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暴走する「反差別」。

6.女装男を女子トイレに入れなければ差別。

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「トランス女性」を男性扱いしたり、「トランス男性」を女性扱いしたら性別錯誤ミスジェンダリングだ。

あるいは、「SOGIソジハラ」ともいう――つまり、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)をもとにしたハラスメントである。

当然、トイレや更衣室なども性自認に基づいたものを使わせなければ「性別錯誤ミスジェンダリング」「SOGIハラ」だ。

二〇二一年・六月――アメリカ連邦最高裁判所は、「トランス男性」に男子トイレを使わせないことは憲法違反だという判決を下した。

裁判は六年に亘って行なわれたものだ。原告の名はギャビン゠グリム――裁判が始まった当時、高校生だった。入学当初は、男子トイレを使うことが許されていたという。しかし、やがて保護者からクレームが入る。そして、女子トイレか多目的トイレを使うよう学校から指導された。

訴訟は二〇一五年に始まる。連邦初等裁判所では敗訴したものの、連邦控訴裁判所では訴えが認められる。そして、最高裁判所で判決が確定した。

同年十二月には、同じ判決がミズーリ州で出る。

原告の「トランス男性」は、二〇一四年に「法律上の」性別を変更した。だが、男子トイレや男子更衣室の使用は中学校でも高校でも認められなかった。

裁判の結果、ミズーリ州・ジャクソン郡の陪審員たちは、四百万ドル(四億五千万円)の賠償金の支払いを学校に命じる。

同じ裁判は日本でも起きている。

二〇一五年――経済産業省に勤める官僚が国を相手に裁判を起こす。

原告は「女性を自認する」男性だ。性同一性障碍の診断を受けているものの、「健康上の理由から」性別適合手術を受けられないという。そのことは二〇〇九年に職場に伝えた。結果、女装して通勤し始める。だが、女子トイレの使用は認められなかった。

裁判は、これを不服として起こされたものだ。

二〇一九年――東京地方裁判所は、「女子トイレ使用の制限は、自認する性に即した生活を送る利益を制約し、違法である」という判決を下す。

ただちに国は控訴した。

二〇二一年――東京高等裁判所は判決を覆す。すなわち、「他の職員が持つ性的羞恥心や性的不安を鑑み、適切な職場環境を築く責任を経産省は負っている」「職務上の義務を怠ったとは言えず、違法性は認められない」としたのである。

判決に対し、東京弁護士会は「性的少数者が抱える困難に向き合わず、時代に逆行する判断」と非難。「自認する性別に即した社会生活を送る法的利益の重要性を軽んじている」とした。

弁護士の立石結夏は、判決文にある「性的羞恥心や性的不安」という言葉を Web 日本評論で批判した。

「これは、人の属性のみで判断し、その人が怖い、『外国人が怖い』『黒人が怖い』『ムスリムが怖い』から、トイレを分けるのは正しいのだというに等しい。トランスジェンダーと一緒なのは不安だろうから女性を守ってあげよう、という論理は、どんなに説明を尽くしてもしても、トランスジェンダーへの差別に加担するものでしかない。」
https://www.web-nippyo.jp/26178/

一方で、原告はツイッターもやっている。

そこには、次のつぶやきが投稿されていた。





こんなことをつぶやいている男性を「女性の心がある」と思う人がどれだけいるだろう。

しかしそんなことを言うと、彼の取り巻きから、「女性は下ネタを言ってはいけないと言うのか」と反論されてしまうのがオチなのだ。

ちなみに、私はこの人から「おかまさんには用事ありません」と言われたことがある。


また、差別クリエイター・松岡は、Yhooニュースに載せられた記事で以下の事例を紹介していた。

『「君は女ではないと言われているようで...」トランスジェンダー女性教諭が女子トイレを使えない理由とは』
https://news.yahoo.co.jp/byline/matsuokasoshi/20201113-00207465

紹介されている教諭はで、一人の子供がいる。戸籍上の性別は男性だ。しかし三年前から女装して勤務している。当然、女子トイレの使用は認められていない。男子トイレか多目的トイレを使うよう指導されている。多目的トイレを使う場合、二階から一階へ降りなければならない。

記事で彼はこう答えている。

「一人だけ階段を上り下りして、多目的トイレを利用する際、『君は〝男〟ではないことはわかったけど、〝女〟ではない』と言われているようで、強い孤独感を感じていました」

そんな彼は、急いでいるときに女子トイレへ入り、女性教諭と鉢合わせたこともあるという。

女子トイレを使いたいと学校にも何度か掛け合ったが、暖簾に手押しであった。ゆえに、女子トイレを使うことの是非について女性職員にアンケートを取った。「女子トイレにいても構わない」と答えたのは六人で、それ以外は全員が「同じ時間でなければ使ってもいい」「女子トイレにいること自体が嫌」にシールを貼った。

松岡はこう書いている。

「シールを貼った人はどういう気持ちだったのだろうか。『同じ女性用トイレを使ってほしくない』という欄に増えていくシールを見て、香織さんが酷く傷つくという思いには至らなかったのだろうか。声をかけてみるということもなかったのだろうか。」

いや――ちょっと待て。

この人は性別適合手術を受けたのだろうか?

そのことには全く触れられていない――事実を正直に書くのは不都合だからだろう。女子トイレの使用を断られ続けているのは、この人に男性器があるからとしか思えない。

一方、「レズビアンがカミングアウトしたら女子トイレを使えなくなるのか」とは書いている。いや、男性器のあるレズビアンは存在しない。

女子トイレに入る男性など普通は変質者である。

言うまでもなく、トイレが男女で別れているのは女性の安全と安心を守るためだ。女装した男が「私の心は女です」と言ったところで、はい、そうですかと納得できるわけがない。

そもそも、「女性の心がある」とは何だ?

記事には、彼が持っている女性服や髪飾りの画像が載せられている。しかし、これを持っていることが、「女性の心」があることを証明するだろうか?

言うまでもなく、「女性」とは女性の身体を持つ人だ。男性から女性へと戸籍変更した人は、男性の身体を持っているのは可怪おかしいと考えたから手術を受けたのである。

「女性ではないと言われているようで」と言われても――風呂に入るとき、自分の股間についている物を見て、「ああ自分は女性じゃないんだ」とは思わないのだろうか。

顔見知りの同僚であろうとも、女子トイレに男性が入ってきたら「何をするつもりなんだ」と女性は警戒する――むしろしないほうが可怪しい。覗きや盗撮・セクハラ――たとえ直截的な性加害をしなくとも、女子トイレに入るだけで昂奮する男もいるのだ。

この問題について、記事で松岡はこう書いている。

「『加害目的の男性と、トランス女性の見分けがつかない』などという声も根強いが、そもそもトランス女性を性暴力加害者の男性と一緒くたにすること自体がトランス女性を『女性』として認識しておらず差別的だと言える。」

なんと! 男性器があっても「女性」と認識しなければ差別だと言うのだ!

このように言う人は松岡ばかりではない。

たとえば、ある人物はツイッター上でこう言っていた。


また、女湯に入った経験をツイートして炎上したことのある、とあるXジェンダーの男性は次のように言っていた。

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