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11、社交の場=見合い会場

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大昔の地球の風習や貴族を題材にした作品などと違い、この世界に幼少期から決まった婚約者、というのはいない。
ほんとあれがあったら、これからの計画に多大な邪魔になっていただろう。
子の幼少期に家族間で婚約者を決めることは、世間に知られるとある種の恥となるようだ。
15歳以降の社交の場=見合い会場などからの恋愛結婚推奨とのこと。
だがそのせいで、学園に入ったばかりの学生達の一定数の目が怖い。
良き縁を、早期に婚約者や伴侶を、玉の輿を……などといった感じで血走っている。
教師もそれら様子に慣れているようで、午後のダンスやお茶会の時間には、鎮静系の魔法で雑に対処していたりしていた。
実際、格式が高く、容姿が整っているアンも、何人もの男子に声をかけられて、厚底に見える眼鏡をシェルに用意してもらい、なんとか一息ついた。
だが、基本的にゆるい学園生活を過ごしていると徐々に血走りも薄れてくる。
肩の力も抜け、自然体に学園生活を過ごすようになる。

そうするとしっかりとした立場のある奴らは、ゆるゆると動き出す。
午後のダンスやお茶会の時間に、一歩引いていたトライアルグルゾーンの三人などが、己達から声をかけだした。
学園に慣れてきたからなどといった態度で、周りに溶け込むように人隣を探り出す。
身分、容姿とある一定基準を満たしている相手の周りから懐柔し、相手の内側を探っていたりしている。

それに気付きシェルに頼み、眼鏡に何か付けれないかと相談した。
認識阻害だと授業に支障を来たしてしまうので、そういった何かのエンチャント的なものはないかと。
奴らの目から、極力避けたい。
婚約者として置いておくには、アンは適当な存在だからだ。
少し考えたシェルは、知り合いに付与魔法の得意な奴がいると、そいつに相談してくると、翌朝旅立った。
夕方に帰ってくると、新たな眼鏡を用意していた。
それは、認識阻害の発動する相手を選べるという凄い代物だった。
まだ未発表の実験段階ではあるが、八割方は完成しているから、精度は保証できるらしい。
しかも、発表するのは三年後の超機密商品。
治験報告が欲しいと、月一で報告書を書くのだと。
書くのは、シェルがやるから報告すれば良いだけだ。
そんな業物を二国先の国から、その日の内に持ってくるシェルの底力が素晴らしいとひたすら絶賛した。
少し、ほんの少しだけテレた、シェルが可愛かった。
これで、学園生活=勉強がスムーズに出来る。
シェル最高!
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