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悪の女幹部7
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「はぁはぁはぁはぁ」
女番長さんが息を整えています。
どうやら叫び疲れたようです。
けれど、そのおかげで私にも女番長さんが何を問題視しているか理解できました。
しかし、同意したわけではありません。
「女番長さん」
「はぁはぁはぁ……なんだ?」
「そういうのよくないと思います」
「はぁ?」
「性差別はよくありません。弟さんがかわいそうです」
確かに、これはデリケートな問題です。
けれど、だからこそ、家族は味方になってあげるべきだと、私は思います。
「同性愛だからと言って、頭ごなしに反対しては、弟さんも悲しむでしょう。海外では、同性愛者の結婚を認める国もあると聞きます。もう少し、弟さんの恋愛に理解を示してあげてはいかがでしょうか」
「待て待て待て待て! そういう話じゃないんだって!」
私が女番長さんに苦言を呈すると、女番長さんが慌てて否定してきました。
そういう話ではないと言っていますが、いったい何が違うというのでしょうか。
「弟は数日前までノーマルだったんだよ! それが急に女装をしだしたんだ! それまでは、普通に女の子に興味を持っていて、スカートめくりとかもしていたんだよ!」
「ふむ」
急に女装をしだしたということは、突然、目覚めたということでしょうか。
あるいは、それまで我慢していたのが、我慢できなくなったという可能性もあります。
しかし、そういうことであれば、話は簡単です。
「弟さんが性転換を希望しているなら、伝手がありますよ。紹介しましょうか?」
知人のゲイバーの店長さんのお店には、撤去済みの人達がいたはずです。
その人達に聞けば、よい病院を紹介してもらえると思います。
だから提案してみたのですが、女番長さんは怖ろしいものを見るような目でこちらを見てきます。
ついでに、女番長さんの取り巻きの人達が、なぜか内股になっています。
「なんて、怖ろしいことを言いやがる! そんなことをしたら、あっくんがあたしと結婚できなくなるだろ!」
女番長さんがこちらに向かって叫びます。
『あっくん』というのは弟さんのことでしょうか。
どうやら女番長さんは、弟さんが小さい頃に言っていたという『お姉ちゃんと結婚する』という言葉を、いまだに信じているようです。
日本で近親婚は難しいと思いますが、仲が良い姉弟は微笑ましいです。
私が生暖かい目を見ていると、それに気付いた女番長さんが、頬を染めて咳払いしました。
「こほん! とにかく、弟はノーマルだったんだ。それが数日前に痴女に無理やり女装させられて以来、自分から進んで女装するようになっちまった。あたしは、その痴女を捜しに来たってわけだ」
なるほど。
ようやく、話が最初の話題に繋がりました。
「弟さんの隠れた性癖を目覚めさせてくれた人に、お礼を言いに来たというわけですか」
「なんでだよ! 余計なことをしたソイツに、仕返しをしに来たんだよ!」
「でも、心の底にそういう願望がないと、一度女装させられたくらいで、そうはならないでしょう。弟さんには、もともとそういう秘めた願いがあったのでは?」
「……そうなのか?」
「だって、考えてもみてください。女装くらい、学園祭の出し物とかでありがちじゃないですか。一度女装したくらいで目覚めていたら、世の中はそういう人達で溢れ返っているはずですよ」
「むぅ」
私の言葉に、女番長さんは考え込みます。
葛藤しているようです。
弟さんの性癖を認めるかどうか、悩んでいるのでしょう。
「もちろん、弟さんの性癖が一時の気の迷いという可能性もあります。今は弟さんを温かい目で見守ってあげるときではないでしょうか?」
「そう……かもな」
私は女番長さんにアドバイスをします。
人々の願いを叶える手伝いをするのは、魔女っ子の役目です。
弟さんに会ったことはありませんが、女の子になりたいという願いを手伝おうと思います。
「弟さんと結婚したいという女番長さんの気持ちもわかります」
「それは忘れろ」
「でも、弟さんの意思を尊重してはどうでしょう。もし、弟さんに男の子に戻って欲しいのであれば、反対するのではなく、今までより仲良くしてあげた方がいいと思います。お姉ちゃんと結婚したいと思えば、女の子よりも男の子になることを選ぶと思います」
「だから、それは忘れろ。でも、そうだな。痴女に仕返しするより、弟を見守った方がいいかも知れないな」
私の言葉に女番長さんが理解を示します。
これで弟さんの願いが一方的に反対されることはないと思います。
よい感じで話が終わりそうです。
「ねえ、キララさん。ちょっと思い出したんだけど……」
話が終わったと思ったのか、後ろで私と女番長さんの会話を聞いていたおっぱいお化けが、私に話しかけてきました。
「話に出てきた弟さんって、電車で痴漢してきた小学生のことじゃないかな? ほら、キララさんが女装させた子」
なにを言い出すかと思えば、的外れもいいところです。
「そんな訳ないじゃない。だって、私は痴女じゃないわ」
「うん、そうなんだけどね。でも、キララさん、魔女っ子衣装着ていたって言っていたし」
「魔女っ子衣装は、恥ずかしい服じゃないわ」
「うん、そうなんだけどね。でも、周りの人から見たら――」
「恥ずかしくないわ」
「う、うん。そうだね」
「そうよ」
「そうだね」
「…………」
「…………」
「ごめん。私の勘違いだったみたい」
「いいえ、かまわないわ」
おっぱいお化けは納得したようです。
確かに、登場人物が痴女であるという点を除けば、似たような話です。
おっぱいお化けが勘違いするのも仕方がないでしょう。
おっと、いけません。
仲間内にしか分からない話をして、女番長さんをほったらかしにしてしまいました。
といっても、女番長さんの捜し人に関する会話はほとんど終わっています。
話を締めて、立ち去ることにしましょう。
そう思って女番長さんを見ると、なぜか彼女は目を吊り上げて女番長さんがこちらを見ていました。
「おまえかあああぁぁぁ!!!」
女番長さんの叫びが響き渡りました。
女番長さんが息を整えています。
どうやら叫び疲れたようです。
けれど、そのおかげで私にも女番長さんが何を問題視しているか理解できました。
しかし、同意したわけではありません。
「女番長さん」
「はぁはぁはぁ……なんだ?」
「そういうのよくないと思います」
「はぁ?」
「性差別はよくありません。弟さんがかわいそうです」
確かに、これはデリケートな問題です。
けれど、だからこそ、家族は味方になってあげるべきだと、私は思います。
「同性愛だからと言って、頭ごなしに反対しては、弟さんも悲しむでしょう。海外では、同性愛者の結婚を認める国もあると聞きます。もう少し、弟さんの恋愛に理解を示してあげてはいかがでしょうか」
「待て待て待て待て! そういう話じゃないんだって!」
私が女番長さんに苦言を呈すると、女番長さんが慌てて否定してきました。
そういう話ではないと言っていますが、いったい何が違うというのでしょうか。
「弟は数日前までノーマルだったんだよ! それが急に女装をしだしたんだ! それまでは、普通に女の子に興味を持っていて、スカートめくりとかもしていたんだよ!」
「ふむ」
急に女装をしだしたということは、突然、目覚めたということでしょうか。
あるいは、それまで我慢していたのが、我慢できなくなったという可能性もあります。
しかし、そういうことであれば、話は簡単です。
「弟さんが性転換を希望しているなら、伝手がありますよ。紹介しましょうか?」
知人のゲイバーの店長さんのお店には、撤去済みの人達がいたはずです。
その人達に聞けば、よい病院を紹介してもらえると思います。
だから提案してみたのですが、女番長さんは怖ろしいものを見るような目でこちらを見てきます。
ついでに、女番長さんの取り巻きの人達が、なぜか内股になっています。
「なんて、怖ろしいことを言いやがる! そんなことをしたら、あっくんがあたしと結婚できなくなるだろ!」
女番長さんがこちらに向かって叫びます。
『あっくん』というのは弟さんのことでしょうか。
どうやら女番長さんは、弟さんが小さい頃に言っていたという『お姉ちゃんと結婚する』という言葉を、いまだに信じているようです。
日本で近親婚は難しいと思いますが、仲が良い姉弟は微笑ましいです。
私が生暖かい目を見ていると、それに気付いた女番長さんが、頬を染めて咳払いしました。
「こほん! とにかく、弟はノーマルだったんだ。それが数日前に痴女に無理やり女装させられて以来、自分から進んで女装するようになっちまった。あたしは、その痴女を捜しに来たってわけだ」
なるほど。
ようやく、話が最初の話題に繋がりました。
「弟さんの隠れた性癖を目覚めさせてくれた人に、お礼を言いに来たというわけですか」
「なんでだよ! 余計なことをしたソイツに、仕返しをしに来たんだよ!」
「でも、心の底にそういう願望がないと、一度女装させられたくらいで、そうはならないでしょう。弟さんには、もともとそういう秘めた願いがあったのでは?」
「……そうなのか?」
「だって、考えてもみてください。女装くらい、学園祭の出し物とかでありがちじゃないですか。一度女装したくらいで目覚めていたら、世の中はそういう人達で溢れ返っているはずですよ」
「むぅ」
私の言葉に、女番長さんは考え込みます。
葛藤しているようです。
弟さんの性癖を認めるかどうか、悩んでいるのでしょう。
「もちろん、弟さんの性癖が一時の気の迷いという可能性もあります。今は弟さんを温かい目で見守ってあげるときではないでしょうか?」
「そう……かもな」
私は女番長さんにアドバイスをします。
人々の願いを叶える手伝いをするのは、魔女っ子の役目です。
弟さんに会ったことはありませんが、女の子になりたいという願いを手伝おうと思います。
「弟さんと結婚したいという女番長さんの気持ちもわかります」
「それは忘れろ」
「でも、弟さんの意思を尊重してはどうでしょう。もし、弟さんに男の子に戻って欲しいのであれば、反対するのではなく、今までより仲良くしてあげた方がいいと思います。お姉ちゃんと結婚したいと思えば、女の子よりも男の子になることを選ぶと思います」
「だから、それは忘れろ。でも、そうだな。痴女に仕返しするより、弟を見守った方がいいかも知れないな」
私の言葉に女番長さんが理解を示します。
これで弟さんの願いが一方的に反対されることはないと思います。
よい感じで話が終わりそうです。
「ねえ、キララさん。ちょっと思い出したんだけど……」
話が終わったと思ったのか、後ろで私と女番長さんの会話を聞いていたおっぱいお化けが、私に話しかけてきました。
「話に出てきた弟さんって、電車で痴漢してきた小学生のことじゃないかな? ほら、キララさんが女装させた子」
なにを言い出すかと思えば、的外れもいいところです。
「そんな訳ないじゃない。だって、私は痴女じゃないわ」
「うん、そうなんだけどね。でも、キララさん、魔女っ子衣装着ていたって言っていたし」
「魔女っ子衣装は、恥ずかしい服じゃないわ」
「うん、そうなんだけどね。でも、周りの人から見たら――」
「恥ずかしくないわ」
「う、うん。そうだね」
「そうよ」
「そうだね」
「…………」
「…………」
「ごめん。私の勘違いだったみたい」
「いいえ、かまわないわ」
おっぱいお化けは納得したようです。
確かに、登場人物が痴女であるという点を除けば、似たような話です。
おっぱいお化けが勘違いするのも仕方がないでしょう。
おっと、いけません。
仲間内にしか分からない話をして、女番長さんをほったらかしにしてしまいました。
といっても、女番長さんの捜し人に関する会話はほとんど終わっています。
話を締めて、立ち去ることにしましょう。
そう思って女番長さんを見ると、なぜか彼女は目を吊り上げて女番長さんがこちらを見ていました。
「おまえかあああぁぁぁ!!!」
女番長さんの叫びが響き渡りました。
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