見る事でした、医局に戻って来てからこぼれて来ただけで8mlほどあったそうですから相当と言えます。」
「2回ってそれは本当なのかしら、ほら吹いてんじゃないの、それに何mlとかいわれても分からないわ、それはどうなの?」
「厚労省の繁殖課長、その辺はどうなんだ?」
総理の問いに生殖振興課の矢口はちょっとムスとしながら立ち上がった。
繁殖課長と言われたのが引っかかったのだろう、20代にして課長になった出世頭なのでプライドも高いのだろう。
「総理、失礼ですが、私は繁殖課ではございません、あくまで医政局研究開発部、生殖振興課の課長です、役職は大事なのでお間違えない様お願いします。
さて、量ですが現在の18歳男性の平均ですが1回の射精量は0.2ml~最大でも1mlに満たないとなっております、これは旧体制時代の時の半分以下となっています。
彼の精液の量が本当かどうかは退院するまでには分かりますからそれを待てばいいかと思います。」
「まあ、何にしろ、それだけの精力と元気があれば使い勝手はいい、こちらとしては願ったりかなったりな状況だな。」
総理は取らぬ狸の皮算用をしながらうっすらと黒い微笑みを浮かべている。
和人さんはそんな性欲馬鹿の種馬じゃないわ、きっちりと自分の状況を分かっているそう、簡単には行かないのを理解出来ていないわ。
「総理、それは早計かと思います。
彼は自分の特異性と価値、そして国際情勢、政治の状況を十二分に理解しています、これはこう言ってました。『政治家は政治の取引の駒として使おうとするだろう、ま、せいぜい俺を利用するといい、但しただでは使われるつもりはないけどね。』
総理、彼はかなりやり手です、16歳と若者と思って当たると痛い目に遭います、今後誰が彼を担当するは分かりませんが、その事を十二分に理解して当たる様にお申し付けください。
一歩、間違えば彼は平気で亡命しますよ、彼はその事を一言も口に出す事はありませんでしたが、その代わりに資料に乗ってない事があります。
彼は英語、ルシア語、チャイ語、スペニッシュ語を日常会話以上に話せるからと言っていました。」
「それは君の買い被りではないのかね...」
「そうは思いません。」
先ほどの厚労省の課長が間に割って入ってきた。
「どっちにしても用心に越した事は無いのではないですか?、普通なら今回の交渉事なら先に声鷹高に非難して和解金を釣り上げるのが普通です、余裕がる家庭であってもです、自分が不当に苦労したのだから...それを局長の減刑の請願書を出す時点で16の子供とは思えないんです。」
「うん、そりゃそうだわ、あぁ、そうかもしれない、用心に越したことはないわ」
出席者のそれぞれが用心論に声を上げて言い出した。
「それと気になる点がもう一つ、裏面にある手書きの追加項目は何でしょう。
『乙は甲の特定交際者となる事に同意した、なお正式な書面は献精後、確認が取れた時点で特定交際者契約書に署名捺印する事とする。』
乙にあなたの名前があるのはなに?、どうして?、金銭を沢山引っ張る様に裏取引でもしたの?、あなた犯罪よ。自分の歳を考えているの?」
『えぇーーーっ、自分の歳考えてないのかしら...こういうのを厚顔の恥知らずって言うのよね』
「うわーーーっ、きゃーーーっ、本当なの?、あぁぁ代わりたい。」
一部で変な声も聞こえたが、この日、一番の騒ぎとなった...
「し、静かに...こら静粛にしなさい...パンパンパン、静かにして.....」
官房長官が大声を上げて静めようとするが一向に静まる気配はない。。。
はあ、騒がれるとは思ったけどここ迄とは...分からないでもないのよねぇ、立場が逆だったら掴みかかっていたのかも知れない...
今私は数人の肉食獣に囲まれている、うっかりとした言葉を発しただけで袋叩きに会いそうな状況だ...和人さん助けて…
「管理局部長、きちんと皆にもわかるように説明して頂戴」
「はい」
「書面に署名捺印を貰いに行った際に最後の条件として先の件を追加すると言われました。私は辞退して若い子を紹介する旨を告げたのですが、彼の強い要望もあって、お国の為ならばと泣く泣く了承した次第です。」
「はぁ、泣く泣く、お国の為?、ふん、笑させないで...
部長!!、本当の事を言いなさい、嘘ついたら処分するわよ。」
「はい、一度断ったのは事実です、でも、正直なところはそりゃもう、天にも昇る気持ちでした、男性を知らないまま生涯を終える覚悟を決めておりましたが光明が差してきたのです、これを喜ばない訳がございません。」
「はぁ、なるほどね、だから対象者の事が夏目様から彼に呼び方が変わった訳ね、良~くわかりました。」
「強姦されて署名するとは思えないし本当の事なんでしょうね。
ま、いいわ、ただ今を待って人口管理局調査部、部長の職を解任し、内閣府直属の生殖者支援推進局局長兼男性専任補佐官に命じます。
支援推進局の局長は人口管理局の局長が兼任してたから空いているわあなたがやってちょうだい、専任補佐官の担当はあなたの彼ね。
後で少しお話ししましょう。」
「はい、受け賜ります。大日本神国の為、誠心誠意努めさせて頂きます。」
「そ、総理、不味くはありませんか、事実なら部長は、いえ、彼女は夏目様の特定交際者です、神国の為ではなく彼の為に働くのでは...」
「あら、彼女が彼の為に働いているかいないかは直ぐにわかる事じゃない、無能なら罷免すればいい事、反対のことをするような国家反逆罪よ、それぐらい彼女も分かっているわ。
それに親しいほど意見は通しやすいと思うの...夏目様が彼女に傾倒してくれればこちらにはさらに有利よ、大丈夫、彼女はちゃんとやるわよ、国の為にも愛する彼の為にも両方にメリットがある様に動くはずよ。」
流石に総理だけあって有希子の性格は見抜いていた、恐らく両方の得になる様に働くだろうと..ただ念のために釘をさしておくのは忘れていない。
「では人口管理局の局長も任せるのですか?、それでは不満の声を抑えきれません」
厚労省の局長として少しで派閥を増やしたくてたまらなかった。
何言ってんのかしら、あなたが不満なんでしょ。あなたの子飼いを入れたいのは十分に分かっているけど駄目...管理局に無能は要らない、不祥事の後は盛り返せるだけの人間を入れなきゃ。。
「あら、私は彼女を人口管理局の局長を任せるとは一言も言っていませんよ、今までが兼任していたからと言って今後も兼任する訳ではないの、後任には適任者を他の意見を聞いてから採用するわ」
総理にそう言われては言い返す理由が無くなってしまい黙るしか厚労省の局長には手はなかった。
そもそも厚労省と人口管理局はある程度内容がかぶる点もあり両省間で見えない綱引きが常にされており、今回の管理局の不祥事は厚労省にとっては朗報だったがそれももみ消されてしまい、不満の碑がくすぶっていた...
くすぶっている火を焚きつけると後は破滅しか残らないのを可能所は分かっていない。後悔先に絶たずって奴である。
応援ありがとうございます!
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